テーマ:旅するシーカヤック(153)
カテゴリ:カヤック
今年で4年目になる、瀬戸内カヤック横断隊。 14日に香川県の小豆島を出発し、一週間を掛けて山口県の祝島を目指す隊員達は、16日の時点でしまなみの弓削島まで到達していた。
*** 17日、金曜日。 ようやく休みが取れて、今日から合流。 車の回収を考えると、弓削まで行く事や、途中の島までフェリーで渡る事は選択肢に入らない。 そう、途中参加&途中離脱の隊員にとっては、様々な状況で晩秋の瀬戸内海を漕ぎ進む事に加えて、シーカヤックと旅の道具をどのようにして合流地点まで運搬し、どこで離隊して、どのようにしてカヤックと荷物を回収するかを考える事も、重要な問題なのだ。 *** 前日の連絡では、17日は蒲刈か岡村島あたりを目指して漕ぐとのこと。 蒲刈で待っていても良いのだが、そうすると漕ぐ日が一日少なくなってしまう。 また、岡村島までで夕方になってしまうと、合流が翌日になる。 ということで、蒲刈から出発して岡村島を目指し、そこで待つ事にした。 そうしておけば、岡村島泊になった時も夜は一緒に過ごせるし、蒲刈まで行く場合も、岡村島から本隊に合流して漕ぐ事ができる。 それに、なんといっても岡村島は、私のお気に入りの島の一つであり、庭みたいなところだ。 そこを横断隊が通るのに、出迎えない訳にはいかないではないか! *** 朝四時。 準備の整った車を蒲刈に向けて走らせる。 まだ暗い中、ヘッドランプの明かりを頼りにカヤックと荷物を降ろし、浜の片隅にそっと置かせてもらう。 パッキングしている途中、ふと夜空を見上げると、オレンジ色の流れ星がスーッと尾を引いて西の空に消えて行った。 準備が終わるとクルマで家に戻り、朝食を摂って、バスで再び蒲刈に向かう。 *** 10時半過ぎに蒲刈を出発。 朝吹いていた風も治まり、快晴の瀬戸内海。 今日はまさにシーカヤック日和である。 豊島と尾久比島との間を漕いでいる時に、ダイドックから電話が入った。 大三島の南岸を漕いでいるそうだ。 天候と潮に恵まれ、予想以上のペースで進んでいるらしい。 これなら、ちょうど岡村島辺りで合流できそうな感触。 うーん、いいぞ! *** 大崎下島の南岸を東進し、御手洗瀬戸の手前まで来た時に、再び電話が鳴る。 『タンデム艇にトラブルが発生したので、いったん岡村島に上がって修理します』とのこと。 『もう目の前なので、すぐに合流します』と返す。 浜が近づいてくる。 カヤックが、隊員達が見えてくる。 懐かしい面々。 お互い手を振って合図する。 あー、やっぱり漕いで来て良かった。 上陸し、挨拶、握手、挨拶、握手。。。 *** 幸い、深刻なトラブルではなかったのですぐに修理は完了し、蒲刈に向けて出発する事になった。 今日の目的地が蒲刈と決まったため、横断隊が毎年いろいろとお世話になっている蒲刈のB&Gの方に電話し、今日の夕方に横断隊が行く事と、ビバーク地としてスペースをお借りしたい事を伝え、快く承諾していただいた。 本当にありがたいことである。 横断隊は毎年、様々な場所で、様々な人達にお世話になりながら、厳しい瀬戸内海の旅を続ける事ができるのだ。 *** 今年の横断隊が始まってから、最高の晴天、最高のコンディションの中、大崎下島の南岸を蒲刈に向けて漕ぎ進む。 第1次横断隊の時は、すごい西風で大荒れだったことを思い出し、その話題で盛り上がる。 『蒲刈の岬を越えてからの、予想していなかった大波』 『大型タンカーのデッキを越えて行く、向い波の飛沫』 『バイダルカとフェザークラフトK-1で参加した人々(フェザークラフトは私だ)』 『岡村島の岬で出会った信じられないほど強い突風と、風沈するかと思うほどの、風の渦』 『大崎下島、南岸での波高の大きい追い波、追い風』。。。 いやあ、本当に第一次横断隊は印象深かったなあ! *** 『どうせなら蒲刈で待ってりゃいいのに。 アホやなあって言ってましたよ』 『いやあ、こんな良い天気で待ってても楽しくないし、岡村島は庭みたいなものだし。 今日漕がなかったら、一緒に漕げる日が一日減りますからねえ。 こんな最高のコンディションで漕げて、やっぱり出てきて良かったですよ!』 『たしかにそうだよねえ』 それにしても相変わらずの早いペース。 とても4日目で、しかも今朝、弓削から漕いで来たとは思えない巡航スピードである。 うーん、横断隊おそるべし! 傾いた太陽がキラキラと美しい瀬戸内の海を、疲れきった体にむち打ちながら漕ぎ進む。 それまで黙々と漕いで来た隊員達だが、今日のゴールが近づき、少し余裕が出てきたのか、少し賑やかになった。 『あー、きつい。 ほんまに今日のリーダーは早いなあ』 『腹減ったー』 『もうちょっとやから、すこしペースを落とそうぜ』 大子島を越え、黒鼻を回り込んで、ようやくB&Gに到着。 お世話になっているIさんが迎えて下さった。 *** みんなで協力し合い、荷物満載の重たいフネを陸に揚げる。 ここからは自由時間。 荷物を降ろし、さっそくテントを張る者。 水を浴びるもの。 煙草に火をつける人。。。 弓削から漕いで来た隊員達ほどではないが、私も今日は往復で約30kmほどのパドリング。 夜は、みんなで集まってワイワイガヤガヤの楽しい交流の一時。 横断隊ペースに合わせて、体にむち打ちながらひたすら漕いでいる昼間は、なんで自分はこんな事をしているんだろうと思う事もあるが、それがあってこその、この夜の一時の楽しさがあるのだと思う。 *** 各人の疲れ具合や気分に応じてテントに戻り、睡眠を取る。 そう、これは自立/自律した個人の集まりなのだ。 明日もまた、瀬戸内カヤック横断隊の旅は続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 20, 2006 08:12:02 PM
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