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日本戦略研究所



“革命家 小泉純一郎”の戦略「郵政民営化」  



“郵政3事業民営化を引き金とした革命的な行政改革は、明治維新の内戦、第二次世界大戦に匹敵する戦いである”
(小泉純一郎著「官僚王国解体論」より)

小泉純一郎首相は9月の自民党総裁選に出馬にあたり、平成19年4月からの郵政事業民営化を公約に掲げ、自分が再選されれば自民党の公約にすると宣言した。

これを聞いた自民党内は大騒ぎで、抵抗勢力だけでなく親小泉派まで発言の撤回を求めたが、
小泉首相は 「党首の公約に党員が従うのは民主主義の基本でしょう。」と一蹴して譲る気配はない。

なぜなら、小泉首相にとって郵政事業民営化は、革命的行政改革、財政改革を成し遂げるための戦略目標であり、抵抗勢力と妥協する余地のないものだからである。冒頭の文章からも革命家的な匂いが漂っている。

その「官僚王国解体論」が主張する郵政事業民営化論は次のとおりである。

国債残高は240兆円(現在は450兆円!)に達し、結局のところ増税しか道はないが、その前に政府系機関の革命的なリストラを先行しなければならない。
その突破口が郵政事業の民営化である。
民営化の効果としては、

1.特殊法人改革
郵便貯金、簡易保険で集められた資金は財政投融資として行政肥大化の象徴である特殊法人に投入されている。
だから、郵政事業を民営化することで財政投融資を廃止し、兵糧を絶つことで特殊法人を整理、統廃合する。
その結果、役人の天下りも半減させることができるのである。

2.株式売却益と役人の削減
郵政3事業を株式会社化し、株式を上場、売却すれば約10兆円の株式売却益が見込める。
郵政事業に携わる役人20万人(現在は28万人)は民間人になるため、役人の数を削減することができる。

3.郵便貯金、簡易保険事業に対する課税
郵便貯金、簡易保険事業の民営化により、非課税であった法人税、事業税、固定資産税、印紙税を課税することができる。--等である。

身動きが取れないところまで追い込まれた我が国の財政(国債残高450兆円、税収の11年分)を立直すには、
小泉首相が“突破口”と主張する“郵政事業民営化”に賭けるしか道はないのかもしれない。


また、小泉首相が総裁選が近づくにつれて「政策転換は絶対ない」、「郵政事業民営化、道路公団民営化を党の公約にする」といった抵抗勢力の神経を逆なでする発言をし始めたことも憶測を呼んでいる。

「総裁選で新しい人が総裁になったとき、小泉首相は首相を辞めるのか?」(中山正暉元建設相)
「(小泉首相は)総裁選に負けたら野党と組んで政権にとどまるという人もいる。」(熊代昭彦衆院議員)
「本当に解散するかもしれない。首相は普通の神経じゃない」(堀内派閣僚経験者)

超強気の小泉首相の姿勢が疑心暗鬼を生んでいるのだ。

そうした中、小泉首相は8/8「首相の任期は民主主義の基本として次の解散まである」と発言し、自民党総裁選で敗北した場合に解散総選挙で国民の信を問う可能性を示唆したのである。

これには抵抗勢力から「自爆テロ」、「党総裁による自民党破壊工作」、「民主主義無視」という批判が相次いだが、

小泉首相は「官僚王国解体論」の中でこう言っている。
「改革をするなら政治は不安定なほうがいい。原則を大事にして、与野党を問わずその原則に賛同する人を結集すればいい」

郵政事業民営化に執念を燃やす“革命家 小泉純一郎”なら、総裁選敗北後の衆院解散という前代未聞の「自爆テロ」くらいは躊躇なく行なうかもしれないのである。

いずれにしても、ここしばらくは日本の将来を賭けた緊迫した政局が続くことになりそうだ。


 
 
 

15.8.10





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革命家小泉純一郎の戦略 郵政民営化


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