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指導教官のドン・キーンから呼び出されて
彼のオフィスを訪ねると、 紙の束を渡された。 「ほらよ。ソフィアからコメントが来たぜ」 ソフィア。 わたしのもう1人の指導教官。 いや、もう1人というより、 彼女が本来 第一指導教官なのだ。 以前書いているけれども、 わたしには2人指導教官がいて、 第一指導教官がイタリア人のソフィア。 第二指導教官がイギリス人のドンだ。 ソフィアは比較政治学と政治制度論が専門。 ドンは国際政治経済学と日本が専門。 わたしの研究に関しては、 ソフィアが理論面のサポート、 ドンがケーススタディである日本に関してサポート という担当になっている。 ところが2年前、 わたしがPhDを始めた直後に、 ソフィアは 学会のイタリア政党政治研究プロジェクトのリーダーになってボローニャ大学に長期出張に行ってしまった。。。 それっきり帰ってきてない。 わたしはあわわわ。。。 な気分になったが、 彼女は、 「わたしが帰ってくる頃には、 だいぶ進んでいるわね。 わたしはそれから指導したら スムースに物事が進むわね」 という、いかにもイタリア人的な合理的思考をして ばいばいーってな感じで行ってしまった。。。 彼女は今年の6月に帰ってくることになっているのだが、 昨年末にドンが、これまで彼に提出していた わたしの論文のコピーをソフィアに送って コメントをもらってくれたようだ。 ドンは、 「まあ、あんまり詳しく読んでないけどよ。 (こいつはいつもこれだ。。。) 研究の方向性は間違ってないんじゃねえの。 このままやればOKだぜ。 はははは。」 と言って、ポイッとわたしにソフィアのコメントを渡した。 そのままわたしは芸術会館のカフェに移動して 彼女のコメントに目を通した。 あんまり難しいことは書いてない。 ただ、細かい英語の文法とか直してある。 意外にも、結構しっかり読んでいるようだ。 コメント自体はソフィアらしいものだった。 ポイントポイントで 「この雑誌の何年何月号の○X氏の論文を読め」 「□△氏の本を読んで書き加えよ」 と書いてあり、これが10冊くらい書いてある。 それにしても、 これらの本や論文は当然わたしのために新たに読んだわけではない。彼女の頭の中に全部入っているのだろう。 さすがである。 ソフィアはわたしの修士論文の指導教官でもあったのだが、 彼女の指導はこれまでずっと「OK」か「これ読め」だけだ。 彼女は手取り足取り教えてくれることはない。 「読むのはあなた、考えるのはあなた。 わたしはアドバイスだけ」 と言い切る。 これは後日、回想録に詳しく書くが、 わたしの修士論文の彼女の指導時間はわずか15分。 コメントはわずか一箇所「これ読め」だけだった。 (他の学生は何時間も指導を受けられたのだが。。。) ところが、 「これ読め」と言われた本を読んで書き直してみると、 がらりと文章が引き締まったので驚いた。 この人は頭がいいと感心したのを覚えている。 もちろん、 これは修士論文やPhDの中間点に関しての指導だ。 いや、たぶん彼女にとっては こんなのは指導のうちには入らない程度のものだろう。 博士論文も書き上げる頃になると、 厳しい厳しい指導があると覚悟している。 まあ、まずは6月までに彼女が「これ読め」 というものを読破することですね。 それでは、また お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年02月11日 21時40分40秒
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