178185 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

水底の満月ブログVer.「月の散歩道」

水底の満月ブログVer.「月の散歩道」

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

高原風音

高原風音

Calendar

Category

Keyword Search

▼キーワード検索

March 3, 2007
XML
 村は、戦場だった。
 敵の数に比べ、味方の数は頼りないほど少ない。
 それでも、その場から逃げるわけにはいかなかった。
 これ以上さがっては、確実に村人たちに被害が及ぶ。
 それを許すわけにはいかなかった。
 棍を振るうレイの隣には、ビクトール。
 ひとつ舌打ちし、剣の柄を握り直す。
「…ったく、キリがねぇな!!」
「大丈夫っ?」
「あぁ! まだまだおまえさんに心配されるほど、衰えちゃいないぜ!」
 敵はものすごい数の魔物だ。
 溢れるように突進し、村の奥へ進もうとする。
 一体村に何があるというのだ?
 こんな光景は、見たことがない!

 魔物たちは、驚くほどあっけなく退いた。
 それは何かに怯えたようなふうでもあったし、目的を果たしたふうでもあった。
 もちろんレイたちにはその理由がわからない。
 だが、少なくとも、目先の危機は免れたと言うことだろう。
 レイたち一行は、仲間集めを兼ね訪れたこの村で、その騒動に巻き込まれた。
 軍を率いていたならともかく、数人で防ぎ切れたのは奇跡としか言いようがない。
 次があったとすれば、どうなるかわからないが。
 だから、この村を離れるべきかどうか、正直迷っていた。

 宿の一角、光の射す窓を背にしてルックが座っていた。
 ルックの前には小さな子供の姿、怪我をしたらしく腕を抱え込んでいる。
 そっと呟くと、ルックの手がほんのり緑の色をした光を帯びる。
 その手で触れたとたん、子供はぱっと顔を輝かせて手を開く。
 …元来の彼ならば、なんの関係もない村人に回復魔法を使うことはなかっただろう。
 ただどうしても、レイに頼まれれば断ることができない。
「次は、誰?」
 小さな声だったが、澄きとおった高めの声は、胸に優しく届く。
 その声におずおずと進み出たのは、少女だ。
 見れば、耳が微かに尖っている。
 エルフの特徴だ。
 しかし今更エルフを珍しがることもない、ルックはその少女の傷の様子を窺うようにした。
 少女は右足に酷い傷を負っていたが、あまり痛がる様子がないのが少し奇妙だ。
「これは、どうしたんだい」
 不審げにルックが尋ねる。
 すると、
「……月…から落ちてきたんです」
「え?」
「わたし……月から来たんです」
「…………」
 意味を捉えかね、ルックは首を傾げる。
 治療が終わると、少女は頭を下げて宿から出て行った。

 その次の朝。
 村の片隅で騒動が起こった。
 村人がひとり、毒殺されたというのだ。
 鍵のかかった家の中で倒れているところを、家の前を通った別の村人に発見されたのだという。
 様子から見て、夜のうちに亡くなっていたらしいということがわかった。
「あいつらだ、あの魔物共の仕業だ!」
「許せねぇ!! 今度姿を見かけたらタダじゃおかねぇぞ!」
 口々に叫び、戦いの準備を始める村人たち。
 騒動に駆けつけたレイたちは、なにか腑に落ちないものを感じていた。
 村人たちが危険な行動に移らないようにビクトールたちをそばにつかせ、レイはルックとシーナを伴ってその家に入った。
「……なんだろうな…。何かおかしいんだよね」
 レイが呟く。
「レイもそう思うか? オレもなんだ」
 床を探りながら、シーナ。
 ルックは黙って何かを考え込んでいた。
 不審な点……この村に潜む、なにか。
「ルック?」
「あぁ…ごめん、なんでもない」
「そう? それにしては何かを気にしてるみたいだけど」
「…………」
 小さく心に残る違和感。
 迷うようにルックは唇を開いた。
「…レイ。月に、人は住めるかい? 人じゃなくてもいい、たとえば、エルフとか」
「月? ……普通に考えたら、住めるはずはないと思うけど…。ルックがそう言うってコトは、何か根拠があるんだよね?」
「根拠、というわけじゃないけど」
 ルックをも悩ませるもの。
 その時、シーナが声を上げた。
「レイ、ルック」
 見下ろすと、シーナは何か小さな欠片を手にしている。
 淡いピンク色の…それは貝殻に見えた。
「これ…なんだと思う?」

 その頃、エルフの少女は村の近くの草原にいた。
 枯れた草が少女の姿を隠すほどに伸び、風に揺られてさわさわと音をたてる。
 誰の姿もない淋しい景色。
 けれど少女は、なにものかの気配を感じ取っているようだった。
「ここ…に、いたのか……」
 つぶやき。
 次の瞬間、少女の姿は陽炎のようにゆらりと揺れた。
 ヴェールを脱ぐように現れ出たその姿は、エルフというより精霊のような姿をしていた。








『夢十夜』のようなタイトルで始めてみましたが。
そんな夢をみました(汗)。
厳密に言えば、「テレビを見ていたら幻水のアニメがまもなく始まるところで、でもそんなルックの声とか聞いたらわたし泣いちゃうよ絶対見るもんか、って思ってたのに気が付けば始まってしまっていて、そのアニメの内容がこんな感じでした」と言うことであります。

ルックの声が、思ったより高めだったなぁと思ったんですけど、結構すんなり自分の中で納得できて嬉しかったこととか。
毒殺された男の家を捜索するのがレイとルックとシーナで、「トライアングル来た~っ!!」と快哉を叫んだこととか。
シーナの声もちょっと高いかなあと思ったんだけど、そういえばレイぼっちゃんがリーダーしてたってコトは1の話だからシーナも若くてOKなのか、と納得したこととか。
…いったいなんだこのネタな夢は。

それにしたって、あの少女はいったい何だったのか!?
「月から来た」ってどういうコトなのか!?
毒殺された男と少女の関係は!?
シーナの拾った貝殻の意味とは!?
実際にはこのあとも少し夢は続いておりまして、少女が異形の者と戦っているところにレイたちが鳥に乗って駆けつける、というシーンもあり。
ますます夢は謎のまま終わるのでした……。
「夢は脳の暴走」ですか。
まったくですね!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  March 3, 2007 09:57:19 PM
コメント(0) | コメントを書く
[トライ(幻水)なこと] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.