5.ヒップアップ&上腕鉛直
アドレスではヒップアップして立ち、クラブを体側に引き付ける。
ヒップアップとは、尻の穴を上に向ける感覚である。腰が引かれた態勢になる。
引き付け度合いは、上腕を鉛直方向に垂らす。
上記態勢で、クラブのシャフト長に対しては、肘の屈曲で対応する。
パターでは、上腕からグリップまで一直線になる。
一方、1Wでは肘が大きく曲がる。
その他のクラブでは中間の曲がり具合になる。
肘が体側から離れると、上腕の動きからインサイド−インのスウィングとなり横方向のスピンが勝りフック・ボールの球筋となる。
また、腕の体側への引き付けがなくスウィング軌道が定まらない。
ミスショットにつながる。
Kohnosu Golfer's Club 堀江 修
いとこ
(その6)
清水 明 著
47.思いの錯綜
押切はパブリック・コースである。
久松祐子は、良一の友人である安田・前田と前田の息子さんのお嫁さんとの4人で廻った。
前田は、義理の娘に当たる30代の女性と、和気藹々のラウンドをしていた。
息子さんとは大学のゴルフ部の後輩に当たる女性で、腕前も確りしていて前田などには到底及ぶものではなかった。
必然的に安田が祐子の世話役になるのだが、安田にしてみれば世話を焼ける程の腕前ではなかった。
祐子は、前田の義理の娘に当たる若い女性に羨望の目を向けていた。
あれだけの腕前であれば、確かにラウンドを楽しめよう。
そうしてその腕前の為には相応の経歴も必要であろう。
そうした思いは昼食のレストランでの話しの中で、そう感じていた。
プレー中は一打・一打の追われていた。
楽しむ余裕が心にはなかった。
ティーショット前のちょっとした雑談も前田がリードしてくれた。
レディースのティーグランド脇に前田が立ち、安田はカートの運転席にいた。
腕前に大きな差があると、プレーの流れに滞りの生じるのは致し方なかった。
それを前田とかれの息子妻、嫁はカバーしてくれたのだが、安田には余裕がなかった。
祐子を見やると、彼女はプレーに専念しているが二打・三打と続けてストロークする流れになっていた。
安田にして見れば、折角ラウンドに引っ張り出したにも係わらずのことで、祐子がまたコースへ出たがらずになることを懸念していた。
良一の思惑に拘泥し過ぎていた。
前島里子は、斎藤と坂上がよろしくやっている様子に安心して、久し振りの夫とのラウンドを楽しんだ一日であった。
レストランの昼食時も、予め夫に組み合わせの意図を話してあったから、斎藤と坂上のふたりに話を振っていた。
前島の夫は、斎藤房子とは妻を通じて一度ならずラウンドを共にしていたから、彼女のための組み合わせにも理解を示し、大人しくしていた。
「レストランで会釈したいとこさんに坂上は『今日はご一緒の組ではなく残念でした。』そう言ったんだ。」
メンバーコースに向かう車中で安田が良一に言った。
「坂上の本心が分からないから、その後電話で聞いてみたのだ、どう思っているか。
いとこさんに対して、それから斎藤房子さんについても。」
「随分直截だな。」
「あいつには遠慮がいらないからね、そうしたら、『俺が選ぶ立場にはない、選ばれる立場だからね。』
そう言うのさ。どうゆう意味かね。」
「その通りだろうさ。
しかし、野暮天のお前さんには重荷の話を頼んでしまったようで、申し訳なかったな。」
車はコースに着いた。
−続く−
寒い−ウェブサイト・ゴルフ−
11月19日、北越谷パブリックでのウェブサイト・サークルのゴルフ・コンペ。
3日目までの天気予報では晴れの筈が、一日中の曇天で一時雨。
最高気温でも10度を下回りそうだったので、すっかり冬支度で行ったが手が冷たかった。
場所は江戸川沿いのパブリック・コース。
荒涼として木も少ない河川敷。
ホール間の距離があって乗用カートがなければ辛い。
前の組の老人ふたりは、手引きであった。
フラットなコースで、クリークはU字溝扱いで、入れてもノーペナで救済されるがグリーンが全て砲台で小さい。
スコア的には散々であった。
ダフリは体の沈みがあるから、スタンス巾を狭める。
フックは、体と球を近づけ、球を引き付けてスウィングすること。
教訓を受けて帰路に着いた。
(A.Kiyomizu)
いとこ
(その6)
清水 明 著
46.報告
「押切のことだが、お前さんには良い話じゃないぜ。」
良一に友人安田が話を始めた。
「まず、いとこさんの久松さんは、坂上とは一緒の組でなかった。
前島さんと彼女のママ友斎藤房子それに前島さんのご亭主と坂上が一緒の組だったのさ。
お前さんには申し訳ないが、前島里子さんが組み合わせを決めたんだ。
前島さんはママ友に肩入れして坂上と一緒に廻させたのさ。」
良一のいとこである久松祐子と安田の友人である坂上との仲を取り持とうとする思惑が上手く行かなかったことに安田は申し訳なく感じ、良一に謝罪の思いを感じていたようだ。
「先の組だから時々は様子が分からぬでもないのだが、ママ友と坂上は満更でも無い様だった。
残念ながらさ。
例の如くさ、アプローチなんかの時にはママ友サイドに打って、キャディー役をしているみたいだった。」
「しょうがないだろう。
その都度同伴のご婦人には親切に振舞う。
上級者だからできることだし、一緒の組になった同伴者への思いやりだろう。
ところでそのママ友さんの腕前はどうなんだ。」
「まあ、女性としては上手い方だろうな。
ラウンドに夢中ではねくて、結構坂上と楽しくやっているようだった、」
「しかし、安田も大変だったろう、そんなに前の組を気にしていたらラウンドどころじゃなかったろう。」
「そうなんだ、今期最悪のラウンドだった。」
「申し訳ないことをしたな。」
良一と友人の安田との話は連れ立ってコースへ向かう車の中でのことだった。
良一が作り出そうとしたいとこの久松祐子を巡っての三角関係である。
良一から見ての三角関係である。
祐子のお相手として坂上に白羽の矢を当てた。
坂上は良一の友人安田の友人でである。
友人の友人に当たる。
坂上は祐子を憎からず思ってくれたのだが、祐子は無関心。
無関心と云うよりも、プレーに熱中していて坂上を男として見る余裕がなかったと見るべきだろう。
そうしている内に、祐子の友人の友人、ママ友の斎藤房子なる人物が現れ、坂上にアタックしてきた。
祐子の友人、前島里子がその後押しをしている。
良一と彼に頼まれた友人の安田のは思惑があったのだが、前島里子の関心と行動力によって違った流れになってきたのだった。
「どうしたものかな。」
「どうにもならないだろう。」
安田の問いに良一はそう答えた。
−続く−
いとこ
(その5)
清水 明 著
45.朗報
「押切に久松祐子さん、お前さんのいとこさん来るらしいぜ。」
友人の安田は、良一に電話でそう言った。
「押切へは他からも話があって2組で行こうと云う話になって、前島さんが誘ったら参加したいと言ったようだ。
それでお前さんを誘った方が良いかと思ったのだが。」
「メンバー足らないのか。」
「誘うのは一杯いるが、僕が幹事役を仰せつかっているから、お前さんの参加も可能だ、今のところだが。」
「どうしようかね。
ところで坂上は参加だ。」
「じゃ、やめて置くか。」
「例の前島さんのママ友、斎藤房子さんって云うのだが、そのママ友も参加さ。」
「それじゃ、いよいよやめて置くよ。
そうゆうのは不得意だ。」
「そうだな、それが良い。
まあ様子は知らせてやるよ。」
熟年離婚・熟年結婚、熟年の事実婚と年寄りの恋愛が幅を利かせてもいる。
良一自身が年寄りの身で二周りも下の女、内藤陽子と同棲している。
事実婚と云っても良い関係にある。
祐子の関心を乱す必要はなかった。
また、坂上と祐子を結び付けようとの思いがあるのだから、自身の存在は出来るだけ目立たぬようにするべきであろう。
「そんな話、上手く行くのかしら。」
夕食後、居間で過ごしている時に陽子が良一に言った。
良一は、いとこの久松祐子をゴルフコンペに担ぎ出す話について一緒に住む陽子に話した。
祐子に係わる話を秘密にすることは、陽子を不快にさせる以上に、彼女への背信であると考えたからであった。
「いとこさん、ママ友さんと坂上さんって云う男性を取り合うなんて、本人次第だけど残酷なことのように思うわ。
周囲が面白がっているみたい。
いとこさんかそのママ友さんのどちらかが傷つくことになるのでしょう。
それに、いとこさん振られたら、ますます良一さんに固執するようにも思うの。
坂上さんに一時でも心を動かしていたら、良一さんへの思いも屈折していて、複雑よね。
心の病にならなければ良いのだけれど。」
「何はともあれ、私は安全圏に居るのよね。」
陽子ひとりの話で、その夜の話は終わった。
−続く−
いとこ
(その5)
清水 明 著
44.会議は踊る
「お前さんも出るか。」
コースへ向かう車の中で安田が良一に言った。
コンペの打ち合わせに誘うのである。
コンペの打ち合わせか、打ち合わせに託けてか何度か集まりが持たれているようだったし、幹事4名でのラウンドも行われていたようだった。
「前島さんのママ友、旦那を亡くした人らしい。
それが、坂上を憎からずに思っているようなのさ。
お前さんの思惑通りになるか、ちょっと怪しげだな。」
「話が違うが、どうにか出来るものでもないだろう。」
「いや、俺はお前さんに叱られるかと思ったのさ。」
「叱る訳には行かないだろう。
そのママ友と坂上さんの話なのだから。」
「いとこの久松祐子さんのための企画だが、どうなることやら。
瓢箪から駒で、別なものが飛び出すかも知れない。
今のところ坂上がそれほどでなないから、いとこさんが対抗意識を持ってで頑張ってもらえれば良いのだが。」
「なるようにしかならないさ。」
良一は諦め模様であった。
「コースは金尾になりそうだ。」
安田が話を続けた。
「金尾と坂上がメンバーの古谷を一緒に廻ったんだ。
来週はパブリックの押切にも行くのだが、そうすれば会場が決まる。
金尾か違っても押切だろう。古谷のメンバーは坂上だけだから。」
「坂上さんはそれで良いのか。」
「あいつはごり押ししたりしない奴だよ。」
「曜日は。」
良一は陽子の都合が頭にあって聞いた。
「金尾なら平日、土日なら押切になるだろうが、たまの事だから平日で構わんだろうと云うことさ。」
ラウンドを終え帰宅した良一は陽子と居間にいた。
「その三箇所くらい言っていたゴルフ場、良一さんは行ったことあるの。」
「押切は金尾のメンバーになる前にはよく行っていた。
昔は予約を取るのが大変だった。
電話するのだけれど自動の申し込みで返事はしばらく来ないのさ。
土日は絶望的だったさ。」
「でも取れたのでしょう。」
「仲間内で皆で掛けるのだが、当たらない時の方が多かったよ。
今は電話口で予約できるから楽になった。」
「みんな幹事さんの仕事でしょう。
大変ね。」
−続く−
いとこ
(その5)
清水 明 著
43.良いコンペ
好まれるコンペは、コースと楽しめるラウンドであろう。
コースは、良いコースであることが必要だが、そう度々ラウンドするゴルファーでなければ安価で良いサービスが求められよう。
良いコースとは、良いスコアの出るコースと云う向きもあるが、全てのクラブが使えるコースとも言われる。
コンペ参加者の範囲は、誰もが、しかし楽しい仲間でなければならないだろう。
組み合わせは、各組のハンデの合計を均等にする手法か友達別に組むか、参加者が多数のコンペでは友達別の組み合わせが好まれるだろう。
賞品は是非とも必要で、飛賞の設定には意外性が求められるかも知れない。参加賞もあって何かしら受け取るものがあれば喜ばれるだろう。
良一の解説に陽子が応えた。
「楽しそうね、私も参加したいわ。
良いのでしょう、私も参加できるのでしょう。」
「何時かも決まっていないし、曜日も今は分からないのだよ。」
「何時か決まっていないのなら、前もって募集と云うのか、話があるのでしょう。
都合つけられると思うわ。」
「そうだね、決まり次第君に伝えるよ。」
「忘れないでね。」
何か最初の思惑とは違った方向かなと、居酒屋でも感じた思いが、家に戻って再び強まった良一であった。
祐子を元気付け、あわよくば坂上との仲を取り持とうとして考えたコンペであった。
しかし、そのコンペを前島里子や安田、さらには坂上たちに任せるばかりだったのだから、思惑を超えたものになることは当然のことなのかも知れない。
そう良一は思い直した。
「良一さんと一緒に廻れるわよね、それは贅沢で幹事さんにお願いできないことかしら。」
「いや、希望は言って良いだろう。
まあ、色々事情もあるから幹事任せだけれどね。」
「そうね、会社のコンペでも幹事さんって気を使うから。
多少の不満は言ってはいけないわよね。」
「女性の参加者が多ければ、女性ばかりの組を作ったりもするようだよ。」
「女性ばかりの組ってどうなのかしら。」
「嫌う女性もいるようだよ。」
「そのコンペの女性参加は多いのかしら。」
そうだね半分近くは女性かも。」
「じゃ、幹事さんは大変ね。」
「そう言うこと。
会社と違って嫌なら出なくても差し障りないから、余計に我侭が多くなる。
だから幹事さんは苦労するだろうな。」
「大人しくて、良い参加者になりましょう。
でも、良一さんと一緒が良いな。」
−続く−