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kihachin7

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2006.09.23
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カテゴリ:書評
『穴』ルイス・サッカー
』はアメリカの児童文学者ルイス・サッカー(Louis Sachar、1954-)の代表作です。1998年度全米図書賞、1999年度ニューベリー賞を受賞。2003年には映画化もされていて、現在日本国内でもDVDやビデオで鑑賞することができます。映画化にあたっては原作者のサッカーさんが脚本で参加しています。

主人公は中学生の少年スタンリー・イェルナッツ(Stanley Yelnats)四世。ちなみに「Stanley Yelnats」は前から読んでも後ろから読んでもおなじ回文となっています。ふとっちょで不器用な少年です。友達もいません。おまけにイェルナッツ家は代々不運続きで現在も恵まれた生活とは決していえません。

このスタンリーが「まずい時にまずい場所にいたために」無実の罪をきせられます。そしてテキサス州の少年院「グリーン・レイク・キャンプ」へと送られることになってしまいます。「グリーン・レイク」という名にもかかわらず、ここには湖(レイク)が存在しません。110年前には「テキサス一のとても大きな湖」があったのですが、まったく雨が降らない日々が続いたため、湖は消滅してしまったのです。

グリーン・レイク・キャンプに収容された少年たちの仕事はただひとつ。を掘ることだけです。毎日毎日、灼熱の炎天下で彼らは深さ1.5m 直径1.5m の穴を掘らされ続けます。「根性を養うため」「人格形成のため」という名目が一応つけられていますが・・・。真の目的が隠されているらしいことにスタンリーは気づいていきます。

精緻なミステリー仕立てのストーリーです。

スタンリーの「ひいひいじいさん」ラトヴィア生まれのエリャ・イェルナッツ、「エジプト人のばあさんマダム・ゼローニ、「西部で心底恐れられる無法者ケイト・バーロウ、グリーン・レイク・キャンプの冷酷な女所長ミズ・ウォーカー、スタンリーと同じテントの仲間、X線イカ磁石脇の下ジグザグゼロぴくぴくという綽名(あだな)の少年たち。彼ら・彼女らの運命が錯綜しつつ、物語は進みます。

もっとも印象的な登場人物はケイト・バーロウでした。またの名を「あなたにキッスのケイト・バーロウ(Kissin' Kate Barlow)」。もとは質素な女性教師でしたが、愛する男性を無残なリンチにより失ったため、保安官を射殺。その後は殺した男だけにキスをするという極めつけの無法者になってしまいます。小説では Kissin' Kate Barlow の活躍はあっさりと描かれていますが、映画版『穴/HOLES』は名女優パトリシア・アークェットが颯爽と女アウトローを演じています。

さらに映画では女所長のミズ・ウォーカーを、これまた名女優のシガニー・ウィーヴァーが伸び伸びと演じています。その悪女ぶりはいっそ爽快なくらいです。シガニー・ウィーヴァーという人が非常な風格を備えていることを再確認しました。

一見風変わりな少年たちの友情、愛する者を失った悲しみと血の復讐、恥知らずなまでの強欲、時代を超えて履行される約束。これらが複雑に入り混じりながら、読者は感動的な大団円へと導かれます。読後感はきわめて爽快です。

なおスタンリーと仲間の少年たちの「その後」は続編『』で語られています。グリーン・レイク・キャンプに送致されるような「ワル」だった彼らですが、現在はおおむね順調にやっているようです。

(『』ルイス・サッカー、講談社、1999)

道

 『道』





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Last updated  2006.10.11 14:12:23
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