空気人形。
久しぶりに映画を観てきました。私の中で映画は基本的に一人で観たいもの、です。でなければ、あまり慣れていない人と時間を持て余さずに済むようにという後ろ向きな理由で観に行く。好きな人や仲の良い人とは、沢山話したい事があるから時間が勿体無いと思っちゃって。舞台みたいな一期一会なものは、誰かと一緒がいいんですけどね。同じ一瞬を共有できるから。前置きはさておき、そんなわけで今日は一人で「空気人形」を観てきました。ずっと観たくってやっと見ることが出来ました。一言で簡単に言ってしまうとダークファンタジーなんだと思います。R15指定だしw性処理の道具であるラブドールの「のぞみ」が心を持ってしまう、という荒唐無稽な(実際流れ的に若干の無理もありました)ストーリー。感想は・・・胸が引き裂かれそうになる、とっても苦しい映画でした。心を持った人形が偶然入ったレンタルビデオ店の店員の青年に恋をしてしまう。初めはぎこちなく・・・時を経る毎にだんだん人間らしくなっていく人形の様子を主演の韓国女優ペ・ドゥナが本当に素晴らしく、怪演!(良い意味で)していました。「誰かの代用品では嫌だ」「誰かに、あなたに必要とされたい」「『私』じゃなきゃダメだと思って欲しい」そんな思いを抱えてしまう人形。その思いは人形を取り巻く人間達も同じように抱えている。新しい「代用品(ラブドール)」を購入した持ち主に、「私のどこが好きなの?」「私、誕生祝いなんてされてない」と詰問するのぞみ。恋をした青年に「あなたの望む事なんでもしてあげる、それが私の役目だから。」と半ば自虐的に、でも心からの愛情を示したのぞみ。自分の心の空虚さを見透かされたようなセリフの数々に、本当に息が詰まりそうでした。痛くて顔を背けたくなるくらい。作中に出てくる詩、吉野弘の「生命は」もストーリーと上手く重なって素晴らしかった。ラストはおそらく賛否両論あるだろうもので、劇中の出来事の数々も時に残酷ではあるんだけど、光や色彩を絶妙に操った映像美が、この世をとても美しいものに感じさせてくれました。何度も観たい、という映画とはちょっと違うし、誰かと行くのはなかなか推奨できない内容ですが機会があれば、是非お勧めしたい映画でした。生命は 自分自身だけでは完結できないように つくられているらしい印象的な詩だな~。ちなみに私のとても好きな曲の中にこの「空気人形」ととてもイメージの近いものが。youtube:「Electric Lady Land」Fantastic Plastic MachineFPM Electric Lady Land(日本語ばーじょん) Fantastic Plastic Machine同じ世界観の「空気人形」がダークサイドならこちらはサニーサイド?って感じ。私は、どこかこういう空虚なものに惹かれるのかもしれない。