テーマ:中島らも(44)
カテゴリ:今日の出來事 今日の一言
旧暦七月十五日、立秋、盂蘭盆会。文月、涼風至る。 《「とてもおいしかったと言っていいかもしれない」 中島らも「西方冗土」より》 「あの幻の『ネーポン』がまだ存在しているらしい」 西方冗土の中でネーポンが飲める店として登場するのが喫茶店「アジアコーヒ日の出通り店」。「廃業した自転車修理屋」といった趣の店で、入り口に「ネーポンあります」の張り紙がしてあるという。 『「ネーポン」を飲んだら、そのまま外界に帰れなくなるような、そんな気がしたのである』 かの中島もあまりの怪しさに最初は飲むことを躊躇している。記者も結局、飲む機会には恵まれないままアジアコーヒは閉店。それとともにネーポンもなくなったものとばかり思っていた。 お洒落な街、神戸とはまた違った古い建物が並ぶ路地にツルヤはあった。しかし、入り口は固く閉ざされている。「やはりもう製造していないのか」。あきらめかけたその時、「右側奥へお回りください」との張り紙を見つけた。 奥へ回ってみると、古びた機械が数台置かれた二十畳ほどの部屋が見えた。工場というよりまさに「研究所」だ。「ごめんください」。声を出しても返事はない。思い切って中に入ってみると、年配の女性が一人でネーポンを作っていた。 「ネーポンだ!」。興奮のあまり思わず声が出てしまった。この女性にツルヤを訪ねた理由を話すと、ネーポンを一本開けてくれた。 『ネーポンは細長い瓶に入ったジュースだった。コップに注ぐと、瓶の底にたまっているおりのようなものが揺れ動いた』 確かに揺れ動くなぞの物体が見える。中島の出合いを追体験。瓶には黄色四号の文字が。少しためらっていると、「果肉が沈殿してるだけやで」と、女性がひと言。こちらの気持ちを察したかのようだ。確かに瓶には「果汁十%」とある。テレビでは粉末を溶かした飲料ではないかと茶化され、ずいぶんとつらい思いをしたという。 『よく冷えていて悪くはなかった。とてもおいしかったと言っていいかもしれない』 中島が述べているとおりで、甘いのだが、決して嫌味はなく、本当においしかった。かつて駄菓子屋や銭湯で飲んだ懐かしい味だ。 ツルヤがネーポンを作り始めたのは昭和三十八年ごろ。もともとは製菓店だったが、「安かろう悪かろう」がまかり通っていた清涼飲料水に風穴を開けようとネーポンを作り始めたらしい。瓶のデザインは多少変化したが、味は四十年以上、まったく変わっていないという。ミカンの果汁を使って一本、一本ていねいに手作業で作られている。 ちなみにネーポンは、神戸・元町と大阪・都島の喫茶店に出荷しているらしい。今度はその喫茶店を探さないとと思っていると、上田さんから衝撃的なひと言が発せられた。 「実はネーポンの製造、年内で終わるねん」 え? やっと見つけたのに…。どうやら、「研究所」がマンションに建て替わるため、この機会に製造をやめるらしい。 「後を継ぐ人もおらへんし、はっきりいってもうからん商売やから…。残念な気持ちもあるけどね」。年内は注文がある限りは製造を続けるという。 昭和の原風景が残っている幻の「研究所」。というより、幻を探し求めてツルヤを訪ねたこと自体が、幻のような気がする。(藤原直樹) 《おしながき》 【西方冗土】 関西人の行動や関西弁を縦横無尽、奇想天外に考察し、関西人にエールを送りつつ、ヨタを飛ばすエッセー集。 平成十八年七月二十九日午後五時三分 産經新聞 中島らもの心を奪ったネーポン。レトロな瓶が魅力的な、みかん味の清涼飲料水 愛子内親王殿下は男系女子なので、民間男子との間に設けら れた御子様は「女系」でも「男系」でもない。 男 ┌─女…雑系女子 ├─┤ ┌─女 └─男…雑系男子 男 ┌─女…雑系女子 │ ├─────┤ (神武天皇) 女 │ 女 ┌─女…男系女子=愛子内親王 └─男…雑系男子 ├─┤ ├─┤ 神倭伊波礼毘古命 ┌─男 └─男 └─男…男系男子 │ │ │ │ │ │ ┌─男…双系男子 ├─────┤ ├─┤ │ │ │ └─女…双系女子 │ │ │ 多多良伊須気余理 └─女 ┌─女 ┌─女…女系女子 ├─┤ ├─┤ 男 │ 男 └─男…女系男子 │ └─男 ┌─女…雑系女子 ├─┤ 女 └─男…雑系男子 従って今次の皇室典範改正問題の論点は「女系天皇を容認す るか否か」ではなく「男系天皇を放棄するか否か」である。 平成十八年 七月二十八日 パット・アーノルド「其は此より後起こり得ぬ」を聴きながら コメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[今日の出來事 今日の一言] カテゴリの最新記事
|
|