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2010.02.27
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カテゴリ:短編

Kuneko × たかひささん 円らな瞳好きさん hisasiさん


わたしたちのクラスでは
帰りの会で、今日誰々にこんな嫌なことされた、とか
誰々が誰々にこんなことしてた
悪口言ってた、みたいな感じで
先生に人の悪さを報告、チクる時間が
設けられていた。

「はい、じゃー今日何かあった人、手ぇ挙げて~。」

先生のいつものその台詞に、心臓が跳ねる。
何故って?今日わたしは、初めてこの場を借りて
先生に、報告をしてみようと思っているから。

「…今日は誰もいないかな~?」

ドキドキドキドキ…!!!
お、終わっちゃう…!!も、もう挙げちゃえ!!
えいっ…!!!

「…ん、あら珍しい。じゃー梅田さん。」

挙げちゃった…!!で、でも
今日のアレは絶対に先生の耳に
届けておきたかったから…!!!

「…きょ、今日、宮元くんに…」

-えー。
-また宮元ー?
-もーう…

わたしの口から出た”宮元くん”と言う言葉に
クラスのみんなが口々にそう声を漏らす。

「はい静かにっ!!…梅田さん続けて。」
「はい…、えっと…今日、宮元くんに…
 体育の時間の後、着替え終わった後に…
 …スカートをめくられました。」

-えーーーーー!!!!!
-やだーーーーー!!!!
-さいってーーーーー!!!!
-またなのぉーーー!!??

わたしの告白に、女の子たちは一斉に大ブーイング。
男の子たちは、宮元くんを見ながらケラケラと笑う。
当の宮元くんは、全く動じていない感じで
他の男の子たちと一緒になって笑っている。
もう!わたし本当に恥ずかしかったのに…!!
…信じらんないっ!!!

「はいはいみんな静かにしてーーー!!」

口々に顔を合わせる女の子たちが、一斉に前を向く。

「梅田さんがこう言ってます。
 宮元くん、これは事実ですか?」
「…え?まぁ、事実なんじゃないですか?」

-何それー!!!
-さいってーーーー!!!

宮元くんのぶっきら棒で適当な返事に
またしても女の子たちは大非難。

「なんでそんなことしたの?」
「…え、なんでってぇ…別に?なんとなく。」

-なんとなくって何よーーーー!!!
-意味分かんなーーーーい!!!

「梅田さん、宮元くんにスカートめくられて
 どんな気持ちになりましたか?」
「…すっごく、すっごく恥ずかしかったです。」

…そりゃそうだよ。
パンツ全部見られちゃったんだもん。

「宮元くん、梅田さん嫌だったって言ってるけど?」
「え?別にいいじゃんパンツくらい。」

-ホントさいてーーーー!!!!
-パンツは女の子の命なのにーーー!!!
-…え?それは…。

「梅田さんは嫌だったって言ってるの。」
「へぇ、じゃあ、悪ぅございました。…くく。」

-ちゃんと謝んなさいよー!!!

「…宮元くん立って。ちゃんと梅田さんの方向いて。」
「へいへい。」
「ごめんなさいして。」
「はい、ごめんなさい、もうしません。」

そう言って、わたしの方を向きながら謝罪をしてくる宮元くん。
…でもわたしには分かった、全然反省してない。
だって目も口元も笑ってたもん。
…もうっ、ホント許せないっ!!!

「…梅田さん。これでいいかな?」

先生のその言葉に、わたしはやりきれない思いを
胸いっぱいに抱えながらも

「…はい。」

と言って席に着く。
宮元くんも、何事もなかったかのように
ゆっくりと腰を下ろして、結局ただの報告で終了…
かと思ったその瞬間。

「先生っ!!!」

1人の女の子が徐に席から立ち上がり
先生に向かってそう叫ぶ。上野さんだ。

「はい、上野さん。なんですか?」
「宮元くん、先生も知ってると思うけど
 前にも何回も何回もこういうことしてきました!!
 だからいくらここで謝ったって
 直らないと思います!!
 絶対また同じこと繰り返すと思います!!!」

上野さんのその発言に、大きく頷くわたし。
-そうだそうだー!!
-絶対そうだよーー!!!
口々に他の女の子たちも同意する。

「宮元くん、上野さんそう言ってるけど?」
「…え?やらないよ、もうやんないって、…くく。」
「……。」

絶対やるよっ!!!わたし断言できるもんっ!!!

「じゃあ上野さん。
 どうすれば宮元くんは悪さをしなくなると思う?」

先生も宮元くんの態度に痺れを切らしたのか
上野さんにそんな質問をしてくる。

「…何か、罰を受けるべきだと思います!!」
「はぁ?何だよそれーーー!!!」

上野さんの提案に納得のいかない様子の宮元くん。
-さんせーーい!!
-絶対それいいと思うー!!!
対照的に大賛成の意を露にするわたしたち女子。

「じゃあどんな罰がいいと思う?」

…あれ?先生だんだん乗ってきてる?
よしよしっ!なんだか凄くいい傾向…!!

先生のその問いかけに、上野さんは少し迷った挙句
ちょっと恥ずかしながら先生にこう告げる。

「…お尻たたきが、いいと思いますっ!!!」

ちょっと意外な台詞に、女の子たちは一瞬ポカーン。

-…あはは!!何言ってんの上野ー!!
-エッローー!!ははは!!!

男の子たちの嘲笑が、上野さんを襲う。
顔をまっかっかにして恥ずかしがりはじめる上野さん。

…せ、せっかく一生懸命になって発言してくれたのに。
可愛そう…、わ、わたし、助けなきゃっ…!!

「わ、わたしもそれに賛成です!!!」

意を決して、手を挙げながらその場で立ち上がるわたし。
一斉にわたしにみんなの視線が集まる。
恥ずかしいけど、わたしだって宮元くんに
仕返ししたい気持ちは一緒だもん!!

…そんなわたしたち2人をアシストしてくれるように

「わたしも!!」
「わたしも賛成です!!!」
「お尻たたきするべきですっ!!!」

と次々に女の子たちが立ち上がり始める。
み、みんな…!!!

そんな、いつもの帰りの会では見られないような
女の子たちの異様な集団一揆に
男の子たちはさすがに驚き始める。
当の宮元くんも…、ちょっとビックリしてた。

立ち上がったわたしたち女子を教壇の上から眺めながら
少し思考をめぐらせる程度の沈黙を作る先生。

「…女の子たちがこう言ってるけど
 宮元くん、どうする?」

先生が宮元くんの方を向き、鋭い目つきでそう問いかける。

「あー?なんだよお尻たたきって。
 …ってか尻たたきくらいなら、いくらでもやってやるし。」

そう言うと宮元くんはその場でバッと立ち上がり
「ほらよ。」と言うと、わたしたちの方に
お尻を向けて、自分で自分のお尻を
ぺんぺんっとたたいてみせた。

-はははははは!!!!!
一斉に湧き上がる男の子たち。
-……!!!
目くじらを立てて宮元くんを睨むわたしたち。

そんな光景を見た先生が、ついに動いた。

「はい静かにっ!!!」

少し大きな声になった先生が、声を響かせる。

「…宮元くん、立ちなさい。」
「えーなんだよもーう。」

気だるそうに立ち上がる宮元くん。

「あなたには少し、罰が必要みたいです。
 ちょっと前に来なさい。」
「え、な、なんだよそれ、ヤだよ。」
「来なさいっ!!!!」

今日一番の先生の声が教室中に響き渡る。
男の子たち、わたしたち女子も
さすがにそれには驚く。

目を丸くし、急に動揺し始めた宮元くんが
ゆっくりと先生のいる教壇に向かって
歩き出す。



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by Kuneko


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Last updated  2010.03.05 13:52:58
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