オルトからドナウ北岸のサイクリングコースを行けば、堤防の上をまっすぐ東へ向かいます。周囲はひたすら平坦な森です。天気のいい日などは、森の匂いでむせ返るような気分になってくるかもしれません。
エッカルツアウへの道
オルトからおよそ8km先にエッカルツアウという小さな村があり、村外れの深い森の中に白い城館がひっそりと建っていました。何も知らないでこんな光景に出会ったら、誰でも不思議に思うでしょう。何故こんな片田舎にこれほど立派な建物が…と。ここはこの周囲で鹿などの狩猟を行うための、滞在用のハプスブルク家の城館でした。因みにドナウアウエンの自然が長い間保たれてきたのは、「帝室御狩場」として保護されてきたということも大きな理由なのです。

エッカルツアウ城
この城館が有名なのは、ここでハプスブルク帝国が名実ともに終焉を迎えたということにあります。1918年11月13日、大戦後の混乱を避けてウィーンからこの城館へ避難していた最後の皇帝カール1世は、ついに皇帝退位の書面に署名することとなったのです。彼は更に約半年後にはスイスに亡命を余儀なくされ、その後オーストリアの地を踏むことなく、大西洋の孤島マディラ島にその生涯を閉じました。

森の中の城
してみれば、この美しい城館に漂うもの哀しげな雰囲気は、ハプスブルクの終焉という歴史のなせるわざなのかもしれません。館内見学は時間が限定されていますが、外観を見るだけでも、是非訪れてみてほしい素敵な場所だと思います(注4)。
(注4) 開館は4~10月、土日祝の11:00と14:00のガイドツアーのみ、6ユーロ。
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