明日から行ってきます「台湾に生きている「日本」」
「台湾に生きている「日本」」片倉佳史 祥伝社新書 予想外の良書だった。明日からの年末年始台湾一周旅の材料探し為に紐解いたのである。スケジュールの関係から、ここに紹介されている所のほとんどを訪れることは出来ないが、この本には台湾と日本の関係を、日本遺構の取材を通してひとつの特徴を上手く描いていると思った。それこそが、今回の旅で私の掴みたいもののひとつなのである。 日本統治時代の遺構は国民党政府時代に移ってほとんど破壊されている。それでも幾つかは残る。貴重なのは、古代の遺跡とは違って、それらの遺跡の生き証人がまだ少しだけ生き残っていて、調査をすると、まるで必然のように彼らに出会っていることである。 例えば、日本の食肉加工場があった隅には、屠殺した獣の魂を鎮める日本らしい「獣魂碑」だけは壊されずに残っていた。今はもう屠殺も行われない別の風景になっている。ところが「現在も月に二度、関係者が集まって祈祷が行われている」と、スーパーの若い兄ちゃんが告げて石碑に手を合わせて持ち場へ去っていったというのである。統治時代に日本がいいことばかりをしたとは決して著者は書かない。私も前回の旅で霧社事件の場所へ旅したのだから、良く知っている。それでも日本人の美しい心は、台湾の人たちは残そうとしてくれた。韓国との違いは、国民党政府への反発心で復古への想いがあったという事情もあったかもしれない。それ以外の事情もあったかもしれない。それはこれから究めて行きたいが、ともかくこの本には、そういう日本人の美しい心と台湾人の美しい心のコラボレーションが至るところで読めるのである。 宜蘭の飛行場跡で出会った老人、嘉義県東石郷に祀られている日本人巡査が「義愛公」として神様になってゆく過程なども、とっても興味深いものだった。 今回行くのが確定している唯一の日本遺構は、台南駅である。1936年竣工。赤煉瓦の西洋風ではなく、機能性や耐震性を重視したモダニズム建築風らしい。元は二階部分がホテルとして利用されていたらしい(台南鉄道ホテル)。レストランさえ併設されていた。今はどうなっているのか、この本は7年前に書かれているので確かめてみたい。一番線ホームは、古レールを用いて設けられた曲線屋根になって広く感じられるらしい。設計は宇敷赳夫。 さて、明日より台湾一周旅行にでかける。しばらくブログをお休みします。みなさんには、この拙いブログを読んで頂いてたいへんありがとうございました。来年もよろしくお願いします。