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薄暗い倉庫の中、椅子に座り佇んでいる姿がある。
つややかな銀髪と白い肌、それと対象に黒い目と服装。 魔導甲冑ウォードである。 只今彼は勤務中である、何もしていないように見えるが勤務中である。倉庫の中の本は綺麗に整頓され、埃一つ貯まっていない。空気はひんやりとしていて、乾燥している。 この環境をウォードが作っている、表面温度と空気の対流を制御してこのひんやりかつ乾燥した空気を作っている。 いつもならば、ただ黙々とエアコンの代わりをしているウォードだったが、今日は気になることがあった。 (昨日のでーとのとき、何者かが自分たちの後ろをつけている事には気づいていた。一人はエレナでもう一人がわからない。 可視光線のレーダーには全く反応が無く、それで居て魔力感知におぼろげに反応しているこの不思議な気配は、出現と消滅を繰り返しながら塚津離れずの距離を保っていた。 敵意は感じなかったのでほおって置いたが……) 「おーい、ウォード?」 (それに、最近この店の近くで同じような反応を感じたような気がする……) 「ウォ-ド?昼休みだよ?ってつめたぁ!」 その声にはたと我に返り。 「エレナか、どうした。」 彼女は霜のついた手を息で温めながら。 「どうした、じゃないって。お昼休み。ご飯いらないの?」 「わかった、行こう。少し考え事をしていた。」 「考え事?」 「あぁ、後で話すから、ここを出るぞ寒いのが好きならここでも良いが。」 「そんなわけないでしょう……。」 いそいそと部屋を出る二人。 その姿をじぃーっと窓からのぞく一つの人影があった。 (居ない居ないとおもったらこんな所にぃぃぃぃ!うふふふふ静かに椅子に座って目を閉じる彼の姿……きゃぁぁぁぁぁぁ!!) 心の中で黄色い声を上げる。 彼女の名はセイラ。『穴』を通じていろいろなところを渡り歩く能力を持った女の子だ。 いそいそとケータイを取り出しウォードをを撮る。 (あぁ~♪生ロボ~♪) おもわず、画面にほおずり。 (っと、こんな事してる場合じゃなかった。今日はウォードたんに突撃インタビューするために来たんだから。というわけで~ニンニン) 出てきた穴からすっと消える。もとより普通の人には姿は見えないのではあるが。 エレナは倉庫の方をじっと見つめているウォードに気づいた。 「?どうしたの、ウォード。」 「いや……なんでもない。」 「そう?なら良いけど。」 そういって、前を見ると、目の前に少女が居た。 「きゃあ!ど、どこから入ってきたの!?」 彼女はエレナには目もくれずウォードにずずいっと詰め寄った。 「む…。」 エレナは目をつり上げるが何も言わない。 「な、なんだ?」 さすがのウォードもとまどいの表情を浮かべる と、セイラは突然ウォードに抱きついた。 「あぁ~、生ウォードだー♪」 「生ウォード?」 ぽかんとするエレナとウォード。 「っは!つ、ついだきついちゃった!」 慌てて離れるセイラ。 「ごめんなさいごめんなさい!ロボの匂いがしたからつい!」 ぺこぺこと謝るセイラ。 (ロボの匂いって、気づいた!?ウォードの正体に!どうやって……) (ふむ、この気配……昨日の。) それぞれ違った反応を示すエレナとウォード。 「それはいいが、昨日つけていたのはお前か?」 「えぇ!!気づいてたんですか!!うそっ!!」 「え?なに、昨日って。」 「うむ、昨日エレナの他に跡をつけているらしい気配があったのだが、残留魔力から目の前の人物と特定した。」 淡々と述べるウォード。 「すごい!!私のカクレルーンリングZ・改を見破るなんて!!ねえねえ!武装は!?稼働時間は!?あなたのスペックを全部教え……。」 そのとき、エレナの方から何か白い物がうなりをあげてセイラの頭に直撃した。 紙が破裂するような音があたりに響く。 「……。」 声もなく耳を押さえてうずくまるセイラ。 「今のはなんだ?エレナ。」 痛そうなセイラを全く無視して話しかけるウォード。 「ん?これ?ハリセンっていうのよ。紙を折り曲げて持ち手を作った、こういうときに使う道具。」 「なるほど、効果は絶大だな。」 「でしょ?」 「で、この子誰だろ。」 「さあな。昨日後ろをつけてきた人物としか言いようがない。」 「スパイとかそういう風には見えないしねえ?」 「そうだな、さすがにここまで間抜けな…。」 と、そのときセイラがむくっと起き上がって。 「い、痛いじゃないですか!!何するんで……いえ、あの。済みません。もう騒ぎませんから。はい、そう、おろして、おろして……」 「で?あなたは何なの?」 「わたしはセレナっ、ただのロボ好きな女の子だよっ!」 「はぁ、それで?ここに何のようなの?」 「ロボのウォードたんに会いに来たのー♪」 心底うれしそうに答える。 「どうする?」と、目線で問うエレナ。 「ふむ、どうして私がロボットであると?」 「あのねあのね!ウォードたんからはロボの匂いがするのっ」 エレナがウォードの方を見ると、「対応不能」と、顔に書いてる。 「はぁ、ウォード。お昼ご飯は後回しね。」 「そのようだ…」 場所をリビングに変えて。 「とりあえず、ウォードをロボロボ言うのは止めてもえらえる?」 「えーっ、どうしてー。」 「我らが追われる身だからだ。」 「えー?何でロボだと追われるの?」 「人の事情にはいろいろあるんだから、そう言うのを詮索しないの。出来れば名前で呼んで?」 「わ、わかった。これからはちゃんとウォーどたんってよぶねっ!」 「ま、まあいいけど……それで、ウォードがロボ……魔導甲冑だって事は隠しておきたいから。交換条件。」 ぴっと人差し指を立てる。 「ウォードのことを人前でロボロボ呼んだり、彼の性能のことを人前で聞かないで居てくれたら、ここでならウォードのことを話してあげる。」 どう?とセイラに尋ねる。 「うんっそれで良いよ!やったー、やったー、じゃあウォーどたんとわたしは友達ね?」 「と、友達?いや、私は……。」 「良いじゃない。よかったわねー友達が増えて。」 「うむ……」 そして、昼休みの間中ウォードからいろいろと聞き出したセイラはうれしそうに帰っていったのでした。 「エレナ。」 「なに?」 「友達とのつきあいというのは……大変だな。」 「多分彼女は特殊な例だと思う。」 「そうか…」 「そうよ…」 半日でなぜか疲れ切ってしまった二人なのであった。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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