ウィーンとリンツのほぼ中間にあるヴァッハウ渓谷といえば、ドナウ川下りとメルクの修道院が有名ですが、それ以外にも魅力的な所があります。ここではメルクの少し先にある二つの小さな村を紹介しましょう。
アルトシュテッテン(Artstetten)
第一次世界大戦の引き金となったサラエボ事件は誰でも知っていますが、暗殺されたオーストリア皇太子フランツ・フェルディナント大公夫妻の墓はどこにあるかご存知ですか? 元来ハプスブルク家の人間はウィーンのカプツィーナ教会に葬られるのが習わしでしたが、ご存知のように大公夫妻は身分の違う結婚をしたため、死後もここに入ることを拒否されました。それを見越した大公は、あらかじめ自分たちの墓を居城であったヴァッハウ渓谷沿いのアルトシュテッテンに用意していたのです。

アルトシュテッテンへの道
この小さな村はドナウ川の河岸段丘を上って、緩やかに続く丘の中腹にあります。アルトシュテッテン城は玉葱形の尖塔を五本持つ、ちょっとユニークな白い建物で、遠目から見ると正教寺院のようにも見えました。

アルトシュテッテン城
館内は博物館になっていて、大公夫妻を中心にハプスブルク家の歴史などがわかりやすく解説されており、ハプスブルク家に興味ある方はもちろん、そうでない人でもそれなりに面白いと思います。日本語の解説書もあるので、貸してもらいましょう。一つ発見したことは、大公は明治26(1893)年に軍艦乗って日本に来て、明治天皇とも会見しているんですねー。ちゃんと日本訪問の記念写真なども残っていました。日本にも大公の記念碑などないかなー?
城に付属する教会の地下にある大公夫妻の墓には、受付で鍵を借りて行きますが、これは言わないと貸してくれませんのでお忘れなく。夫妻の棺は仲良く並んで、ひっそりと眠りについています。人もあまり来ない静かな城の一角で眠る夫妻は、ウィーンのカプツィーナ教会で毎日たくさんの観光客の目にさらされている他のハプスブルク一族よりも、ずっと居心地がよさそうな気がしました。

大公夫妻の墓
アルトシュテッテンに行くのは、後述のペヒラーンからのバスが一般的ですが、本数はあまり多くありません。メルクからのバスもありますが、こちらは更に少ないです。行きにタクシー使って、帰りは下りの道をブラブラ歩くというのもいいでしょう。アルトシュテッテンからペヒラーン駅までは約6kmの道のりです。
アルトシュテッテン城:開館は4~10月、毎日9:00~17:30、5.8ユーロ。
アルトシュテッテン城のホームページ
ペヒラーン(Pöchlarn)
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