さらば「おしん横綱」
大相撲の鳴戸親方(元横綱隆の里)が亡くなりました。弟子暴行問題の渦中での訃報だけに、「自殺じゃないか」といい加減なことを思ってましたが、今朝の各新聞によると、持病の喘息と糖尿病に加え、10年くらい前から心臓病を患い(おそらく)ニトロを携帯していた上、睡眠時無呼吸症候群(「スイーツ親方」こと芝田山親方〔元横綱大乃国〕も苦しんだアレです)も抱え、最近は肺炎まで起こしていたとのこと。しかも倒れる直前まで弟子たちの稽古を見守り続けていたそうです。「自殺」と思った自分が恥ずかしい。その経歴から「おしん横綱」と言われた隆の里。その現役時代をNHKの中継を通してリアルタイムで見てきた僕にとっては、同郷にして同期でもある二代目若乃花という華のある力士の影に隠れながら、北の湖という一代の巨人に挑み続け、綱を極めた人という印象です。千代の富士の引退と共に相撲への興味が薄れてしまったのは、天賦の才に恵まれ、「横綱とはこういうものだ」を自ら体現した北の湖(彼の威圧感に満ちた土俵入り、特に一切の邪念の侵入を許さない柏手は、まさに横綱という地位を象徴するものでした)のような力士も、隆の里や三重ノ海といった、地味ながら地道に力を重ねて横綱に達した力士もいなくなったからだと思っています。一つの時代が終わったのでしょうね…。R.I.P.P.S.それにしてもここ4~5年、一時代を築いた人の訃報が多過ぎる…。