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カテゴリ:短編小説
暗い部屋の中、一つの影が身じろぎもせずにベッドに寝ている。
すでにこうし始めてから何時間たっただろうか。 時間の間隔さえもわからなくなってきた。 ウォードはちゃんと見つかったんだろうか……。 セイラは何処にいるのか見当が付いてるみたいだったけど。 私も探しに行きたい……。 何で風邪をひいちゃったんだろ。 ウォード…… そのころ。ウォード、セイラ、リタ、琥珀の4人は古本屋の前で困っていた。 「ねぇ……、どうする?ウォードたんの『あれ』。」 「それもあるけど、まずは翠子のことというか、今回のことを何処まで説明したら……。」 うーん、と悩むリタ。 「普通にすべて話せばよいのではないか?」 「ウォード、セイラにあなたを翠子が誘拐したっていったらどうなると思うの?」 「む……。」 「前回のこともあるし、またあの子が原因でしかも後遺症残して帰ってきたなんて言ったら……翠子を壊しに行きかねないわよ?」 「ならどうするの、リタ?嘘を付くにしてもセイラって意外に鋭いよ?」 「大丈夫、多分何とかなる。話せばわかるとおもう。」 「その根拠は?」 「私の勘!」 「……。」 呆然とリタを見つめるセイラとウォード。 ともあれ3人はおじいさんに事情を説明しエレナの部屋の前に来た。 エレナが風邪ひいた頭でぼんやりとしているとノックする音が。 「はい。どうぞ。」 起きあがって返事をすると、ドアを開けて入ってきたのはウォードとセイラと見知らぬ女の子だった。 ……あぁ、よかった、帰ってきた。 目を潤ませて、ウォードの方を見る。 ウォードはエレナの前に立ち、 「エレナ、心配かけた。」 そう、声をかける。 エレナはウォードの手を取りほおに当てる。ぬくもりを確かめるように。 そして、しばらくそのままで居たが、やがて手を離しセイラたちの方を向き、 「で、一体何が起こったの?」 と、問いかけた。 リタは、自己紹介をした後、ウォードを見つけるまでのあらましを間接に説明した。翠子のことは伏せておいて。 「と、言うことなんだけど。」 セイラはしばし黙考した後、 「……何かごまかしてない?」 と、いぶかしげにリタに聞いた。 そのときのセイラの動揺を見逃しては居なかったし、ウォードから変なけはいがしたのも気づかないはずがなかった。 「何にも、ごまかしてなんか居ないわよ。どうしてそう思ったの?」 「まず、その人形というのとウォードとの接点が見つからない。次に初対面の相手でウォードガ警戒しないはずはない。そして、ウォード魔力の残滓か何かを感じる。」 「ウォードを手玉に取るような人形だったの、とんでもない奴なのよあいつは。あと、その感覚はウォードが操られていたときの名残だと思う。」 「じゃあ、さっきセイラが反応したのは何?それに、ウォードや、セイラがさっきから兄も行ってこないのが気になる。リタ、本当に何か隠してない?私を謀ったらただじゃ置かないわよ?それに、その人形とやら絶対にお仕置きしてあげる。」 リタは、ため息をつき。 「あなたはどうしてもその人形にばつを加えたいの…?」 「もちろん、ウォードをこんな目に遭わしたんだもの、それ相応の目にはあってもらわないと。」 「エレナ私は……」 と、ウォードが言いかけたとき。二人がぐるんとウォードの方を向き。 『いいから!』 「ウォードは!」「あなたは!」 「静かにしてて!」「黙ってて!」 二人同時に怒られた。 ウォードの裏でセイラが、 「うぅ、二人とも怖い……」 と、完全にびびっていた。 その後、1時間にわたってエレナとリタの戦いは続いた。すでにセイラとウォードは呆れている。 「どうして……そこまで……そいつをかばうのよ……。」 「友達だからに……決まってるでしょ……。」 息を切らしながら二人はにらみ合った。 しばらくにらみ合った後。二人同時にため息をつく。 「はぁ、なんだかつかれた、何でこんな事で喧嘩してたんだろ。もうどうでもよくなってきた。」 「ごめんね。あなたがそういきり立ってるときにほんとのこと話したら、バラバラに壊されちゃいそうな気がしたから。」 「あなたの友達が?」 「そう。」 「わかった。今回のことはあなたに免じて無かったことにしてあげる。リタ。でも、翠子にはちゃんと反省してる?」 「だいじょうぶ、翠子も反省してるから。って何でわかったの?」 驚いた目をしてエレナを見るリタ。 「ひみつ。」 「なにそれ。教えてよ。」 「秘密だって言ってるでしょ。今度二人の時にでも話してあげても良いけど。」 「じゃあ、今度招待するわね。」 「期待しないで待ってるわ。」 何やらいつの間にか意気投合している二人。 「それでエレナ、君はどうしてベッドで寝て居るんだ?」 すかさずうれしそうにセイラが言おうとする。 「ウォードたんそれはね……。」 「セイラ!?言ったら怒るわよ!?」 「良いじゃないの、減るもんじゃなし、あたしのかってでしょ。」 「いろいろな意味で減るの!?良いから止めて!?」 「ふふーん病人のエレナなんて怖くないもん、ウォードたんあのね?ごにょごにょ……。」 と、ウォードの耳元にささやくエレナ。それを聞いたウォードは 「エレナ、いくら行方不明になったからといって、雨の中探し回るのは止めてくれ、いくら死なないからと言ってけがや病気の苦しみは普通の人と変わらないのだから。」 真剣に心配され、赤くなるエレナ。 「ご、ごめん。気をつける。」 素直に謝るエレナ。 その後、セイラにさんざん冷やかされ、怒ったエレナはハリセンを振り回そうとするがウォードとリタに止められてすごく悔しそうにするのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.01.24 22:26:26
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