ぼんやりと冴えないように見える人ほど、一芸に秀でている
机や部屋が散らかっている人は、頭のなかは整然としており、逆にきちんとしている人は、頭のなかは散らかっている・・・などという人もいます。この場合の「頭のなかが散らかっている」というのは頭の回転が鈍いという意味ではありません。ひとつひとつ順序立てて考えをまとめていく思考法の人が「頭のなかが整然としている人」とすれば、「頭のなかが散らかっている」人は、いろいろな思いつきが頭のなかに脈絡なく浮かびあがり、それを「遊ばせておく」といつのまにか形になってゆく思考法の人ということでしょう。その真偽はともかく、いかにも服装はだらしなく、ボタンをかけ違えたまま外出したりしている人が、実は天才的な学者だったという話はよく聞きます。思考に没頭するあまり、服装のことまで気が回らなくなっているのでしょうね。服装に限らず、えてして天才というのは自分の研究や作品のこと以外にはまるで関心がないというタイプが少なくありません。サラリーマンの世界においても、仕事はバリバリとこなすけれども、仕事以外に趣味といえるほどのものはなく、世間の流行や事件にも興味を示さない人がいます。そういう人は、なんの話題をふってもまともな反応がないので、最初の印象は「この人は頭が悪いのかもしれない」と思われがちです。しかし、いざ自分の得意分野に入ると、人が変わったように敏腕を振るい出し、周りの人も一目置く存在になります。そういうこともありますから、最初の印象はぼんやりとして冴えないように見える人ほど、実は要注意なのです。「この人はたいしたことないな」と安易に判断すると、あとで恥ずかしい思いをしたり、「人を見る目がない」という評価を下されたりするかもしれません。服装でも言動でも、いつもピシッとしてスキがないように見える人のほうが、他人の評価や外見を気にするタイプなのであり、そういうタイプの人を操縦するのは意外に難しくないことが多いようです。