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カテゴリ:授業風景
4年生の授業は、文章読解の解説をして、最後の10~15分になったときには次のページの文章題を解く時間にしていました。
ですが、最近は読み聞かせの時間にしています。 その時間に取り組むはずだった次の文章題を解くのを宿題にして自分で頑張ってくるということになりますが、それでも読んで欲しいと全員が言うので定番化してきました。 きっかけは、2ページ見開きの文章を「長っ…」と言う生徒さんがいて、 「いやいや、本にしたら2ページって短すぎてものたりないよ? もっと読みたいのに―ってなる長さだよ?」と言い、たまたまバッグに入っていた本を 試しに2ページ読み聞かせたら、「そんなところでやめんといてー、続きも読んで―」 となりまして。 声に出して、会話のところはそれなりに感情を込めて読み、ちょっと間を置いたり、 物語のテンポを汲み取って読み進めていっています。(元演劇部でして。(*^m^*)) ときどき語彙の注釈をはさんだり、 「このときの涙はどんな意味?」と質問をはさんだり、 情景描写はだれのどんな気持ちとリンクしているか確認したりして、ただ聞いてもらうだけではなくふくらませることもあります。 私の声だけで物語をつかんでいき、各自がそのときには読み返せませんから、集中もしてくれます。 翌週、「先週どんなところで終わったっけ?」というと、口々に言ってくれるので 楽しみなようです。前半頑張らないと読んでもらえる時間がなくなってしまうので、 問題にも真剣になってくれる率が高くなっているようにも感じています。 少し前までは「窓ぎわのトットちゃん」を読みました。子ども達大好きで、いったん終わっても、○○のシーン、もう一度読んで~♪とリクエストがありました。 1冊通して読みきったからこそ、感じ取れるものがあります。 この本の場合、校長先生の深い愛情。 今、4年生に読んでいるのは「ハッピーバースデー」という物語です。 1~2年前に芦田愛菜ちゃん主演でドラマ化もされたお話です。 母親に無視されて心を病んでしまう少女が、担任の先生や祖父母や友人との経験を通して回復し、成長していく物語です。途中いじめについても考えさせられます。 つらいシーンもあります。母親に「あんたなんか生まなきゃよかった」と言われるなど、読んでいても心が冷えるようなセリフもあります。ですが、そこからの希望、回復、成長も力強く、また1冊でさまざまな感情を疑似体験できるという点、感情と情景描写のリンクがわかりやすい点で選びました。 小学生の間は、夢のようなハッピーエンドのお話ばかりを読ませるべきという考え方の先生もいますが、私は、本を閉じるということでその世界から離れることができるから、読書による悲しい疑似体験もありだと考えています。 脇明子さんの『物語が生きる力を育てる』にも書かれているのですが、不快感情との向き合い方、そこから立ち上がるストーリー、タイミング良く現れてくれる大人や友人、力になる言葉かけ、そういうものを、子どものうちに読書によっていくつも疑似体験していることってとても幸せなことだと思っています。 繰り返しそのようなお話に出会うことで、現実世界で苦しいことがあったときに、それが永遠に続く物ではなく、いつかもっと良い状態につながっていくはずだとい思えたり、大人に頼ろうという気もちになったり、友人に頼ってもいいんだと背中を押してくれることにつながるといいなという期待もあります。 肉声で読まれた言葉を耳で聞く心地よさ、幼児の頃に大好きだった時間だと思います。 内容はその当時よりも難しくなっていますが、とてもいい表情で聞いてくれていて、かわいらしくて、私も好きな時間です。これが国語の勉強を身近に感じてくれたり、たくさんの文字を[文字]としてとらえるだけでなく、そこに描かれた世界を感じ取るコツにつながってくれたりするといいですね。 もう自分で読めるのだから…と卒業してしまった読み聞かせ。 意外とうれしい時間のようですよ。 どうですか? 久しぶりにおうちでもそんな時間を作ってみては。 絵本だってかまいません。 幼くて気づかなかったことに気づくかもしれませんし、今だからこそ、理解できるメッセージを読み取れるかもしれません。 なにより、お母さんの声で聞く物語、これはもうとても素敵な宝物となって、大人になっても繰り返し脳裏にうかぶ幸せな思い出になりますよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年10月09日 00時47分32秒
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