トランプ大統領になっちゃった責任
「無責任にトランプが大統領になるって予言してあたったって喜んでるけど、いつも貴方は、そういういい加減で責任とらないじゃない。トランプ大統領でおかしくなったら、ちゃんと説明してくれるんでしょうね?」いきつけの店でママに叱られた。「予言してあたったとは言ってない。可能性は十分にあるとは思ってたけど、投票の段階では、クリントンだろうって思ってて、トランプ当選には当然、驚いた」「だけど、トランプでよかったって喜んでるじゃない」「クリントンよりマシだとは思うよ。アメリカではポリティカルコレクトがあまりにもひどくなっていて、これまでの政治家は口ではいろんなこと言うけど、結果として物事は悪い方向に進んだだけだった。その象徴がヒラリーだ。トランプはもしかすると、今までの政治家とは違うアプローチがあるんじゃないかって、そういう意味で期待してるんだ」「トランプは専門家でないどころか経験すら何もないのよ」「政治家が専門家だとは限らない」「とにかく、いつもいい加減なこと言って責任とらないんだから、トランプでひどいことになったら、ちゃんとしてね」「はいはい」答えてはみたものの同席していたOさんがたまたま、僕とトランプには重なるところがあるとか言い出したあたりから雲行きが怪しい。ちゃんと説明するつもりはあるんだが、もし、これで、責任とれって言われると不利だよな。最初の100日のことじゃあないだろうし、多少悪くなる兆候が見えたらすぐに、責任とれって言われるし、たとえ、4年なり8年なりよくっても、そのあと、悪くなることがあればトランプのせいだって言われる。作用には必ず反作用があるわけで、良くなることがあれば、その反動(必ずしも悪いこととは限らないが、物事は往々にしてよいことの半面には悪いことが存在する。だから、良くなったことがあっても、悪いほうだけ強調されて責任とれと言われる可能性もある。ま、しょうがない。ママだって別にヒラリー支持してたわけじゃないしトランプ大統領になったらひどいことになるって言ってたわけじゃない人さまのお国のことではあるのだがまだ何も始まってるわけでもないのに、誹謗中傷する人があれだけ多いのは不思議だよなぁというか、多少の誹謗中傷は今までの人たちにもあったが、メディアは今回ほどには取り上げてこなかった。極限まで広がった格差は、「泡沫」トランプを地滑り的に大統領まで推し上げた。作用には必ず反作用があり、地滑り的変動には、それに伴う反作用が必ずある。不満を持つアメリカ人は、トランプ支持、不支持(クリントン支持とは限らない)両方に存在していた。今、アメリカで起きている反トランプ現象は、かなりの部分トランプを支持せず、その結果トランプ当選でカタルシスを得ることのできない人たちの不満が噴出していると観る。日本の報道が、トランプ大統領に対する懸念を述べる傾向が強いのは、彼らがアメリカの実情を理解して、そう言っているのではなく、ヒラリー当選を事実上当然として報道、解説してきたことへの言い訳に過ぎない。少なくとも彼らは、アメリカで起きていることの事実を日本へ伝えなかった。無知によるものか、怠慢によるものかもし、彼らがきちんと自分の頭を使って考えたならば、そして、同調圧力への勇気があったならば。アメリカの連中の尻馬に乗ってヒラリー勝利確実みたいな報道ばかりではなかったはずだ。僕は、トランプ当選のほうがいいと思ってきたし、今でも思っている。ただ、僕がトランプ当選を喜ぶのは、当選おめでとう!という意味ではなく、自分の目で観察し、自分の頭で考えたことが、それほど大きくはずさなかった。まだ、それほどボケてはいないという喜びなんだが。トランプ大統領を不安視することについて言えば、変化を不安に感じることを不思議とは思わない。それは変化への期待の裏返しであって、僕の中にも不安を感じる部分、自分が、家族が、仲間たちが、社会が、変化に対応できない不安は、当然にある。だが、不安を口にしてナニになる。当選しちゃった以上期待しなきゃしょうがないじゃないないか。「ほーら、やっぱり根拠ないじゃない。そういうふうだから、いい加減って言うのよ」ママの叱責が聞こえる。