968973 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

Mayuとあなたと。

【リンパ浮腫について】野田先生Q&A集!

ここでは、私が【リンパ浮腫】でお世話になっている『のだレディースクリニック』院長の野田雅也先生にお願いしてお答えいただいたQ&A集を転載します。

これは、私が広報(会報作成)を担当する札幌乳腺外科クリニック患者会ポジティブアクションクラブの会報に載せるために、ご協力いただいたものです。

もし、何かのお役に立てていただけたら嬉しいです。
※無断での転載などはやめて下さい。

【Q1 術側の腕や、腋下のムダ毛は、怪我さえしなければカミソリで処理してもいいのですか?】
⇒A、浮腫んでいる腕・腋下のムダ毛処理ですが、やはりカミソリは使用されないほうがいいと思います。
これは、乳がんなどで手術を受けた側から採血しないことと同様な考えによります。
つまり、リンパ液の流れが悪くなっている部分に傷がつくと、その部分からばい菌がリンパ管に侵入し、蜂窩織炎(ホウカシキエン・リンパ管炎)を起こす可能性があるためです。

【Q2 ケガや虫刺されがあったときのために処方されたリンデロン軟膏や、ゲンタシン軟膏は、どう使い分けたら良いのでしょうか?】
⇒A、ケガや虫刺されがあった場合の軟膏は、リンパ浮腫のある部分に使用する場合は“リンデロン軟膏は使用禁忌”です。
リンデロンは、副腎皮質ステロイド剤で、免疫を弱めていく可能性があります。
(以前、蜂窩織炎を誤診した医師が、アレルギー反応だと言ってステロイドを静脈内注射し、多臓器不全になって3ヶ月間入院した患者さんを知っています)
基本的に、“リンパ浮腫の部分のケガに使用する軟膏はゲンタシン軟膏を使うように”しましょう。

【Q3 術側の腕をペットや動物に噛まれた場合の処置は・・・?】
⇒A、応急処置として“まずは消毒”です。かなりの頻度で蜂窩織炎が起こる可能性があるので、出来れば同時に局所の抗生剤軟膏の塗布とあわせて、予防的抗生剤の内服が良いと思います。

【Q4 日常生活のちょっとした動作でリンパ液の流れを良くするには・・・?】
⇒A、リンパドレナージ(リンパ液の流れを良くするための専用のマッサージのようなもの)同様、手を心臓より多角することが誘導には最も良いと思います。
一例として、バスのつり革や時々思い出した時に手を高く挙げてブラブラする運動、荷物などリュックに入れて行動し、肩ベルトを手で掴むと良いと思います。

【Q5 リンパ浮腫の予防策ってありますか?】
⇒A、リンパ浮腫発症での問題点は、いつ症状が起こるか予測できない点です。
発症率は約20%と考えられています。発症時期は3年以内が最多で、20年以上して発症した方もいらっしゃいます。
予防法は、今のところこれと言って無いのが現状ですが、蜂窩織炎予防のためにスキンケアなどを日ごろから行っておくことは大変有効です。
予防的に圧力の低いストッキングを着用することも良いと思います。

【Q6 テニスやバレーボールなどのスポーツは不向きでしょうか?】
⇒A、原則として、乳がんの場合、術側の手(子宮ガン・卵巣ガンは両下肢)が傷つく可能性のあるスポーツは遠慮されたほうが良いと思います。
同様に、筋肉痛が発生するような運動も避けたほうがいいです。
運動の負荷状態にもよりますが、バレーやテニスはやや不向きだと思います。
(水泳、ダンス、ヨガ、ストレッチ、マラソンなどは、浮腫改善に効果的だそうです。)

【Q7 野田先生は、どのようなきっかけでリンパ浮腫治療に取り組まれるようになったのですか?】
⇒A、私のリンパ浮腫との係わり合いは、婦人科に入局して早々に出張した北見赤十字病院から始まります。
ここで手術した患者様が、浮腫と痛みで外来を受診したため、以前より行っていた麻酔(ペインクリニック)の技術で痛みを取り除く治療(硬膜外ブロック法)を入院のうえ行いました。
治療開始から痛みと浮腫みが同時に軽減し、この治療がリンパ浮腫治療に応用できると実感しました。
世界的にもこの治療は初めてのことだったので、発表してから産婦人科や癌治療の学会で取り上げられ、昨年癌治療学会で会長講演でも発表されました。

【Q8 野田先生から見て、リンパ浮腫治療をする上で行政上の問題点は感じられますか?】
⇒A、まずはリンパ浮腫に対するストッキングの全面的な保険適用です。
交感神経ブロック法と同様に有効率の高い治療なので、早急に対応していただきたいです。

【Q9 どうして、リンパ浮腫に対する関心がそれほど高くないのでしょう?】
⇒A、まず大きな問題なのが、手術をした医師自身が患者様の立場で、リンパ浮腫の正しい情報を伝えていないことだと思います。
いくつかある治療法の治癒率に関する検討もなされていないのが現状です。
有効なのかわからない治療法が主流であることも問題です。
情報をオープンにすることが大切だと思います。


野田先生とのQ&A集は、以上です。






© Rakuten Group, Inc.