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真理を求めて

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2012.11.23
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今度は、

「小沢一郎さん控訴審判決要旨  東京高裁・小川正持裁判長 2012年11月12日」

を参照しながら、二審判決が「事実誤認」という指摘をどう覆す論理を構築しているかを見てみよう。まずは、「事実誤認」の内容を改めてまとめておこう。

「被告人は、本件4億円を借入金として収入計上する必要性や、本件土地の取得等を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり平成17年分の収支報告書に計上すべきでないことを認識していた」

と言うのが控訴趣意書の主張であり、「認識していない可能性がある」としたのは「事実誤認」だと言うのだ。その根拠は、

・「被告人は平成16年10月29日にりそな4億円の融資関係書類に自署しており」
・「常識的な経済人として、その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われると認識していたのは明らか」

であるというものだ。ここでの証明のポイントは、「常識的な経済人」というものが「その当日ないし近接した日に融資が実行され、本件土地の売買代金の支払が行われる」と考えるのが妥当かどうかと言うことの判断に論理的な帰結がかかっている。これが、必ずしも言えないというのが二審判決の結論なのである。

「本件土地の取得や取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識して」いれば、虚偽記載と不記載については、実際にはそうであっても、そう書くのが間違いだという認識が存在せず、「故意」が証明されないことになる。だから、「故意」を証明して犯罪性の証明をしたい指定弁護士にとっては、この認識があったというのが決定的に重要だ。

果たして「常識的な経済人」は、「4億円の融資関係書類に自著」すれば、そこから、それがすぐに行われるものと認識して、先送りになったとは考えないものだろうか?その「可能性」が考えられるのならば指定弁護士の証明は失敗するのであり、「可能性」をすべて否定できれば成功するのである。

一審で確認された事実をもう一度並べてみよう。

・平成16年10月5日頃
 本件売買契約が同月5日に締結されたこと
 その決済日が同月29日であることを
 石川から報告を受けて認識していた。

・平成16年10月2O日頃
 本件土地公表の先送りの方針
  本件土地の取得や取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上せず
  平成17年分の収支報告書に計上すること
 とし、そのために本件売買契約の内容を変更する等の方針について、石川らから報告を受け、これを了承した。

平成16年分の収支報告書に本件土地の取得や取得費の支出が計上されないことは、同年10月の時点で、石川から報告を受けて、認識し了承していた。

石川は、東洋アレックスとの交渉の結果、決済全体を遅らせることはできず、所有権移転登記手続のみを遅らせるという限度で本件合意書を作成した。

所有権の移転時期を遅らせるには至らなかった。
(石川は、所有権移転の先送りができたと認識していた旨を原審公判で供述したが、石川は所有権の移転と登記名義の移転とが区別されるものであることを理解したものと認められることなどからすると、上記供述は信用できない。という判断は二審判決では否定されている。)

石川について 平成16年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入ないし不記載(本件公訴事実の第1の2及び3)の故意が認められる。(この判断も二審判決では否定されている)

本件売買の決済が終了していることを認識するなどしていた池田についても平成17年分の収支報告書における本件土地の取得及び取得費の支出に係る虚偽記入(本件公訴事実の第2の1及び2 )の故意が認められる。(この判断も二審では否定されている)


以上の事実を踏まえて、一審判決ではこれを次のように解釈・評価している。

・被告人は、秘書寮建築の方針が変更されるのでない限り、本件売買契約締結後の契約の履行過程に関心がないことはあり得る。

・本件合意については、陸山会の所有権は保全されており、石川において、陸山会にとってリスクがなく 、自らの裁量で処理できると判断し、被告人に報告せずに作成したと考える余地がある。

・石川の立場からみると、本件土地公表の先送りは、所有権移転登記手続を遅らせることができたため、それを口実として、当初の予定どおり実行するつもりであった。

・それは、被告人からあらかじめ了解を受けた範囲内の事柄であると考えて、その先送りの交渉が失敗に終わったことを改めて報告しなかったと考える余地がある。

・本件土地公表の先送りの交渉に失敗したことなどが石川にとって失態であり、被告人の不興を恐れて報告しなかったと考える余地もある。

・虚偽記入による摘発の危険があるが、この点については、石川は、この程度で摘発されることはないだろうと甘く考えて、深刻に受け止めなかった可能性がある。

・本件預金担保貸付が実行される前に本件4億円を原資とする資金を流用するなどして本件売買の決済を終えたことは、りそな4億円を本件土地の購入資金等に充てるという石川の被告人に対する説明とは矛盾する内容であるなど、これを被告人に報告すれば、これから融資を受けて転貸するりそな4億円の使途について疑問を呈される可能性があるから、石川が、融資関係書類に署名を得るために被告人に説明したとは必ずしもいえない。

・融資関係書類への署名が本件売買の決済に間に合わなかったのも、石川の不手際であり、被告人の不興を恐れて報告しなかったと考える余地がある。

・したがって、被告人は、本件売買の決済全体の先送りの交渉が不成功に終わり、本件合意書の限度でしか交渉が成立しておらず、本件土地の所有権の移転を平成17年に遅らせることができなかったことについて、 石川から報告を受けず、これを認識していなかった可能性がある。

・ 平成16年10月5日に手付金を支払い、同月29日に残代金を支払うなどして本件売買の決済が終了していることの認識についても被告人は、石川から報告を受けず、これを認識しなかった可能性がある。

・以上からすると、被告人は、かえって当初の方針どおり、本件土地の所有権の移転及び残代金等支払等の決済全体が平成17年に先送りされたと認識していた可能性がある。

・したがって 本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上する必要があり、平成17年分の収支報告書に同年中の取得及び支出として計上すべきでないことを認識していなかった可能性がある。


さて上記のような「可能性」に関する解釈が、「自著した」ことと「常識的な経済人」と言うことから否定されるものになるだろうか?「可能性」が否定されれば、「認識していた」と判断され、「故意」の証明が成り立つことになる。果たして二審判決の判断はどうなっているだろうか。

二審判決では、まずは「関係証拠によれば、原判決が前記2(1)(先送りの方針)で認定判示するところは不合理であるとはいえない」という判断をしている。つまり、報告書の記載について、実際にやられたことが正しいという認識を持つような前提の報告を小沢さんが受け、了承しているという事実判断に妥当性があるという評価をしている。

この認識がそのままであれば、虚偽記載の認識がないのであるから「故意」は存在しないことになる。この先送りの方針が崩れ、それが間違いだと分かるような認識を持つことが出来たかどうかが、犯罪の証明において重要な争点になるだろう。

先送りの方針については結果的にはそれが出来なかったという事実認定がされている。しかしそのことに関する石川さんの認識については二審判決では次のように書かれている。

・原判決は、石川は、東洋アレックスとの交渉の結果、決済全体を遅らせることはできず、所有権移転登記手続のみを遅らせるという限度で本件合意書を作成し、所有権の移転時期を遅らせるには至らなかったとする。
・原判決は、所有権移転の先送りができたと認識していた旨の石川の原審公判供述は信用できないとする。
・関係証拠に照らすと、残代金全額の支払がされ、物件の引渡しがされて、本件土地の所有権移転登記手続に必要な書類の引渡しがされるなどしたことから、平成16年10月29日に本件土地の所有権が移転したとした原判断を不合理とすることはできない。
・が、石川の上記原審公判供述は信用できないとする原判断は、経験則等に照らし、不合理というほかはない。

二審でも、事実としては「所有権移転登記手続」は先送りされたが「所有権の移転時期」は先送りされなかったと認定している。しかし石川さんの「所有権移転の先送りができたという認識」については一審判決の「信用できない」という判断に対し「経験則等に照らし、不合理」と否定している。

事実としては先送りされていないが、石川さんは、先送りできたと認識していた、と言うことがあり得ると判断している。「信用できない」という判断の方こそが「不合理」だと批判されているのだ。この判断からすれば、石川さんにすら、先送りが出来たので、自分が記載した報告書の方がその時点では正しかったという認識があったら、「何かを隠すために意図的に虚偽を書いた」という告発が成り立たなくなる。石川さんにも「犯意」がないことになる。そうであれば「共謀」する対象が無くなってしまうので、「共謀」の前提が無くなり、その告発など論理的に出来るはずがない。

石川さんにも「虚偽の認識」つまり先送りが間違っているという認識がなかったという理由については二審判決は次のように判断している。

<本件合意書作成の経緯等を見ると、関係証拠によると次の事実が認められる>

・石川は、本件売買契約後に先輩秘書からの示唆を受けるなどして本件土地公表の先送りの方針を決め、当初は本件売買契約の決済全体を来年に延ばすようにミブコーボレー・ションに求めた。

・しかし 売主の意向が残代金は10月29日に支払ってほしいというものであったことからミブコーポレーションの担当者が、司法書士から聞いていた仮登記を利用して、本登記を延ばすことを提案し、陸山会側がこれを了承し、本件合意書の作成に至った。

・その際、所有権の移転時期についての具体的なやり取りがされた様子はない。

・そして、前記のとおり、本件合意書の第1条には、残代金の支払時期及び物件の引渡し時期は明記されているが、所有権の移転時期については何ら明記されていない。


以上の事実を考慮に入れて石川さんの認識についてみると、

・仮に原判決のいうように石川が所有権の移転と登記名義の移転とを区別して理解していたとすると、
  本件合意書の作成に当たり、所有権の移転時期ほどうなるのかと聞いたり、
  本登記の先送りだけでなく所有権移転時期の先送りも本件合意書に明記してほしいなどという要望をする
ことになるのではないかと思われる。
・石川がそのような行為に出ていないということは石川としては、所有権の移転と登記名義の移転とを区別して認識しておらず、これらを一体のものとして認識していたためではないかとみるのがむしろ自然ともいえる。


一審判決では、

・本件売買契約書の記載を見れば、所有権の移転と登記名義の移転が異なるものとして扱われていることは専門家でなくても、容易に理解できる。
・高額の不動産購入に当たり本件売買契約書の内容を慎重に検討したはずであり、所有権の移転と登記名義の移転とが区別されるものであることを理解していたはずである。

だから、本件合意書により本件土地所有権の移転時期の変更などは合意されていないことも認識していたものと認められる

と書かれている。これは、「所有権移転登記手続」と「所有権の移転時期」との区別が出来ていて、報告書に記述すべきなのもどれかということが正しく認識されていたという指摘になる。従ってミスとして間違えて書いたのではなく、意図的にウソを書いたという虚偽記載だと指摘されたわけだ。だが、この区別が出来ていたなら、二審判決では、





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最終更新日  2012.11.23 18:17:09
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小沢裁判二審判決の論理的考察 5 判決文の合理性を考察する その4(11/23)続き   秀0430 さん
  本件合意書の作成に当たり、所有権の移転時期ほどうなるのかと聞いたり、
  本登記の先送りだけでなく所有権移転時期の先送りも本件合意書に明記してほしいなどという要望をする

と言う行為が見られるはずだと指摘する。これが確認されなければ先送りにならないのであるから、両者の区別がついていたならその確認を求めるはずだという論理だ。このような行為が行われたと言うことが事実として証明できるような証拠があれば、二審でも同じ判断を認めただろうが、それがなかったので、「石川としては、所有権の移転と登記名義の移転とを区別して認識しておらず、これらを一体のものとして認識していたためではないかとみるのがむしろ自然ともいえる」と判断しているのである。きわめて論理的に正当な判断だ。

ある事実が直接証明できないとき、その事実を仮定して前提としたとき、どのような論理的帰結が出てくるかを考察し、その帰結としての事実が見られるかどうかで、事実の証明をするというのは、仮説実験的な論理でありきわめて明快で正当なものに感じる。

次の指摘も論理的に真っ当なものだ。

「本件売買契約書及び本件合意書の内容について、原判決は、石川が慎重に検討したはずであり、専門家でなくても容易に理解できるとする。しかし、石川は、10月29日の決済直前にいわば駆け込みで先送りを実現しようとするなど、慌ただしい状況にあったといえるのであるから、時間をかけて慎重な検討をするような心理的余裕がなかったのではないかとみる余地がある。しかも、陸山会側からの要望が契機であるとはいえ、本件合意書自体は、司法書士という専門家も関与した形でミブコーポレーションから提案されたものである。法律の専門家でもない石川がそれを十分な検討を経ることなく信頼したということはあり得ることといえる。したがって、判決のいうように石川が慎重に検討して理解したとはいい難いというべきである。」

一審では石川さんが虚偽の認識があったというのは認めている。だがこの二審の判断では、石川さんの理解が不足していたことや、そのときの状況が石川さんが慎重に検討できるだけの余裕がなかったことを指摘して、虚偽の認識そのものがなかった可能性があるという指摘になっている。

一審では、元秘書は虚偽記載をしたが小沢さんには虚偽認識がなかったと判断したが、二審では、元秘書にさえも虚偽認識がなかった可能性があると指摘している。元秘書にも虚偽認識がなければ、論理的な帰結として小沢さんに虚偽認識がないのは当然のことだ。その意味で、二審判決の無罪の判断は、一審よりもさらに強いものになり、「共謀」の告発については、少なくとも真っ白であることが証明されたと言えるのではないか。

判決では、石川さんの認識についてさらに詳しく語っている。また改めて検討をしようと思う。 (2012.11.23 18:19:25)

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