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『夜の果ての旅』読書日記 その2… (読書・コミック)楽天ブログ 【ケータイで見る】 【ログイン】
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2005/07/30 楽天プロフィール Add to Google XML

『夜の果ての旅』読書日記 その2 最近、読んだ本を教えて!(84998)」
[ 海外小説感想 ]    

その1

 7/29(金)「君の毎朝のうんこと同じくらい」

 もっと楽に書かなくちゃ。上巻133ページまで読んだ。ついにロバンソンが出て来た。だけどすぐ消えた。
 これから後もバルダミュの後に何度も現れるらしいこのロバンソンという男(主人公の導き役?)をヒントにして、大江健三郎をモデルにした小説家、長江古義人が「ロバンソン小説」を書こうとする物語が、大江健三郎が雑誌「群像」に発表した『さようなら、私の本よ!』三部作だ。この間第三部が発表されて完結した。第二部までドキドキしながら読んでいたものの、ちょっと最後は肩透かしを食らった気分になった。それでも、単行本になった時にまた読み直す日が楽しみだ。そのようにして『夜の果ての旅』は至るところで私の目に入ってきて・・・。読み始めた理由はもういいか。
 バルダミュは偵察の途中で、丸腰のフランス兵と出会う。ドイツ人に降伏するんだと喚くその男ロバンソンとと、不思議な意気投合をしたバルダミユが、ようやく辿り着いた村で浴びる洗礼は「ドイツ軍をお待ちしておりました!」。民衆にとっては、相手がフランスでもドイツでも、自分の村を焼かないやつがいいやつなのだ。



 灰緑色の長い一筋の帯が遠くのほうで、街のはずれで、闇の中に、早くも丘の頂をきわだたせていた。<<夜明け>>だ! また一日ふえたのだ! また一日へったのだ! ほかの日と同じように、またこいつをくぐり抜けることに苦心しなければならないのだ、ますます狭まっていく環のような、弾道と機関銃の炸裂で満たされた毎日を。
「もういっぺんここへもどってこんかい、また別の晩に?」別れぎわに奴がたずねた。
「別の晩なんてあるもんか!・・・・・・将軍さまのつもりでいるんか?」
「何も考えんことにきめてるんさ、おれは」最後に奴は言った・・・・・・「何も、いいかい! おれが考えるのは、くたばらないことだけさ・・・・・・それだけで十分さ・・・・・・おれは自分に言ってきかすんだ、一日かせげば、一日ふえるんだとな!」
「そのとおりさ・・・・・・あばよ、じゃ、好運を祈るぜ・・・・・・」
「おまえさんもうまくやんなよ! また会えんともかぎらんさ!」
 それぞれ戦争の中へ引っ返して行った。それからさまざまなことが、じつにさまざまな出来事があった、が今ではそれを物語るのはなま易しいことではない。今日の人間にはもはや理解できそうにないからだ。



 セリーヌはこの大戦で何かしら武勲を立てたらしい。バルタミュのいう「さまざまな出来事」にはそれは含まれているんだろうか。
 入院先で、アメリカ娘ローラと恋に落ちたバルダミュ。しかし自分の体重で頭がいっぱいのローラと、自身の狂的な発作により恋は終わる。その後、売春宿の女ミジューヌのひも暮らし、老人施設と合同になった病院での不満足な生活と続く。


「でも戦争を否定したりはできないわ、フェルディナン! 祖国が危機に瀕しているときに、戦争を否定するなんて、気違いか臆病者くらいよ・・・・・・」
「そんなら、気違いと臆病者万歳さ! いや気違いと臆病者生き残れだ。たとえばだよ、ローラ、君は百年戦争のあいだに殺された兵隊のうちの一人でもその名前を思い出せるかい? そういう名前の一つでも知ろうという気を起こしたことが今までにあるかい?・・・・・・ないだろう、どうかね?・・・・・・君は一度だってそんな気になったことはなかっただろう? その連中は君にとっては、この文鎮のいちばん小さい粒や、君の毎朝のうんこと同じくらい、名もない、興味もない、もっと無縁な存在だよ・・・・・・だからわかるだろう、奴らは犬死したんだ、ローラ! まったくの犬死さ、ばかな奴らさ! 断言していいね! こいつは証明ずみさ! 値打ちのあるのは命だけさ、今から一万年もすれば、賭けてもいいね、この戦争も、今はどんなに重大な出来事に見えていても、完全に忘れられてしまうだろう・・・・・・十人ほどの学者がたまに機会があれば、論議するぐらいが関の山さ、この戦争の名を高めた主な殺戮の日付についてね・・・・・・数世紀後、数年後、いや数時間後に、この問題について世間の奴らが発見する記憶に値するものといったら、それくらいのものさ・・・・・・僕は未来なんか信じないね、ローラ」



 我々が戦争について考える時、第一次大戦を思い浮かべる順番は大分あとの方になるだろう。ヨーロッパでは、第一次大戦がもたらした文化的、思想的、価値観の変革は重大なものだったと、田村隆一が何かの本で何度も繰り返していた。核で死ななくても、テロで死ななくても、レトロな時代の戦争の死でもそれは死であり、時代が、場所が遠いからといって冷淡でいるのは悪い気もするけれど、だからといってわざとらしく義憤に駆られるような自分ではない。戦争の意味を問うのも今回の読書の目的じゃないから、とにかくあまり長くは立ち止まらず、この日記を続けられるように読み進もう。
「地上の軍人」「空中の連中」なんて語が出てくる。陸軍、空軍でない理由でもあるのだろうか。単なるおかしな翻訳なのだろうか。きっと後者。


Last updated  2005/07/31 01:39:04 AM
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