テーマ:皇室 二(50)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
今日は旧暦十二月十九日。師走、雉はじめて鳴く。 さて本日は正論に掲載された渡部昇一上智大学名誉教授と米長邦雄永世棋聖の対談より、二回目。 日本人の世代分けの一つに戦前・戦中・戦後と言うのがあるが、戦後の日本復興を担ったのは戦前派であった。 戦中派は大きく分けて、戦前の価値観を持ち続けた者と日本否定に転向した者との二通りに分かれる。戦後派はいわゆる戦後教育を受けた世代で、団塊の世代 (昭和二十年代生まれ) 、三無主義世代 (昭和三十年代生まれ) 、バブル世代 (昭和四十年代生まれ) と続く。 米長永世棋聖は、こういった駄目な教育を受けた戦後世代を反面教師として育った世代に期待している。 《日本人は、五十五歳以上、二十から五十五歳くらい、二十歳以下の三通りに分かれているんです。五十五歳から上は、上に行けば上にいくほど日本人としての魂を持っている。 途中に無気力、無関心の腑抜けの日本人がいる。それで二十歳以下の子供たちは、親を見てこのままだと日本はおかしくなるのではないかと、潜在的に危機感を共有しているんですね。だから、十八歳以下の子供たちに正しい教育をきちんとしさえすれば、十年足らずの間に、自国に誇りを持つ本当の日本という国が蘇ると思います》 (あいにく僕は途中の腑抜けな世代に属してはいるが、上の世代、特に団塊の世代を見てこのままだと日本はおかしくなるのではないかと危機感を抱いた) 皇室典範改正の前に教育をきちんとする必要があるというのがお二人の結論である。 このたびの「女系天皇問題」に関して政府に言いたい事のある方は左記のフォームより。 「日本、急所の一手!」 われらの国柄と伝統への想い 上智大学名誉教授 渡部昇一 続き 日本を危うくした無知 米長 しかし考えてみれば不思議なことで、今、自民党が圧倒的な大多数を握っている。本来自民党は、日本の国を愛する心、皇室の何たるか、教育基本法のどこが間違いなのかを知っているわけですからね。その政党がこれだけの大勝利を収めながら、まったく違うところにいっている。 どこに問題があるかというと、今の政治は構造改革で民営化だ、地方分権、三位一体だとかいってますが、すべてカネの流れの話で、そこに哲学や道徳、魂が一切入っていない。そこに日を付けて、今こそチャンスだと付け込もうとする人たちがいる。 渡部 変に手を付けるとなお悪いんだよね。まともな教育が浸透してから変えるならまだいいけど、今は危ない。 米長 ですから、私が今日のまとめでお話をさせていただけるのであれば、とにかく経済あるいは構造改革を一生懸命やっていただいて、それだけで終わりにしてもらいたい。つまり心の問題はまだみんなが支持したわけじゃないんだから、手を付けてはならんと。 それで皇室典範改正しようという人たちの前歴を全部徹底的に調べる。思想的なことからよく調べてくれ。いちばんのねらいは、皇室の廃止、断絶にあるんです。 だからいつの間にか会議をつくって座長を決めて、あっという間に議論をして、そして最初に結論を出しておいて、国会に提出して、そこで多数決で決めちまうんだと。 渡部 弓削道鏡以来の大事件なのに、その認識がない。和気清麻呂が出てこないんです。 米長 道鏡以来の事件なのか。 渡部 あれは孝謙天皇、再登極されて称徳天皇になられたんだけど、この方は弓削道鏡を信頼し、愛寵して寝ちゃったらしいんですね。それで「弓削道鏡を天皇にしたい」なんて言い出すんだよ。それなら宇佐八幡神宮の神託が必要ということになって、和気清麻呂が派遣されることになった。行く前には道鏡のほうから、「これでいいんだと報告しろ。そうすれば太政大臣にしてやる。そう報告しなければ、ひどい目に遭わせるぞ」とか脅されるんですよ。 そして和気清麻呂が正直に「天皇は皇胤(男系)でなければダメだ」と報告したら、清廉呂は大隈に流され、途中で暗殺されかかるんですね。そのとき猪が三百匹現れて救ったというんですよ。 これはもちろん当時でいえばそれぞれの土地の人たちが守ったということですね。それでもはっきり宇佐神宮はダメだと言ってるということが伝わると、道鏡のほうが失脚して、藤原百川が光仁天皇を立てるわけです。だから戦前の十円札の図柄は和気清麻呂で、裏には真ん中に猪がばっちりと描いてあるんですよ。 米長 あ、そうですか。 渡部 うちの親なんかは十円札のことは猪、猪って(笑)。愛子さんが天皇になられれば、年齢から考えて愛子さんと結婚すべき皇族は今のままならいない。そうすると弓削道鏡しかいないんです。弓削道鏡を天皇としていいのか。これは皇統でなくなることなんですよ。 米長 今度のことは、とてつもない罪深いことだったんですね。それを一般の人にどうやって広めていくか、みんなで考えなきゃね。 渡部 米長さんの結論の延長みたいなものだけど、私はこう考えるんです。日本が韓国や中国から強請られ始めた時期はいつだろうか、と。敗戦直後はいちばん立場が弱かったのに、強請られなかった。なぜなら、岸信介だろうが佐藤栄作だろうが、あのころの日本の政治家は戦前のことを知ってるからです。ぎりぎり田中角栄までは強請られなかったんじゃないか。 たとえば佐藤内閣は朴正煕大統領と十何年間、日韓基本条約を結ぶための交渉をやったわけです。結局日本は謝罪もしなければ賠償金も払わなかったんですよ。その十何年間の交渉の間に、朴大統領の頭の中に、従軍慰安婦の面影も、韓国の国語を奪ったとか、そういうトンチンカンなことは一つも浮かばないんですよ。なぜか。なかったからです。 朴大統領は日本の陸軍にいたから実情を知っている。全部後から出てきた話なんですよ。中国も周恩来とかが生きている間や、トウ小平のころまでは知ってるから強請らなかった。 ところがこっちはずっと無知なんですよ。だから従軍慰安婦は一っも証拠がないのに、河野洋平は謝っちゃう。それが世界中に流れるわけですよ。宮澤喜一は教科書に文句を言われると、「侵略」を「進出」に変えた事実はないとちゃんと認められて、産経新聞は立派に謝り、それに応じて北京政府も抗議を取り下げた後で、隣国の感情を尊重するというような近隣条項をつける。そうすると教科書検定の最終検定権みたいなものがソウルと北京に行っちゃったんです。 この連中が、国賊中の国賊。葬り去られてもおかしくないのに首相や衆議院議長になる。この腐った日本ですよね。要するに知識のない連中がなんとなく、あれでいいんじゃないかっていうのでやってきたんです。 だからさきほど挙げた、少なくとも三項目の知識が普及するまでは、米長さんがおっしゃるように、今のものにうっかり手を付けちゃいかんです。改悪になりかねませんから。 米長 おっしゃるとおり。しかしこれはもう待ったなしですね。皇室典範も、もう決めちまおうっていうんですね、今。 渡部 だから議会に提出しなきゃいいんです。法案のまま止まれば、ゆっくり議論ということになり、あとは消えますよ。 平成十八年 一月十八日 ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン「タリフ」を聴きながら コメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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