705744 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

PLAYWORKS岸井大輔ブログ

PLAYWORKS岸井大輔ブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2004.07.15
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
原稿の締めきりなので、籠って書く。
うちのコンピュータ、壊れる。
再び、パソコン募集。

****

緊急連載 土地勘を演ずる -POTALIVE市川編レポートー 2

考えてみた。
今、演劇を作ってから、客を呼ぶ。
しかし、演劇は、他の芸術以上に観客がいないと始まらない分野だ。
だから、人の集まりに合わせて、演劇を作る方が正しいのではないか。
もちろん、それは、受けをねらう、とか、ターゲットとしての観客を分析する、などではない。全く違う。
むしろ、人の集まりこそ、演劇芸術に携わる我々にとって、素材である。
人々を解釈し、弄り、自分の解釈をほどこし、そして、作品を作るべきなのだ。
しかし、それは、他人を気侭に扱っていいということでもない。
芸術家は、素材への畏敬が基本である。演奏家が楽器を誰よりも大事にするように、演劇家は、人間の集団を自分の素材として誰よりも大事にするべきである。大事にする、とは、素材を知り、愛し、従い、よく見る。その結果として、よい作品ができるのだ。
で、あれば、リアルな人の集まりと大事に取り組み、結果としてその集団の自己表現を手伝うようなことをしたい。
そして、リアルな人の集まりの1つとして注目したのが、「土地勘を共有する集団」つまり地域住民である。
実際、それから地域の人と話しで作っていくと、演劇が求められているのがわかる。インターネットもあるし、誰でもそれなりに美しいデザインがくめるけれど、その土地に長年すんでいる人がもっている身体感覚=土地勘を伝えることができない。それが伝わらなければ、景観や地域文化は破壊され、一見活性化しても、地元民からみれば衰退と見えるようなまちづくりが横行することになる。
そこで、2003年から「土地勘を伝える」演劇を考え、実践する活動を「POTALIVE」と銘うって、始めることにした。POTALIVEとは、ゆるい散歩や日帰りサイクリングを表す「ポタ」に演技、ダンス、演奏などを表す「ライブ」を組み合わせて作った造語である。

市川編

活動をはじめて半年目に千葉商科大学の山口先生にご紹介いただき、まちづくり活動の一貫として、POTALIVEを実施することになった。取材は3カ月。今、メモを見ると150人の人と話している。
最初は、市川の黒松を見に行けば、という話だったが、それは横浜の歴史的建造物と同じことで意味があると思えなかった。演劇で大事なのは、まず、人であり、景観ではないからだ。
1月が過ぎたころ、寺社が全て清潔であり、しかも、人が多いことに気になりだした。生活の一部に信仰が取り入れられているようなのだ。
そこで、大晦日に市川で年を越し、初詣をして、人の流れを見ることにした。弘法寺から菅野までのお寺を一通り巡り、人の話を聞いてまわる。
午前0時30分に手児奈橋を渡ったとき、天上から法華経が聞こえてきた。手児奈さんではない。国分寺か、鴻台女子か、と思ったが、もっと近い。川沿いの小さなお堂の扉が開け放たれ、そこに座る僧侶の背を見たときに、はじめて、これは浮嶋弁財天から聞こえていることに気がついた。おばあさんがひとり上がり込んで熱心に手を合わせている。
調べてみると、このお堂は、別に観光地ではない。江戸名所図絵なんかには載っていない、本当に地元のお堂だ。しかし、明治の地図にものっているし、そうとう古いものであるのは確からしい。あの辺りは、最近まで洪水のよく起こるところで、その度に変わる地形でできた浮嶋の上に祭られていたのではないか、と考えた。
洪水の象徴を祭る、沼地に住む民。そういえば、市川の伝説はこの沼地とセットになっていることが多い。手児奈はもちろん、雨月物語、ヤマトタケルもここだ。里見姫のイメージと弁財天が蛇を媒体になんとなくつながり、浮嶋弁財天を舞台にした、浮嶋弁財天の物語りを20分の演劇「うみをまつ」にまとめることができた。
今後も、市川でポタライブを作っていく計画である。まちに演技をさせるには、長い時間を書けてつき合うしかないと思っている。その折は、是非見に来ていただければ、と思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004.08.06 14:32:22


PR

Free Space

「PLAYS and WORKSは、寄付金を募集しています」

岸井大輔の劇作や活動は儲けを目的としてはいませんが、制作にお金はかかります。創作活動を支援してくださる方を募集しています。
詳しくは、kishiidaisuke(a)gmail.comまで。よろしくお願いします。

© Rakuten Group, Inc.