048670 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.06.02
XML
カテゴリ:MEIGEN集



僕は今、ちょっと重い仕事を任されている。
といっても、ベテランの先輩とコンビでやっていくので大したことはない。
多分。

そして‥
その先輩42歳を、「この人本当に恐ろしい人だなぁ」と思った、
表題の一言が今週の名言である。




コンビで向かった、その仕事の交渉の席。
相手は、我社が最も恐れる販売代理店の巨星だ。
偉い人、若いやり手、新人君というキャスティングで先方は向かい側に座る。
コンビで相対するが、結構なプレッシャーである。



「どうして出来ないんですか。社内にも社外にもうまく言ってくださいよ」



若いやり手は予想通りどんどん押してくる。
高校も大学も超一流と聞いたことがある。


・・当初、この販売代理店は、Bという企画をやりたかった。
しかし、企画Bでは倫理規定上、我社も、我社の関係会社もうなずかない。
だから、まず企画Bから毒を抜いた企画Aを持ち込んできたのだ。
我社がうなずき、話を進める段階で先方がB企画への変更を求めてきている、
そして、話せば話すほど、どんどん毒の含有率が増していく・・
大まかにはそういう状況だった。


「あなたたち営業でしょ。そのくらいまとめるのが当たり前でしょ
・・多かれ少なかれそういうことでメシ食ってるじゃないですか」


営業でしょ--。素人営業マンの僕はこの言葉に弱い。
営業というのはそこまでやらなければならないのか・・。


「いやいや。この話というのはね、
最初にボタンのかけ違えからスタートしているんですよ。
だから、まずはそれを丁寧にかけ直さなきゃいけないんですよ」


先輩は、にこにこしながら厳しい口調で言い返す。




「ところで・・ここの部分はどうするおつもりなんですかね」

「あっ」


話のところどころで、相手の虚をつく。



・・・



「なんでC案(Bにさらに毒を強めたもの)じゃいけないんですか
B案とどう違うと言うんですか。
営業として上手く話して、通してくださいよ」


「だからね、今は、A案とB案のボタンの掛け違えを、内部的にも対外的にもなおす
作業をしているんですよ。それでC案を約束なんて、出来ませんよね」

「えっ、何でですか・・」

この際、話を白紙に戻してしまおう、とは言わない。
先輩は、同じ説明を、徐々に語気を強めながら繰り返す。
結局、お互いに持ち帰って検討ということになった。


* *


「あいつ、頭はいいけどダメだなぁ」


帰り道、先輩は笑顔を崩さず話す。


「詰め将棋で言うと、こっちがもう最後の駒を握っていて、
『これ以上話を進めると、アンタ詰んじゃいますよ』っていうことが、
あれだけ言ってまだ分からないんだよなぁ。
こっちはそれを笑いながら言うか、怒りながら分からせるかっていうことだけだな。

・・・詐欺師としては、こっちの方が上だからね」



先輩の笑った猫のような細い眼は、
夕日を受けて不気味に光っていたのだった。


この春転勤してきたこの先輩は、営業一筋。
マーケティングの本を月に4冊は読むという。


ひさしぶりに、僕は今、「すごい」と思える人を、見ている。







DSC_0061.jpg

















お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.06.02 14:40:38
コメント(2) | コメントを書く
[MEIGEN集] カテゴリの最新記事


PR

Calendar

Category

Freepage List

Headline News

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.