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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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グリスパと金利


先週の金融市場における最大の焦点は、やはりグリーンスパンFRB(米連邦準備制度
理事会)議長の発言との指摘が多かった。グリーンスパン発言次第でとくに米長期金利の
当面の流れが決まるといった見方が多かった。

グリーンスパンが長期金利を決める?
少し冷静になってみると、「グリーンスパンが長期金利を決める」といった考え方はおかしい。
なぜなら、グリーンスパン、つまり中央銀行といえども長期金利に対する影響力には限界が
あり、基本的には金利というものは市場が決める、市場によって決まるということが本来の
常識だからである。金融政策を運営する中央銀行は、政策金利を変更させるため、それと
連動している短期金利にはきわめて大きな影響力を発揮する。その意味では、「短期
金利はグリーンスパンが決める」といってもおかしくない。しかし長期金利になると、政策
金利との連動性は薄まる。このため、さすがの中央銀行も、長期金利は思うままにできない
というのが実体なのである。その証拠に、上がり過ぎでも下がり過ぎでも、勢いづいた長期
金利の動きに対しては、いくらグリーンスパンが諌めてもまったく無視されるということが、
これまでに何度もあった。にもかかわらず、今回とくに「長期金利はグリーンスパン
次第」のような見方が多くなったのは、一応理由はあっただろう。今年2月、
グリーンスパンは、「利上げを続けているのに、長期金利が下がっているのは謎だ」と
発言した。それを受けて長期金利が急反発となったことは金利動向を見ている人にとって
記憶に新しい。このため、長期金利へのグリーンスパンの神通力とも言うべき影響力が
注目を集めたということだろう。

中央銀行でも、本来的に思う通りにできない長期金利。ではそれは何で決まるのか。
一つは国債の需給という意味で財政だ。そしてもう一つは景気である。このうち財政は、
米国の場合も赤字が拡大しており、その意味では供給過剰で債券下落、利回り上昇
要因だ。問題は景気だが、これは最近の場合慎重な見方が続いていた。発表される
景気指標が不調続きだったからだ。ただし、そんな景気指標発表で、ちょっと気になる
動きがあった。6月3日注目された米5月雇用統計発表は、事前予想を大きく下回る
悪い結果だったが、にもかかわらずに米長期金利は下げ渋り、むしろ引けにかけては
急反発となったのである。長期金利は、財政と景気で決まる。そのうち景気は悪い結果が
続いていたがそれでも長期金利は下げ渋りの兆候が出ていた。その兆候が正しいとすれば
それは、長期金利はすでに悪い景気指標も織り込むほどの「下がり過ぎ」になっている
可能性があるということになる。相場分析の一つのコツに、冷静になってみると非常識な
ことを、誰もが常識として疑わなくなっていることをいかに見つけるかということがある。
倒産・上場廃止系銘柄のお祭りの動きがその典型であるが、上がるから買う、買うから
上がる、そんな銘柄を一歩引いて見てみると、冷静になってみてみると、どうにもこうにも
買える水準ではなく、あとは下がるだけ、なんてことも珍しくないのだから。だからこそ、
冷静にそして、迅速に対応・分析・判断できる能力を養う必要があるだろうね。


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