CRIDE・SOUL

第八話

第八話「鬼人劇」


武装隊員A「ダメだ!固まって少しづつ墜とすしかない!」

武装隊員B「飯田曹長、遠くの相手は頼んだ!」

倉和「オーライ、高町一尉の砲撃だけは注意しろよ!」

 固まった陸戦隊員から離れ、衝撃波と真空波で次々と離れの空戦隊員を墜としていく倉和
 自陣の空戦隊員はすでにノックアウト。それもその筈、相手にはエース・オブ・エースである
なのはがいるから、いとも簡単に墜とされるのだ。砲撃を避けながら、なのはは倉和のほうを見
ていた。

なのは「飛行できないのだけが唯一の救いかな・・・?」

武装隊員C「高町一尉、固まった相手を早めに墜とした方が良いのでは?」

なのは「そうですね・・・厄介なのは飯田曹長だけですから」

 支援砲火があると集中して戦えないと理解し、なのははレイジングハートを展開させる。シュ
ーティングモードに変化させ、弾丸を三発消費してディバインバスターをチャージする

なのは「サクっといっちゃいましょう、支援お願いします」

武装隊員C「了解、(高町一尉が固まりを片づける、支援を頼む!)」

武装隊員たち(了解!)

なのは「ディバイィィィン・・・・・・・ッ!?」

 撃とうとした時、目の前には剣を振りかざした倉和の姿があった。なのはは地上30メートル
にいたが、尋常じゃない跳躍力でそこまで跳んできたのだ

武装隊員B「飯田曹長!直撃を受けますよ!?」

なのは「バスタァァァァァァァァァァッ!!!」

倉和「どぉらぁぁぁぁぁぁッ!」

 なのはがバスターを発射すると同時に倉和が剣を振ると、発射された魔力が拡がって見えた。
見方陣と敵陣とでは見え方が違うのか、倉和側から見れば、剣筋からバスターが分かれて固まっ
てる隊員の横を通り過ぎていた
 敵陣から見れば、なのはが更に魔力をチャージしたのか、バスターを拡散させたように見えた。
 倉和が剣を振り終えた瞬間、バスターの収束地点が真っ二つになり、魔力の圧縮された大爆発が起こった。

武装隊員C・D「うわぁッ!?」

なのは「きゃぁッ!?」

武装隊員A「飯田曹長!?」

 爆発に巻き込まれ、周辺の空戦魔導師はダウン。なのはのプロテクションの反応が少し遅くな
ってしまい、ヒット扱いとなった
 上空の煙の下から、光る塊が落下してきた。地上に激突したと同時に塊が砕け散り。平然と立
ち無傷の倉和が現れた


     -機動六課 なのは・フェイトの部屋-

なのは「あれはスターライトでも使わないと抜けないかな・・・」


     -機動六課 訓練施設-

倉和「ナックルとローラーブーツを前提に制作されたナカジマ式シューティングアーツは、ブー
   ツでの俊敏性を生かしリボルバーナックルで最高の破壊力を出せるんだが・・・イマイチ
   他の部分を生かせてねぇ気がするんだよな」

スバル「左拳や脚も一応攻撃には使ってるんですけどね・・・」

倉和「でもな、ナックルが重量級なだけあって拳での攻撃速度が追いついてねぇ、最高の破壊力
   を出して尚かつ連続攻撃を可能にするために攻撃速度を上げるのが課題だ」

ティアナ「常人じゃ、まず不可能じゃないですか?速度を引き上げるなんて・・・」

倉和「常人ならまず身体がブッ壊れるが、俺やスバルは少々凝った作りだからな」

 スバルは元戦闘機人のタイプゼロ、倉和は鬼人強化手術の失敗作。どちらも肉体や能力は人間
の域を超えているに等しいが、倉和のほうが遙か上を行っているので、スバルが追いつけるかど
うかが問題となる

倉和「俺の使ってきた喧嘩殺法を組み込んだマーシャルアーツ、『重量型瞬殺術』を教える」

エリオ「名前からしてまた物騒ですね・・・」

倉和「多少デバイスの使い方が荒くなっちまうし、ちょくちょくフルメンテしてやらねぇと負担
   がバカにならねぇからあまりデバイス持ち向けじゃないんだがな」

 スバルは心配そうにマッハキャリバーを見る、昔の戦闘で一度フル強化されたとはいえ鬼人の
使う戦術は身体はもちろん一番負担がかかるのは相棒だということ。マッハキャリバーはため息
をつくようにキラリと光り、相棒に言った

マッハキャリバー《私も強化されてますから問題ありません、相棒次第です》

倉和「・・・だとよ、やるかいスバル?」

スバル「マッハキャリバー・・・・・やりますっ!やってみせますっ!」

 倉和は立ち上がると、剣をコンテナに収納し蓋を閉めた。ベスト状の上着を脱ぎコンテナへ投
けると、首をゴキゴキと鳴らし、拳をバシっと手のひらに打ちつけた

倉和「1週間以内で覚えさせてやる、死ぬ気で付いてこい!」

スバル「はいっ!」


 フォワード陣前衛のやりとりを眺めていたヴィータとシグナム、教官が倉和に代わったためこ
の二人は最近暇を持て余していた。自分の鍛錬以外はほとんどデスクワークとなっている

ヴィータ「シグナムよぉ、あの人に何教わったんだ?」

シグナム「武器を持たぬ基本的な体術から入り、覚えたら武器を持ってその体術の応用、身体の
     ついてくる奴に関してはもうすこし入り組んだ事を教われるようになる。それこそス
     バルのように反応速度の上昇や攻防一体を捨て攻撃のみを特化するなど様々だ」

ヴィータ「それもどれも人間以外じゃなきゃできない荒技か・・・」

 ふぅっとため息をついて、視線を訓練の方に戻す

倉和「左腕の戻しが深すぎだ!あと3割押さえろ!蹴るときの腰の回転も浅いぞ!」

スバル「たぁりゃぁぁぁっ!」

 しかし相手は戦闘機人、言われれば速度は若干だが上昇していってる。スバルは汗だくになり
ながら乱打を続けているが、倉和は動じることなく常人では見えない程の速度で打ち出されるス
バルの乱打を腕二本で流していた。
 倉和の注意を受けるたびにスバルの足腰や腕の回転速度がグングン上がっていっている。観客
から見ればおそらく腕先と脚先は見えづらくなっているだろう

倉和「最低でも10秒で致命傷まで与えろ!力の出し惜しみがお前のタマ取る事になっぞ!」

スバル「はぁっ、せいっ、はぁっ!」

倉和「浅い!」

 スバルの身体の回転速度を利用し更に上乗せした倉和の腕は、一瞬でスバルの右腕をねじり上
げ、左の脇腹に拳を貫かせていた

フェイト「あそこまで速度を引き出させておいて、なお速い・・・」

倉和「速度はだいぶ上がってきたが、相手を致命傷まで追い込むのにはまだ足りんな」

スバル「あたたたた・・・難しいですね・・・」

ヴィータ「・・・何がなんだかサッパリわからねぇや、あたしにゃ」

 長年戦いを続けてきたヴォルケンリターさえも陵駕する動き。鬼人強化手術というものはこれ
まで人間を人間でなくするものなのかと思わせる。
 ヴィータの隣でシグナムは、先ほどの乱打の映像をスロー再生なり何なり試して目で追ってい
た。重量級の剣を持ちながらも、ありえない速度の体術を使用できるのは何と羨ましい事か。

倉和「ホレ立て立て、今日中に基礎の大体は覚えてもらうぞ」

スバル「はいぃ・・・」

シグナム「鬼人劇は・・・この先も長く続くだろうな」


                  END


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