キモノで観劇・感激日記

11月11日は、川上音二郎の命日だそうである。
ということで、昨年閉館した芸術座に変わる新しい劇場「シアタークリエ」のこけら落とし公演「恐れを知らぬ川上音二郎一座」を、奇しき因縁により観ることになった。

観る前に、友人と日比谷シャンテ２階の「ゆとりの空間」で久しぶりにランチをする。
彼女は、横浜店には、行ったことがあるが日比谷の「ゆとりの空間」は、はじめてとのことで、横浜の店に行ったことがない私に違い（横浜はデザートがつくらしい）を話してくれた。

横浜より日比谷のほうが、地代等色々割高かもしれない。

ランチ後、本日の観劇「恐れを知らぬ川上音二郎一座」を観る（敬称略）

人気脚本家・三谷幸喜の作品。演劇好きのわたしとしては、できるだけ観るように努力している二人の作家の内のひとり（もうひとりは井上ひさし）である。
この作品、初日発売で完売だったらしく当日券を求めて長い列ができていたのは、さすが人気者。

笑いのツボは、はずさずにアメリカに渡ってからの「川上音二郎一座」のあれやこれや（挫折と成功）をひきこもごも面白く綴って行く。実力のある役者の個性にあわせ見応えのある作品に仕上がっているが、その中でも伊東カメを演じた堀内敬子の東北弁には、圧倒された！
何を言っているのかわからないのだが、言いたいことは通じている（笑）
カメの生き方にも東北人らしい渋とさがあり、おいしい役を見事に演じきって、もっとも印象に残った。

ただ、楽しみにしていた音二郎がアメリカで上演した日本版「ベニスの商人」でのかの地で大いに受けた演出の逸話がなかったのは個人的に残念である。
その演出とは、ユダヤ人の金貸しシャイロックが金を貸す際に吹っかけた証文（人肉）の場で、音二郎シャイロックは、腰にした携帯の筆と墨で、アントーニオの胸に一ポンドは、これくらいと描いたというものだったのだが・・・。

後ひとつ、うーんと思ったのが
貞奴に対して「貴方が舞台に立つと圧倒的な華がある・・あなたの美しさとオーラに、すべての観客が惹きつけられた。」というような台詞が劇中であるのだが・・・残念ながら貞奴を演じた常盤貴子にそこまでの美とオーラは感じられなかったため、空しい台詞になってしまったのが惜しまれる。

ともかくも12月末までの公演は、はじまったばかり、楽に向けての進化を見ることはできないが、舞台は、生もの。どんどん変わっていくものなので、常盤貞奴が、輝きをますかどうかさてといったところであろうか！

＜出演者＞
川上音二郎 ･･･ ユースケ・サンタマリア
川上貞 ･･･ 常盤貴子
助川タエ ･･･ 戸田恵子
伊達実 ･･･ 堺雅人
甲本与之助 ･･･ 堺正章
津田山蔵人 ･･･ 浅野和之
飯尾床音 ･･･ 今井朋彦
伊東カメ ･･･ 堀内敬子
大野熊吉 ･･･ 阿南健治
小村寿太郎 ･･･ 小林隆
ホイットモア夫人 ･･･ 瀬戸カトリーヌ
野口精一 ･･･ 新納慎也
綿引哲人 ･･･ 小原雅人
ヘンリー・アーヴィング ･･･ ベーカー・ウィリアム・ヒュー

作・演出 ･･･ 三谷幸喜

本日のきもの：幾何学模様の白大島に菊の名古屋帯で季節感を、孔雀の宝飾帯留でマダム貞奴の艶やかのおすそ分け。