東洋経済オンラインの「テレビ過去番組、さっさとネット配信せよ!」
「テレビ過去番組、さっさとネット配信せよ!」という表題で慶応の夏野教授が話をしている。私もこれは以前から疑問に思っていたことの一つであった。民放の放送は無料配信が難しかった。というか、それ以外でも色々と手間がかかったのだ。その理由が「その番組の作成に関わった人たちがその番組を他の用途に使おうとすると、その分の追加支払いを要求してくる」ということである。これは追加支払いの額をどうするということから、個々の関係者に了解を得るという手間が大変なので不可能に近いと言われている。夏野教授は過去の放送は捨てても、これから製作する番組についてはネット配信するという条件も入れて契約すればいいではないかと提案している。私もこの案ならなんとかなるのではないかと考えたことがあった。しかし、良く考えてみると、ネット配信するとかその他の用途に使うことも条件に入れると、番組関係者はそれで得られる利益も欲しいと思うはずである。従って、出演料などもそれを加味して値上げをする必要に迫られる。これが放送局側では難しいのではないか。というのは、放送局の商売というのは、「ある番組を製作して、それを放送する」ということで広告料というものをもらっているのだ。作って売る(広告料をもらう)というそれっきりの商売である。ところが、ネット配信などというものはそれっきりの話ではなく、その後から徐々にお金が入ってくる商売になる。こういう商売のやり方を現在の民放ではやっていないと言っていいのではないだろうか。つまり、新しい商売をやるわけで、現行のビジネスよりも先の見えない危ない商売に見えるのだ。だからそれにあえてリスクを賭けてみようという勇気が出ないのだと思う。ネット配信した時の追加をどういうように払うかという問題もあるが、とりあえず一括で割増して支払ったとする。そうするとその割増料金は放送局としては未だ入金していない、ネット配信していないのでお金が入らない、ということで借金みたいな形になってしまう。この借金がどんどん膨れ上がってしまうのではやってられないのだ。ネット配信した度にいちいち支払うなどということなどは、それにかかる手間を考えるとやってられないだろう。ということで、よほど放送局側がネット配信の事業計画をきちんと考えて、お金も準備してとりかからないと、放送局が潰れてしまいかねない。この点が一番の問題だと思う。しかし、夏野教授が言うようにネット配信に興味を示すユーザはかなりいるだろうから、これがビジネスになる可能性は高い。すでに海外ではきちんとビジネスにしているところがある。そろそろ日本でもビジネスを考えるところが出てきても良さそうである。東洋経済オンラインの記事は以下のところに。http://toyokeizai.net/articles/-/51841