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峠幾三のちいさな発見・旅模様

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2009/05/08
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 久しぶりに東北へ行ってきた。


 松江から高速を使って1500キロ。

 松江では散ってしまった桜がまだ咲いている青森へ入った。

 青森に着いてYさんと甚で待ち合わせ。

 3年ぶりだが、久しぶりという感じは全くない。

 待ってくれていた甚のママ、後から入ってきたYさん。

 3年前に会った時と同じように飲んで話して盛り上がった。




 翌朝、二日酔い気味で起きた。

 俺の気分とは違い、眩しい青空が広がっていた。


 
 朝から南に下り始めた。

 青森から高速に乗ったらよかったのだが、どうしても行きたい場所があった。


 青森市内から八甲田へ向かう国道103号を走る。
 
 雲谷のスキー場を抜けた先にある岩木山展望所という所に行きたかった。


 



 初めて東北を訪れたのは23歳の秋。

 Yさんともその時に知り合った。

 初めての東北で、しかも初めて1週間の日程の旅だった。

 あっちも行きたい、こっちも行きたい。

 最近のように1箇所でのんびり過ごすことが少ない旅だった。

 ……

 ……

 ……
 

 23歳の秋。

 青森に入って数日後、八甲田へ向かって走っている時、岩木山展望所でブドウを売っている老夫婦に会った。
 
 見たことないブドウだった。

 スチューベン、ナイヤガラという品種のブドウ。

 3房で500円ほどだったように記憶している。

 両方買うと6房、1人で食べきれる量ではない。

 でも、食べてみたかった。

 で、「1房ずつ買えませんか?」ときいてみた。

 「いいよ、お金は要らないから持って帰りなさい」と津軽弁でお爺さんは言ってくれた。

 お金を払おうとしても受け取ってくれない。

 根負けしてお礼を言ってブドウを受け取った。

 その後、しばらく老夫婦と話をした。

 ブドウは今朝収穫したとか、お爺さんの畑の話や、俺の実家の話など。

 津軽弁が聞き取りにくい幾三にわかりやすく話してくれた。

 1時間程居ただろうか。

 「そろそろ行きます!」と言った。

 お爺さんが手を出してくれた。

 俺も手を出した。

 厚い手のひらで俺の手をグッと握って、

 「くれぐれも運転には気をつけて、元気で」と何度も言ってくれた。

 
 夫婦と別れてからブドウを一粒口に入れた。

 初めて食べる味だった。

 酸味が少なく、優しい甘さが口に広がった。

 優しい甘さとお爺さんの言葉が重なった。






 あれから5年。

 岩木山展望所に着くと車がたくさん停まっていた。

 老夫婦が店を出していたところはアスファルトに変わっていた。

 辺りを見回したが老夫婦はいなかった。

 元気にしているだろうか。

 5年ぶりにそこから眺める岩木山はまだ雪をかぶっていた。


 

 
 
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最終更新日  2009/05/08 06:52:09 PM
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