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都営地下鉄の駅で夫婦らしい二人が切羽詰まっていた。
どうやらトイレを探しているらしい。 改札に出る辺りに来ると、おあつらえ向きに大きな看板がかかっていた。 そう、トイレの看板である。 オジサンの喜んだこと、喜ばなかったこと・・・って、どっちじゃい。 猛ダッシュで飛んで行った。 目指すはあの大きく光る看板の下。 「オジサン、よかったわね~」と人事ながらホッとしていた私。 ところがである、なにやらオジサンの様子がおかしいのだ。 オジサンの前には大きく開け放たれた扉、そこで、パタッと佇んでいるのである。 そこから見えるその中は、なんと、いわゆる車椅子用のトイレだったのだ。 そして、その入口にかかげられた看板の文字は……勝ち誇ったような・・・ 『だれでもトイレ』。 な、何なんだ? 『だれでもトイレ』って! ドラえもんじゃないんだから~。 オジサンがためらう気持ち、わかるなぁ~。 さすが、都営地下鉄だ。 お役人さんの考えそうなことである。 『車椅子用のトイレは作らなきゃならないが、使われる頻度か少ない。折角作ったんだから車椅子の人が来ない時は、一般の人に使って貰おう。勿体ないもんね。どう?だれでもトイレってさ、いいネーミングでしょう?僕たち頭いいよね~』 と言う所だろうか、都営さん? でも、はたしてそうだろうか? それって逆に、差別じゃないのだろうか。 車椅子の人たちは男女の区別さえ許されないの? 普通の男女別トイレにそれぞれ、車椅子用の個室も完備してあることが当たり前ではないのか? 普通のことが普通に出来て、同権なんだと思う。 その上で、介助が必要なら、我々だって労力惜しまないし。 それに、『だれでもトイレ』がふさがっていたら表で待っていろ!とでも言うのだろうか? いやいや、もっとひどい状態だった、その扉は最初から開け放たれたままだったのだ。 そう、車椅子用のトイレには密室が許されないらしい。 こういうのが、上から見た福祉なんだとつくづく思う。 オジサンだって、佇んじゃう訳よね。 大体、勿体なくてもいいじゃないか。 使う頻度が少なくても、いざと言う時に使えるように、いつも綺麗なトイレに保っておく。 そんな優しさがあっても、だれが文句いうだろうか。 別に他の人に使わせようとしなくても・・・・ え?もしかして、ネーミングだけでゴマカシテル? いやいや、それだけは考えたくないわい。 たまには相手の立場にたって、物事を謀ってくださいね、いや、図って下さいね。 優しさがない福祉なんて・・・ 大体、普通の人間が便利に使えてこそ皆に優しいって事じゃないのかな。 さてさて、さっきのオジサン、やっぱり『だれでもトイレ』には入る勇気がなかったようで。 ますます、血相を変えて改札口を出て行った。 お店にでも駆け込むのだろう。 オジサン、可哀相に・・・・ ちゃんと無事に別のトイレに行って下さいね~。 どうぞ、 『どこでもトイレ』だけにはなりませんように! │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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