佐倉義民傳がサーカスだってことじゃなくてね。
これを作っている人たちに対してそう感じたってことで。
串田さんや笹野さんは3月、このコクーンで「上海バンスキング」
勘三郎さん達はは4月は歌舞伎座さよなら公演、その後も忙しく
七之助君にいたっては5月も演舞場で花形歌舞伎などなど…
回を重ね、注目されている舞台なのに、短いお稽古期間。
昨年末、「大江戸りびんぐでっど」のゾンビダンスで歌舞伎俳優の
新しい可能性を証明したこの座組
今回はラップに挑戦!なんて思いきったことを発想し、実現。
それも奇をてらっただけのものでなく中村座プレゼンツとして
最高の形で提供してくれるのはサスガ!
そもそも、その時代に起きた事件をもとにタイムリーに、しかも
かぶいて(傾く、派手な格好や
常軌を逸脱した行動)
いるのが歌舞伎の語源ならいかにも!ではあるが。
まだ、それほど歌舞伎に興味がなかった頃、大河ドラマの前田利家を
演じた唐沢寿明さんがタブン、初回と思うけど、派手な着物と髪型にメイクで
登場し、傾き者(カブキ者)と言われたシーンがあって、
おおこれがカブキ者そうなのかと思った記憶アリ。
ちょっと話がそれるけど、香川照之さんがスタジオパークに出演した際、
今でこそ演技派俳優として地位を確立している香川さんだけれど
認められるきっかけとなった「利家とまつ」の時の秀吉役は、
自分がちゃんと受け止めるから思い切って好きに演じなさいと言って
くれた唐沢さんのおかげだと感謝を述べていた。
香川さんは歌舞伎ファンは誰でも知っているけど名優の猿之助さんの
ご子息。
浜木綿子さんと猿之助さんの離婚によって梨園を離れ東大出の俳優さん
として芸能界に登場した。
歌舞伎の御曹司のように父や祖父などから手取り足とり芸を継承する
ことはなかったけれど、唐沢さんだけじゃなく松田優作さんにも
可愛がられ、アドバイスを受けてたというから、どこの世界に居ても
受け継いで、その人なりに消化して昇華していくんだ。
と、また寄り道しすぎ!軌道修正要。
ラップの詩をつけた「いとうせいこう」さん等が今回のプロジェクトに
参加できた喜びと苦労をプログラムで知ることが出来る。
キャッチしてくれる手が必ずある
ことを信じないと実現しない
それが空中ブランコのパートナーに思えたから…
演出の串田さんも演じる勘三郎さん達も音楽の田中傳左衛門さんも
自分の仕事の部分はあくまでもキッチリ、最善を尽くし、
人を信じて委ねるところはパッと手を離す潔さがあって、
プロの仕事!
素人の私達は、素直にありがたーく!感動をいただきます!
お弟子さん達、共演の役者さん一人、一人のあのキラキラした目。
義民傳に関わる一人としての喜びにあふれている気がした。
磔になっても胸を張っていた宗吾様。
おらが宗吾様なんだと誇りに思う佐倉の民がそこにいるように。
それは、忠臣蔵で浅野内匠頭のために畳職人達が江戸っ子として
夜を徹して針を持つことに誇りをもったように。
気持ちだけでは、お腹はいっぱいにならないけれど(物理的には)
気持ちが満たされることなく生きてはいけない、
やっかいで、だからこそ素敵な人間ドラマがそこにある。
人と一緒に何かをするって、どこまでが責任の範囲?とか
めんどうなことも多いけれど、尊重し合って、甘えるところ
任せるところ、と引き受けるところがいい塩梅にはまると
一人の時より数段感動は大きい。
舞台上の人、舞台を観る人、1000人以上が同じ時
感じ方は別としても、同じ空間で同じテーマについて考えている、
それは舞台の醍醐味のひとつ。
|
|
|
|