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瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内シーカヤック日記

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June 11, 2007
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ツーリングの後は、倉橋島名物の一つである懐かしい『ラムネ』の買い出しと、桂が浜温泉での潮抜き。

***

シーカヤックをカートップし、ラムネ屋さんのある集落へと向う。

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店の前に車を停め、先週末に買ったラムネの空瓶10本を持って店に入る。
先週末はおばさんだったが、今日はおじさんが居られた。

『こんにちは。 ラムネを買いたいんですが』
『どこまで持って帰る?』 『呉までです。 この前買った時の空瓶を持ってきました』

『何本?』 『先週買って帰ったんですが、息子達が おいしい、おいしい と言って大好評だったもので! 今日はケースで買って帰りたいんですが、2ケース良いですか?』

『そう! ビー玉が入った瓶が珍しかったんじゃないのかな』 『いえいえ。 彼らは、味が良いって言っていましたよ! 彼らは毎日学校から帰ると、冷蔵庫を開けて飲んでいましたねえ』

***

2ケースを車に積み込み、お金を払う。
『あの、ここでラムネを詰めているんですよね?』 『そうよ。 こっちでね』 『ちょっと、見せてもらって好いですか?』 『ああ、いいよ』

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『これですか! ラムネは何年くらい作ってるんですか?』 『うん、この機械は50年くらいかな。 でも作り始めたのは90年か100年くらい前』 『えー、そんなに長いんですか!』

『この機械は、今作っている所があるんですか?』 『さあ、昔は大阪にあったと聞いてるけど』
『それにしてもこれはすごいですね。 どうなってるんですか』 『ここに瓶をセットして、ここから砂糖水が入るんよ。 こっちで水と炭酸が混ぜられて、瓶に送られる』

『そうしたら、圧力でビー玉が押されて栓がされるんですか?』 『これを見てみ』

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取り出されたのは、皮製の円盤。 所々に穴が開けられている。

『これが、この機械のここに付いてるんよ。 そして、瓶が回って行くと、ここでシロップが入り、ここでガスを抜いて、ここでは再び炭酸水が送り込まれる』 『すごい、これが治具ですね! よく考えてありますねえ』

『そして、最後にここで外側の圧を少し抜いてやると、圧力差でビー玉が押し込まれて固定されるのよ』 『いやあ、本当によーく考えてありますよねえ』

***

『ところで、この機械はどうやって動くんですか?』 するとオジさんが、壁にあるスイッチを入れてくれた。 今は、ほとんど見る事のない『ナイフスイッチ』である。 とたんに、電動機(やはりこれはモーターではなく、電動機だ!)が動きだし、ベルト駆動で機械が動き始めた。

静かだった部屋が、ラムネ工場に一変する。 『キュルキュル、ゴンゴン、カタカタカタ』
ああ、これだ! 電動機が、シャフトが、ベルトが、プーリーが、まるで命を吹き込まれたように活き活きと回り、動き、音を立てる。 素晴らしい。

『す、すごい。 ベルト駆動ですか!』 機械設計の教科書を想い出す。 Vベルトではなく平ベルト。 逆転させるために、たすき掛けにしてあるベルトもある。 ベルトのテンションの緩さも、それはそれでとても好い感じだ。

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『これは、良いものを見せてもらいました。 本当にありがとうございます!』

ラムネを買いにきただけの私のために、貴重な時間を割いて話しを聞かせて頂くだけでなく、機械まで動かしていただけた。 感謝、感激。

***

『先週買って帰ったラムネは、息子達が全部飲んでしまって、私は一本も飲んでないんですよ。 ここで一本飲んで良いですか?』 『ああ、あるよ』

冷蔵庫から一本出して頂き、料金を払う。 『開けたらすぐに口を持って行かんと』と、アドバイス。 そう、ラムネはすぐに泡が吹き出すのだ。

ビー玉を押し込む専用の器具を使い、ポンと開ける。 すぐに口を付け、シュワシュワと吹き出す甘い泡を口で覆う。

泡が落ち着いた所で、ゴクリと飲む。 あ、懐かしい味。 『この味ですよ! 昔、学校が終わっておじいちゃん、おばあちゃんの家に遊びに行くと、いつもラムネを出してくれていました。 うん、この味でしたよ!』

『サイダーとは違いますね』 『炭酸がきついじゃろ』 『いやあウマい! 後味もあっさりだし』

『あんたは呉のどこ? ああ、そこなら○○さんとこのラムネじゃないかな』 『昔は、いっぱいあったんですか?』 『そう、ここの集落だけでも、2、3軒はあったからね』

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戦時中の砂糖不足でラムネ造りをやめたところも多い事。 ラムネは夏なので、冬にはこんにゃくを作って、一年間の収入を得るようにおじいさんが考え、それを続けてきた事。 夏祭りや帰省の季節である盆前が忙しいとの事。

そして、今ではラムネの瓶が無くなり、瓶の確保に苦労されている事も伺った。 『新しい瓶は作っていないんですか?』 『台湾の方では作っているとか、いないとか。 今は、廃業した同業者から譲り受けて使ってるんよ』

そう言えば昔は、ラムネの瓶を割って、『ビー玉』を取っていた事もあったなあ。 皆さん、もし家にラムネの瓶があったら、ラムネ屋さんに持って行ってあげて下さい!

くれぐれも、ビー玉を取るために貴重なラムネの瓶を割ろうなんて思わずに。 まあ今時、ビー玉で遊ぶなんてそんな子供は居ないか!

『木の箱がまた良いですねえ』 『ああ、この木の箱? まあ、遠くまでもって帰るんなら、仕切りがしてあるプラスチックのケースの方がええじゃろ。 割れんからの。 近所なら木の箱でええけど』 そう、味のある木の箱は、地元専用なのであった。

***

島に残る、貴重なラムネ造りの家内工業。 いつまでも続けていただきたい、ぜひ残していきたいものである。
今日は、日帰りツーリングをたっぷりと楽しんだ上に、親切なオジさんにこんな良い話しを伺う事ができ、充実した一日であった。

その後は、桂が浜温泉で潮抜きをしてサッパリ。 さあ、お土産のラムネを持って、家に帰ろう!
きっと息子達は喜んでくれるだろう!





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Last updated  June 11, 2007 08:37:06 PM
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