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![]() 今度はドキュメンタリーだ。 だから、本物が出演。 本物のばあちゃんは、90回目の夏を迎えた、山本マツさん。 そしてその夏、住み慣れた家が取り壊されるのだった。 その一部始終を、 ばあちゃんの日常を、 長い人生を振り返る一言、一言を 丹念に、そして淡々と撮影している。 やがて、そこから浮き上がる、 何ともいえない「しみじみしたもの」を そっと差し出されたような作品だった。 監督は、ばあちゃんの実の孫である、山本起也さん。 だから、ばあちゃんの長男は、監督のお父さん。 このお父さんとばあちゃんが、 取り壊される家の片付けをしながら、 交わす会話が、とても良い。 「これ捨てようか?」と、 お父さんが、はぎれの詰まった箱を見せると、 「捨てちゃだめ、年をとって体が動かなくなったら、何か作るから。」 と90歳のばあちゃんが答える。 66歳の息子が高校時代にかぶった帽子も「取っておこう」という。 やっとばあちゃんが「捨ててもいいよ」といった「ぐい飲み」は、 「これ父さんの形見じゃないか!捨てちゃダメだよ。」 と、今度は息子が箱にしまう。 そんな具合で、これは永遠に続くのではないか・・・ と思われる片付けだが、やはり永遠は無いのだ。 家は逝ってしまう・・・。 でも、ばあちゃんはまだまだ逝かない! 息子夫婦と同居する為の新しい家ができるまで、 「お店」の上にある、部屋に住む。 そう、ばあちゃんにはお店がある。 じいちゃんと一緒にアクセサリー店を経営してきた。 そしてなんと、 いまだに現役店員。 お店の2階へ続く階段を「ほっ!ほっ!」と小走りで上がる。 その姿だけで、会場には賞賛のため息が広がる。 プレゼント用の包装だって、丁寧に仕上げちゃう。 お客さんが背伸びして取ろうとしたバッグなんて 代わりに取ってあげる。 ばあちゃんにとっては、普通のことだ。 いつものように仕事をしているだけなのだ。 でも、それを見ている人たちに与えるエネルギーは大きい。 「全うすること」 という言葉が浮かんだ。 家は、その役目を全うし、 ばあちゃんは、その生を全うしようとしている。 何事も、始めることよりも、 全うすることの方が、遥かに難しい。 終わりに近づけば近づく程、それは尚更困難だ。 使いにくくなったもの、使いにくくなった体、 それを懸命に使い切り、 「ありがとう」と言って送る。 それは、なんとも 「美しい出来事」なのだと思い至った。 でも、ばあちゃんは今年91才、 まだまだ元気だそうです。 [映画レビュー]カテゴリの最新記事
ばあちゃんにとっては、普通のことだ。
いつものように仕事をしているだけなのだ。 でも、それを見ている人たちに与えるエネルギーは大きい。 これだけで、とっても見たくなってしまいます。 こまいぬさんの映画紹介は一生懸命読むことなく、どんな映画かがスラスラわかります。文章のリズム、改行のセンスが素晴らしいから疲れないのでしょう。すごい才能!特に書き始めがいつも上手いなあと感心いたします。引き込まれてしまいます。 (2006.09.25 10:13:54)
れがあるさん
ようこそ! こんなに長々しいレビューを丁寧に読んでいただいて、ありがとうございます。 とても嬉しいお言葉をいただいて、 励みになりました。 また、ぜひお寄りください。(2006.09.25 19:11:55) │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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