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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

プロも失敗する


伝説のファンドマネージャーにピーター・リンチという人がいるのはご存知だろうか。
リンチは、フィディリティー投信のマゼランファンドを77年から13年間運用した。
この13年間で、マゼランファンドは0.2億ドル⇒140億ドル、(日本円にして24億円
から約1兆7000億円)へと成長した驚異のファンド。新規に流入した資金も多いわけ
だが、それにしても驚異的。そんな彼も当然人であり、プロといわれる人も失敗を
数多くしている。そうした中の1つに、1971年当時、リンチがまだアナリストだった
ころに、カイザー・インダストリーズという株を推奨していた時の失敗談がある。
カイザー・インダストリーズは不動産、アルミ、鉄鋼、セメント、造船、放送などの
ビジネス基盤をもつ強力な大企業で、財務体質についても良好であることを、
リンチは徹底的に調べ上げていた。25ドルだった株価は13ドルまで下がってきて
おり、企業内容を徹底的に調べ上げていたリンチは、「10ドルを割ることは絶対に
ない」と確信を持ち、強気の推奨レポートをした。その推奨をうけて、リンチが
所属していたフィディリティー投信は11ドルで500万株と、米国の証券取引所の
歴史に残るほどの大量買いをした。その後、株価は10ドルを割り8ドルになって
しまった。このときに、7.5ドル以下になるはずはないと思ったリンチは、自分の母親に、
すぐ買うように勧めた。しかし、カイザーの株価は7ドル、6ドルと下がり、その下がる
様子をリンチは恐怖感をもって見ながら、発狂しそうになり、やっと4ドルで下落は
止まった。

この後に、カイザーの株価は30ドルまで戻したのだが、4ドルになったときには、
もうこれ以下には下がらないよという元気はなく、本当に底が見えなくなったとき
だった。リンチがカイザー株について語る言葉を失い、自信を失った時、やっと
カイザー株は底入れした。強気の人間が言葉を失い、自信をなくし、投資スタイルを
変えようとするくらいにならないと、底入れしないということの一つの例だろう。
今プロの投資家、トレーダーといわれる人たちがこれだけやられ、自信をなくし、
投げやりになり始めている。そういう意味で、底が近いと言えるのだろう。

結局のところ、13ドルから買い推奨し、最終的には30ドルまでいったわけで、
リンチの企業を見る眼は確かだったと言える。また、リンチのように、確信を
持てるまで企業を調べるということの大切さも教えられる。その中で彼がひとつ
ます。失敗だったのは、会社の業績や裏づけとは裏腹に、底値はこのあたりだろう、
と決めたことだ。ずっとずっと下がり続けるいい会社はない。しかしある程度は
下がり続けることが十分ありえるのだ。これが株の怖いところであり、人の心理を
うまく利用したゲームである所以だ。現在、そんないい会社が安くたくさん
転がっている。

pool to ocean


それではどうすれば良いかと言えば、良い株だと思うし、お買い得の水準に来たと
思うと判断して株を買い始めるのはいい。その時に、もうこれ以上は下がらないと
決め付けて買うのではなく、下がったら、買い増せるようなロットで打診買いをする
のがいいのではないかと思う。リンチのケースでは、10ドル以下にはならないと
決め付けてしまったことが、その後の下げを冷静に見られなくなってしまった原因に
なったのだから。

自分が売ったら、その後グングン上昇して…というのはよくあるパターンだが、
曲がりなりにもキチッと利益を出して売却した点は、さすがだ。それだけの資金力が
ないと難しいだろうが、株価が下がってもこの銘柄は大丈夫だという自信を保てる
だけ銘柄のことをキチっと調べていることが、安値で手放さないという結果に
つながっていたのだろう。

今こうして傷んでいるポートフォリオを眺め、先行きに不安を感じている投資家が
多く回りにいる。プロが廃業を考えたり、今の資金をキャッシュ化し、引退をほのめかす。

冷静になろう。何のために株式投資をしているのか、何を目指してやっているのか。

1ヶ月くらい休んだっていい。全部キャッシュにして、シミュレーションに入ってもいい。
今急いで取戻そうなんて思って大きな金額を少数の銘柄にベットして、そんな博打が
成果になるだろうか、この先何年も株式投資をしようと思うのなら、急ぐでない。
落ち着こう、そして今するべきことを考えよう。


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