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カテゴリ:西国三十三所巡り
きょうは朝早く起きて、JRの普通電車を乗り継いで、京都府北部の「西国三十三所・第二十九番札所」として有名な「松尾寺(まつのおでら)」をお参りして来ました。 「西国三十三所」の寺の中で、車で行くのと、公共交通機関を利用してタクシーも使わずに行くのとで、いちばん‘楽さ’に違いがあるのは、この寺ではないでしょうか。 車なら、寺のすぐ前の駐車場まで行けます。 一方、公共交通機関だけで行こうとすると、JRの小浜線の「松尾寺駅」まで電車で行って、そこから歩くことになります。 鉄道の駅の名前になっている「西国三十三所」の寺のうち、「岡寺駅」(近鉄)とこの寺は、「最寄駅」とは言い難いと思います。 今回、私は「松尾寺駅」から歩いて行きました。 まず、うちの最寄り駅から電車に乗って、「松尾寺駅」まで行くのが大変です。 特急を使えばましになりますが、‘経費節減’(^-^;)で、普通電車を乗り継いで行きました。 いろいろ調べて、最もタイム・ロスの少ないルートで行って、4時間半かかります。 朝7時前に家を出て、「松尾寺駅」に11時過ぎに着きました。 乗り換えのときに、接続時間が30分以上あるのがもったいないんですよねえ。。。 ガイドブックによると、「駅から歩いて50分」と書いてあります。 普段、なかなか20分以上‘続けて’歩くことはありません。 「往復で100分ほど歩くのかぁ・・・」と思いましたが、昼間に人気のない田舎道を歩くのは嫌いではありません。 駅に降り立って、寺のある方に向って歩き始めました。 電車からは10人ほど降りましたが、寺のほうに歩いて行く人は、私のほかは男の人が1人いただけでした。 私のほうが前だったので、先に歩いて行きました。 線路沿いに1分ほど歩くと、線路の下にもぐるガードがあり、その手前に「寺まで3.2km」いう標識が立っていました。 右側に国道が通っていて、その歩道を歩く方法と、左側のあぜ道を歩く方法があるようです。 行きは「あぜ道ルート」を通って行くことにしました。 朝方まで雪が降っていたようで、道は少しぬかるんでいました。 「“泥濘(でいねい)の道”を歩くって、こういうことだよなぁ・・・」(^-^;)と思いながら、歩いて行きました。 国道沿いまで出るより直線距離としては寺には近いと思うし、また、車の排気ガスなどを吸わずに歩けるのはいいのですが、竹林と田んぼの境を縫うようにして通っている道なので、くねくねしていて、距離的にあまり‘お得感’はありませんでした。 こんな道です。 進行方向には‘フォトジェニック’なアングルがなかったので、来た道を振り返って撮影しました。 手前が進行方向、向こう側が駅になります。 (向こう側からこちら側に歩いて来る。) あぜ道の終わりに橋があって、そこからしばらくはアスファルトの道路を歩くことになります。 そこに「寺まで2.7km」という標識がありました。 歩く人の姿はもちろん、通る車もありません。 しばらく行くと、道路は大きく左に曲がって、その正面にまっすぐ進む登山道のような道が見えました。 「この道は現在閉鎖されている」と聞いていたのですが、閉鎖されている雰囲気ではなかったので、そちらを通って行くことにしました。 ここまで駅から22分でした。 小高い山に登るような道で、ぬかるんでいるほかは危ないと思うようなことはありませんでした。 最高気温が6℃の日でしたが、汗ばんできました。 ちょうど10分上ると、さっきの道路に合流しました。 それから10分弱歩くと、山門が見える石段の下に着きました。 石段を見上げて、登って行きました。 長くはない石段の半分辺りに駐車場へ通じる道があったので、少し右側から「山門」を撮ってみました。 今は本尊が開帳されているので、そのことを知らせる看板が立っていました。 駅から山門まで、歩いて37分ほどで着きました。 「歩いて50分」というのは、かなりゆっくり歩いた場合を想定していると思います。 「山門」には仁王像があったようですが、姿はなく、写真が貼られているだけでした。 あとで寺の人に聞いたのですが、現在は修復中で持ち出しているとのことでした。 一礼をして門をくぐります。 右手に「手水舎」があるので、そこで軽く手を洗っておきました。 ■第二十九番札所 青葉山「松尾寺」 本尊:馬頭観音菩薩 宗派:真言宗醍醐派 開祖:威光上人(いこうしょうにん) 創建:和銅元年(708年) 御詠歌:そのかみは 幾世(いくよ)経ぬらん 便りをば 千歳もここに 松の尾の寺 この寺は「本堂」の前に線香やろうそくを供えるところが建っていて、それが結構大きいので、本堂を正面からきれいに撮ることができませんでした。 線香を供えて、「本堂」に進み、賽銭を入れて、手を合わせました。 待っていたかのように(^-^;)、本堂の中から「ようこそお参りです。本堂の中へどうぞ」という男の人の声が聞こえました。 靴をここで脱いで、「本堂」に入ります。 年配の男の人が、「今は77年ぶりに本尊が開帳されています。どうぞ奥へ進んで近くから見てください」と案内してくれました。 この寺は、「西国三十三所」の寺の中で「馬頭観音」を本尊とする唯一の寺です。 普段は手前の格子戸が閉めてあって、その奥に「御前立ち」が安置されていて、それを拝むようになっているそうです。 きょうは格子戸が開けてあって、本尊像の1メートル手前ぐらいまで近付いて見ることができました。 (写真撮影は禁止なので、画像はありません。) しげしげと見ていたら、さっきの男の人が私の視線に合わせて、いろいろと説明してくれました。 逆に、説明を聞いている間に離れるわけにもいかず、ず~っと話を聞いていました。(^-^;) 私は「西国三十三所」の寺の参拝は、これが12か寺めになりますが、本尊を見ることができたのはようやく2か寺めです。 唯一見ることができた「南法華寺(壷阪寺)」は常時開帳されているので、見ることができたのは当然でした。 今回は77年ぶりということで、貴重な経験ができました。 馬頭観音像は、顔が3つあり、正面の顔は憤怒の相です。 それに対して、左右の小ぶりの顔は柔和な表情で、観音本来の相です。 腕は8本、脚は如意輪観音坐像のように、右脚を立てて座っています。 困っている人がいたら、ここからすぐに飛んで行けるように、だそうです。 普段見られる「御前立ち」の像は口を一文字に結んだ「吽(うん)」の状態のようですが、きょう見られた本尊像は口を大きくあけた「阿(あ)」の状態でした。 私が博物館や本などで覚えた言葉を交えて(^-^;)2、3質問してみると、丁寧に答えてくれました。 本尊像から離れて、男の人がいるところまで戻って来ても、私が「駅からここまで歩いて来ました」と言うと、裏山の「奥の院」のことも教えてくれました。 ネットで見て、実際に行ったことがある人の話も読んだのですが、時間と体力に余裕がない人でなければ無理だということがわかっていました。 「健脚自慢の人で、片道1時間見ておけば行けますよ」と言われましたが、こればかりは元々行くつもりはなかったし、道もわからないし、今日中に帰れなくなる(=電車がなくなる)ので、あきらめ(?)ました。 山頂から見える山が馬の耳の形に見えるところから「馬耳(ばじ)山」と呼ばれていて、山頂が富士山よりきれいに三角形をなしていて「若狭富士」ということなどを話してくれました。 また、この「本堂」は寺の建物としては屋根が特異な形をしていて、それは「神仏習合」のためで、この「本堂」自体が神社の役割も兼ねていて、神社式に「2礼2拍手1礼」のお参りをしても構わないというような話も聞きました。 ということで、10分ちょっと‘付きっきり’でガイドをしてくれました。 どうも私はお寺の人に気に入ってもらえる(?)ようです。 「南円堂」に行ったときは、うだるような暑さの8月で、納経所の人が汗だくの私を見て「これを使いなさい。あげますから」と言って、タオルをくれたことを思い出しました。(^-^;) そして、隅に置いてあった寺の案内のパンフレットとミニ新聞を取り出して、「よかったら、読んでみてください」と言って、くれました。 「この場を離れにくくなったなぁ・・・」と思っていたら、「交通安全のお守りはいかがですか? 車を運転されなくても、事故に遭うことはないとは言えませんから、1つあったら少しは安心できますよ」と言われました。 買わないわけにはいかないと思ったので、指さされたお守りを1つ買いました。。。 そうこうしているうちに、何人か参拝者が来ましたが、それほど詳しい説明はしていませんでした。(笑) 「仏教(美術)について少しは関心があるという様子と、駅から歩いてきたということが、詳しく説明をしてもらえる材料になったのかな」と思いました。 ・・・プラス、「御守り代、500円」。(^-^;) 「本堂」を出て、左側にある建物2つを見ました。 手前は「一切経蔵」という土蔵で、奥は名前はわかりませんでしたが、中に「普賢菩薩像」が安置されていました。 本堂の左脇に馬の像がありました。 本尊の「馬頭観音」、裏山の「馬耳山」にちなんだものだろうと思います。 ・・・「施福寺」にも同じような像があったなぁ。。。 「本堂」を挟んで反対側には、今は使われていない様子の渡り廊下でつながった「心霊閣」があって、そこには入ることができて、田主誠という人の「西国三十三所版画展」をしていました。 (入口の前には雪が残っていました。寒いはずだ。。。) 上の写真を撮っている位置は、「鐘楼」の前です。 手水舎の横に「鐘楼」がある配置になります。 境内はこれだけです。 ここは納経所が「本堂」とは離れたところにあります。 そちらに向かいました。 (【2】に続く。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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