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民主党の大統領予備選挙では、どうやらオバマ候補が優勢のようである。テレビで、ニューハンプシャー州の党員集会での討論の様子が映されていたが、どう見ても、ヒラリー候補の発言や顔つきには余裕が感じられなかった。実際、ここへきて両者の差はしだいに開きつつあるようだ。そのうえ、テレビでああいう醜態を、わずかとはいえ見せてしまったことは、ヒラリーにとって、今後に致命的な影響を与える恐れもある。
今回の選挙が注目を浴びている理由のひとつは、いうまでもなくヒラリーが勝っても、オバマが勝っても、初物の大統領が誕生する可能性があることである。つまり、ヒラリーが勝てば初の女性大統領が、オバマが勝てば初の黒人系大統領が、それぞれ誕生する可能性があるというわけだ。 たしかに、ヒラリー候補が女性であることは間違いない。なにしろ、ビル・クリントン元大統領の夫人であり、二人の間にはチェルシーという娘さんもいるわけだから。しかし、オバマ候補の方は、どうもそう単純ではないようだ。 話によると、オバマ候補はケニア出身の父親とカンザス出身のスウェーデン系の母親との間に生れ、幼い頃に両親が離婚してからは、母親の一家とハワイで育ったそうだ。ならば、彼は黒人の血と白人の血を同等に引いているわけだから、彼を 「黒人系」 と呼ぶのなら、論理的に言う限り、それと同等の権利をもって、「白人系」 と呼ぶこともできるはずである。だが、そういうふうに言っている人は、一人もいない。それは、なぜなのか。 いささか、けち付けというか、こじつけのように聞こえるかもしれないが、そういうわけではない。確かに彼の肌は褐色を帯びていて、容貌も白人よりも黒人に近いように見える。また、彼自身、自分を 「アフリカン・アメリカン」 と規定しているそうで、そのことをどうこういうつもりもない。 いずれにしても、明確に黒人の血を引いていることは間違いないのだから、その意味では 「初物」 であることも間違いない 。ただし、上述のように、彼はアメリカに多い、いわゆる 「黒人奴隷」 の子孫ではない。そのことには、アメリカの歴史が抱える 「良心の疼き」 を刺激しないという利点があるのかもしれない。 たとえば、先住民であるインディオと白人植民者、それにアフリカから連れてこられてきた黒人という三種類の 「人種」 が混在するラテンアメリカでは、白人とインディオの混血はメスチソといい、白人と黒人の混血はムラート、インディオと黒人の混血はサンボというそうだ。 それだけではない。白人と黒人の到来からは、すでに数百年も経過しているのだから、現実はもっとややこしいものであり、そういったややこしさを表す、もっとややこしい分類まで存在しているらしい。つまり、歴史的に言う限り、そこではだれがどの 「人種」 の血をどれだけ引いているかが、厳しい社会的評価の対象とされてきたというわけだろう。 また、非人道的なユダヤ人弾圧を行ったナチス・ドイツでは、その政策を進めるにあたって、祖父母4人のうち、一人でもユダヤ人がいればそいつはユダヤ人だというように定義していたそうだ。つまり、そこでは非ユダヤ人である3人の祖父母よりも、ユダヤ人であるたった1人の祖父母の存在のほうが重視されていたわけだ (もっとも、同様の困難は戦後のイスラエル建国のさいにも生じ、結局、皮肉にも似たような 「定義」 が行われることになったらしい)。 一般に、支配的なマジョリティと、被支配的マイノリティが混住する社会で、マジョリティとマイノリティの混血が進んだ場合、社会では、彼や彼女が受け継いでいるマジョリティの血よりも、たとえわずかでも 「混ざって」 いるマイノリティの血のほうが重要視される 。 その結果、彼らは社会的な意味で、マジョリティの側ではなく、マイノリティの側に分類されることになる。これは、世界中どこの地域をとっても、まず間違いなく同じである。もっとも、ラテンアメリカのように、かつての 「植民地」 帝国の名残がいまだ強い地域では、マイノリティとマジョリティの支配関係が逆になることもあるが、基本的な力学は同じことだ。 幼い頃に両親が離婚したあと、白人である母親とその家族のもとで育ち、黒人である父親の記憶はほとんどないというオバマ候補が、それもかかわらず、自らを 「アフリカン・アメリカン」 と規定するようになったということの背景に、そのような社会的視線だとかの存在を想像することは、おそらく間違いではないだろう。 むろん、そのような彼の出自と経歴が、多様な民族的出自を持つ人々が混住する中、8年間のブッシュ政権のもとで、社会を大きく分断した「緊張状態」 が続いたアメリカの人々にとって、「アメリカには黒人も白人もラティーノもアジア人もない。われわれは皆、星条旗とアメリカに忠誠を誓った一つのアメリカ国民だ」 という彼の言葉を、うわべだけのきれいごとではない、誠実味を帯びたものとして感じさせている要因になっていることも、確かなことではあるだろう。 http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20081106 [国際]カテゴリの最新記事
>もっとややこしい分類まで存在
インドのカーストは、古いし色んな征服・被征服の歴史があるだけに、もっと凄く細かいらしいですね。 >われわれは皆、星条旗とアメリカに忠誠を誓った一つのアメリカ国民 サロイヤンの「ヒューマン・コメディー」的な寛容、国内的には輪を広げれるんですけど、国外に敵が居ての団結っていうのは、やはり困りますね。真の魔物は『先端科学・効率化信仰』の生み出す、巨大化する『危険な不確実性」ですから。 「アキレスと亀」のアナロジー、あれは急進的[非人間的]進歩[ナノテクや素粒子学のような微細追究にせよ、オリンピアの『速く高く強く』にせよ]への警告だったんでしょうね。でも、それを止めるのは資本制システム課では、これまた難しい。イスラムやキリスト教的とか仏教的『停滞』ヘの回帰が起こって当然ですね。そこにつけ込む『エセ科学』はともかく。(2008.01.08 18:36:30)
三介さん
どうもどうも。当人でもないのに、ココロさんのところにまで押しかけたのは、いささかやりすぎだったかなと反省してます(いつもこればっかり) どうも、あの○○というコメンターのはしゃぎっぷりには、腹が立ったもので。 オバマ氏に期待するむきには、国内的にも国際的にも、「文明の衝突」じみてきている今の状況への憂慮があるのでしょうね。 ただ、ブッシュ的な政治を支えてきた支持層も根強いわけで、そのへんどうなるかはまだ判りません。 それにオバマが当選したとしても、アメリカに対する一部の強い敵意が解消するわけでもないでしょうし。 (2008.01.08 19:16:12)
米国では、黒人の血が一滴でも入っていれば、黒人と見なされます 不合理ではありますが、社会通念として その一方、米国の黒人はほとんどが白人との混血です アフリカの黒人と容貌を比較してみれば、すぐわかることでもありますが 原因は、奴隷制度時代に白人のオーナーが夜間、奴隷小屋に押し入り黒人奴隷の女性をレイプしたからと言われています 南アフリカの白人政権時代の有力家族のメンバーは、一見、白人なのですが、必ず黒人の血が混じっているそうで、私も彼等の容貌からそれが真実だろうと確信しています ロンドン時代、近所に南アフリカ出身の役人がいましたが、かれも微妙に黒人の血を感じさせる容貌でした 彼は自分自身で英国の外務省の役人だと名乗っていたのですが、大銀行の知人(オックスフォード出身)が「外務省にそんな人間はいない」と断言しました 詳細は省略しますが、彼はどうも私の妻の出身国に「興味」があって私に近づいてきたようです ボンベイ(現在はムンバイ)の高級ホテルの受付で、文字通り「雪のように白い」肌の美人を見かけました アーリア系なんでしょうけれど、混血しなかった(らしい)ところを見るとバラモンなのでしょうか いや、ペルシャ系のパーシーかな? (2008.01.08 20:57:44)
alex99さん
第三代大統領のジェファソンも黒人奴隷を使用していた農園主で、黒人女性の愛人がいたという有名な話がありますね。これは、最近、子孫同士のDNA鑑定で証明されたそうです。 http://www3.kmu.ac.jp/legalmed/DNA/jef.html この話は、スティーブ・エリクソンという現代作家が『Xのアーチ』という題で小説にしています。 黒人家族に、ときおり白人とほとんど外見が変わらない子供が生れるという話もきいたことがあります。 フィリップ・ロスに『ヒューマン・ステイン』という小説があって、ニコール・キッドマンが映画にしています(邦題『白いカラス』)。 黒人家庭に生れた優秀な青年が、その肌の色の薄さを利用して、出自を隠し、家族との付き合いも絶っていったんは学者として成功するが・・・・というお話です。(2008.01.08 22:00:18)
かつさん
ジェファーソン 照明されましたか しかし、米国の黒人で肌の色が薄すぎると、逆差別されるようで、これも大変ですね 歌手のマライア・キャリーがその例です 逆に黒すぎても(笑) 歌手のナット・キング・コール 私の好きな歌手ですが、奥さんが黒人にしては薄い方 彼は真っ黒(笑) そのせいで、彼は奥さんに全く頭が上がらなかったとか 黒人間では、肌色の濃淡でも格差というか、差別があるようです (2008.01.08 22:47:46)
alex99さん
訂正 >照明されましたか → 証明(笑) >しかし、米国の黒人で肌の色が薄すぎると、逆差別されるようで、これも大変ですね >歌手のマライア・キャリーがその例です マライア・キャリーは、調べたらお父さんが、黒人と白人の混血のベネズエラ人で、お母さんがアイルランド系なのだそうです。 純粋の白人だとばかり思っていました。 いろいろ、あるのですね。 >黒人間では、肌色の濃淡でも格差というか、差別があるようです どこの世界でも「原理主義者」みたいな人はいます。 そういう人からは、「コウモリ」みたいに扱われることもあるのでしょう。 在日韓国人も、韓国に行くと「ハンチョッパリ」と言われることがあると言います。 (2008.01.08 23:31:05)
三介さん
どうやら、かの○○氏、すべてはKojitaken氏が企んだ「反○○ちゃん」の陰謀だと勘ぐっていたみたいです。 おかげで、あの挑発的言動や奇妙なはしゃぎっぷりの理由が分かりました。 しかし、分かってみるとなんだか馬鹿馬鹿しい話です。(2008.01.09 04:21:55)
オバマは母親が白人だったのに、黒人の妻を娶りましたよね。OJシンプソンの家と違って、子供(娘2人)も“黒人らしい黒人”です。
この日記を読んだら、次期大統領はオバマで決定かなあという気がしてきました(2008.01.09 04:33:34)
郡山ハルジさん
>オバマは母親が白人だったのに、黒人の妻を娶りましたよね。OJシンプソンの家と違って、子供(娘2人)も“黒人らしい黒人”です。 >この日記を読んだら、次期大統領はオバマで決定かなあという気がしてきました ----- 民主党はいまのところオバマ候補が一番勢いがありそうに見えます。 でも、やっぱり保守層の反発というのはあるでしょうね。民主党にも、伝統的な保守派というのはいて、共和党の候補しだいでは、彼らがそっちに入れる可能性もあるので、最終的なところはまだなんとも言えない感じがします。(2008.01.09 09:23:31) │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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