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「素数ゼミの謎」 吉村仁・著 素数ゼミの謎 タイトルだけ見ると、「素数」に関する数学書か?、と一瞬思ってしまいますが、実は、「素数ゼミ」という名のセミの話です。 そもそも一般的なセミのライフサイクルは、 6~7年間幼虫として地中で過ごし、その後夏のある日に地上に這い出てきて羽化し、求愛行動として力いっぱい鳴き続けます(♂のみ)。 そして、首尾よくメスと出会い、交尾をするとやがてオスは力尽きて死に、メスも卵を木に産みつけると力尽きてしまいます。 地上に出て太陽の光を見た日から死ぬまでの期間はわずか2週間。 ところが、アメリカには、13年、あるいは17年に一度だけ何億匹も大量発生し、数週間だけ凄い声で鳴き交わして死んでゆく、へんてこなセミが現実に存在します。 ・なぜそんなに長年かけて成虫になるのか? ・なぜこんなにいっぺんに同じ場所で大発生するのか? ・なぜ17年と13年なのか? この3つの謎に、数理生態学を専門としている日本人研究者が迫ります。 その探求の過程には、 地球の壮大な歴史の不思議、数字の不思議、生物の進化、自然淘汰などなど非常にスケールの大きい広い視野の洞察が展開され、「なるほど!」の連続です。 生物の生命活動が「数学」にここまで関連づけられていることには驚きを隠せません。 ちなみに、「素数」は英語で、“Magicicada”(マジシカダ)と言うのですが、 これは、Magic(魔法)とCicada(セミ)をくっつけたものです。 本書を読むと、その意味が非常によくわかります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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