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株/投資/ヘッジファンド/きまぐれぽんた

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資金調達の真相



10月26日付の日本経済新聞は、証券会社の引き受け審査を厳しくするよう、
日本証券業協会が基準を新設することを報じている。具体的には、日本証券業
協会が、調達資金の使途などに関する審査の厳格化と用途の明確化を引受
証券会社に義務づけ、公募増資など株式発行で企業が資金を調達する
「エクイティ・ファイナンス」を野放図に拡大するのを防ぐようにするとのこと
らしい。

日本証券業協会が証券会社の引き受け審査を厳しくするよう求める背景には、
エクイティ・ファイナンスや株式関連の債券による手法で企業が安易に資金
調達する例が目立ち始めたことにある。たとえば、日本航空は、株式総会の
わずか2日後に、発行済み株式の35%もの新株を発行することを決め、
約1500億円を調達した。日本航空は、資金調達の目的として新型航空機の
取得と説明しているもののこの実態は2007年3月に償還期限を迎える社債の
ための1000億円程度の資金であり、資金繰りのための株主を裏切った大型
増資ということになったのだろう。その他、ある特定の株主が儲かるような、
有利発行の第三者割り当てや既存株主の損失を厭わないMSCBの発行及び
乱発など、目に余る資金調達が増えてきていることも少なからず影響している
のだろう。

銀行が企業に融資をする場合には、企業の財務状況だけでなく、融資で得た
資金の使い道(使途)も当然精査する。不動産業界や不動産ファンドでよく
使われるノンリコースローンなどもその典型だろう。融資資金が、社長の遊興費や
不採算投資など企業の収益拡大に結びつかない目的に使われてしまうと、融資
資金が返済されない可能性が高まるのだから、そのチェック機能があってしかる
べき。

しかし、公募増資などのエクイティ・ファイナンスで得た資金も銀行融資と同じく、
調達資金の使途については精査し、企業収益の拡大に使われることを前提と
していなければならず、資金使途が不明確な場合はエクイティ・ファイナンスの
実施が困難にならなければならないはずなのだが、数多くの投資家へ分配する
というだけで、特におとがめもなく、既存株主に泣いてもらうだけで一部の人間が
潤っている。この主たる原因は発行体ではなく、証券会社にあるのではないか、
証券会社がそそのかす甘い話に何も分からない発行体が乗せられてしまうため、
証券会社主導で由々しき事態を招いていると考えたのが日本証券業協会の
ようだ。経営者のみなさん、証券会社の言うことだけ聞かず、しっかりとその後の
会社の行く末、株主、業績を考えてアドバイスをしてくれる第三者やブレーンを
そばにおいてくださいね。投資家のみなさんもそういう視点で経営者を見てくださいね。

元投資銀行のバンカーとして、リサーチアナリストとして、またヘッジファンドの
プロのアナリストとして、各種経営相談乗りますよ~



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