公示価格の発表1月1日時点の公示地価は大都市圏で底打ち傾向が鮮明になる。東京都心五区 (千代田・中央・港・新宿・渋谷)の全用途平均が前年比0.8%上昇と15年ぶりに プラスに転じ、名古屋、大阪圏でも上昇地点が広がる。人口流入やオフィス 需要の回復、不動産投資の拡大が主因だ。全国平均は前年比5.0%下落と14年 連続のマイナスがなお続くが、地方圏も8年ぶりに下げ幅が縮小。国交省は 「変化の兆しが鮮明」と分析している。 全国平均は住宅地が4.6%、商業地が5.6%の下落。前年と比べ住宅地は1.1 ポイント、商業地は1.8ポイント下落率を縮めた。ピーク時の1991年と比べると、 住宅地は約46%下落し、バブル前の86年とほぼ同じ水準。商業地は約70%下がり、 比較可能な74年以降では最低の水準が続く。 都心五区は住宅地が1.4%、商業地は0.5%の上昇。都心住宅地は17年ぶり、 商業地は14年ぶりに水面上に浮上。中心部への住民回帰や再開発による 集客力の向上が地価上昇につながる。文京・台東・豊島の三区を加えた都心 八区の全用途平均も15年ぶりに0.1%の上昇に転じた。 上昇・横ばい地点は、駅から近いなど利便性に優れた地点を中心に、目黒・ 大田・世田谷の各区を始めほぼ東京23区全域に波及。都区部住宅地は 0.3%下落、商業地は0.5%下落とほぼ横ばい圏内に入った。 「上昇」と「横ばい」に下落率1%未満の「ほぼ横ばい」を加えた下げ止まり地点の 割合は、都区部住宅地では全体の79%(前年比39ポイント増)、商業地では 62%(35ポイント増)に上った。 東京都武蔵野市、千葉県浦安市、千葉市美浜区の住宅地が平均で上昇した ほか、商業地も東京都立川市や千葉県柏市で上昇地点が出るなど、東京近郊の 都市にも下げ止まりや底打ちの傾向が広がる。みずほ証券の石沢卓志チーフ 不動産アナリストは「再開発に伴う土地取引の増加などが地価を押し上げて いる」と指摘する。大阪と名古屋でも底打ち感が強まる。半年前の基準地価 (2004年7月1日時点)で14年ぶりに上昇地点が出た大阪市は、商業地で 12カ所、住宅地で2カ所が上昇に転じた。 |