「シックハウス症候群と化学物質過敏症との違い その1」の中で引用した医学の専門家からは必ずしも支持を受けないとされる下記の2点についてもう少し掘り下げてみます。
『厚生労働省のガイドライン値以上の室内で起こる諸症状(症候群)はシックハウス症
候群であり、ガイドライン値以下でも発症するものは、化学物質過敏症と呼ぶべきであ
ろう。』
『定義の分かれ目が責任の所在の分かれ目になっていることである。すなわち、シック
ハウス症候群を治すのは、建築家(建物を造る人)、化学物質過敏症を治すのは、医者
ということである。』
シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会で報告された内容によると、現状では、居住者に未だ発生の仕組みが分からない症状を含めた様々な体調不良が、なんらかの居住環境に由来するのではないかと推測される場合を「シックハウス症候群」と便宜的に総称されているとし、多くの場合、現状の研究では指針値(ガイドライン値)が策定された物質と体調不良との間に明確な対応関係は証明されていないと報告されています。
そこで、下線部の室内濃度指針値が策定された物質と体調不良との間に明確な対応関係が証明されていないという辺りが、医学の専門家から必ずしも支持を受けないところになると考えられます。
この辺りの明確な定義づけはもう少し先になると思います。
但し、
現状においてすでに様々な症状を訴えている人たちがいる中で、指針値が策定された
物質と体調不良の因果関係が立証されるまで何の対策も施さないというわけにはいき
ません。
そこで原因物質と成りうる物質とその室内濃度指針値を定めることは、「シックハウス症候群」の定義をある程度明確にし、対応策を講じる一助にはなると思います。
その辺りも含めシックハウス症候群と化学物質過敏症の違いを指針値以上かそれ以下かという区別をすることで、より明確な対応策を講じることが可能になると思います。
又、医学的に明確な立証ができるまで放っておくのではなく、予防医学的な考えで対応することも大切な事だと思います。
最終的には関連する各分野(医学、建築など)がお互いに連携し合い、対応策を講じていくことが望ましいのですが、実際に問題が起きている場(シックハウス症候群や化学物質過敏症などで問題を抱えている人たち)には、その辺りの連携や責任の所在が明確に感じられないというのが現実です。