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クリクリマロン2168の日記 [全295件]
=勲章と乞食= ――――――――――――――――――――――― W弁護士はフランスびいきかなと思う。なぜかフランスの ことを話しているW弁護士は嬉しそうな顔をする。 「先生はフランスに行ったことがあるんですか?」 「これまでに3回行きましたよ。まぁ、おもにパリが 中心でしたが、リョンにも行ったし、ニ-スにも行きましたな。 クリさんは行きました?」 「まだ」 「行った方がいいですね。特に画家だったら、まあ、漫画家だって 勉強になりますよ」 「そうですか」 「クリさん、犬に噛み付かれた腕はいかがですか?」 「手の腫れは引きましたが、手の痺れはあります」 「そうですか」 「警察病院の後、近くの外科に行っていましたから・・・」 「告訴する場合、噛み付かれた時の治療証明書を必要になりますから お願いしますね」 「警察病院、それとも外科医院の?」 「それは、最初に診断した警察病院がいいですね」 「はい、判りました」 「ところで、xxxxさんが飼っていたアフガン犬ですが、 犬の訓練所でしつけを徹底的に仕込まれたと言ってます。 人に噛み付くような犬ではないと言っているんです。 主人に忠実だそうです」 「でも、やれ!!と命令すれば跳びつくでしょう」 「まあ、それはあるでしょう」 「あのフラ公は、そんな男です」 「でも、XXXXさんがクリさんに敵意を見せたことは 何か原因があるのでは・・・・・」 僕には思い当たることはなかった。 「アフガン犬に噛まれた時の服装は何でした?」 「皮のジャバ―でした」 「どんなジャンバ-ですか?」 「毛の生えた物です」 「狸か狐のジャンバ―ですか」 「犬だと思います。いや、狼かも知れません」 「狼!!」 W弁護士は驚いた。 「何処で手に入れたんです」 「原宿でフランス骨董市で買ったんです」 「そのジャンバ-ありますね」 「あります。捨てようかと・・・」 「それはやめて下さい。物的証拠品ですから・・」 あのジャンバ-を見るだけで悲しくなっていたから。 「もう1つ聞いていいですか?」 「なんですか?」 「犬に噛まれた時の髪の毛は、今の頭の髪の毛の ように伸びきっていました?」 僕は頭に手をやって、くしゃくしゃにかき回した。 狼毛皮にくしゃくしゃ頭。これじゃ、まるで乞食ではないか。 「浮浪者みたいだったんですね」 「いや、乞食スタイルでした」 と僕は,ハッキリ言った。 「でも、XXXXさんとは、しょっちゅう路でお逢いしていたんでしょう?」 「はい」 「それが、突然、あんな行為に出るとは思わないんですが?」 W弁護士は頭をひねった。 「それとも何か」 「何かがあると思うのですが、何か、心当たりはないですか?」 「実は僕の家で犬を飼っているんです」 「犬を?。どんな犬です?」 「柴犬の混じった雑種の犬なんです」 「買われたんですか?」 「うちの娘が江戸川の河原の土手に捨ててあった目のあいてない 犬を拾って来たんです」 「犬の名前は?」 「ハナと呼んでいますが、登録名は江戸川花太郎とつけました」 W弁護士は,思わず、 <ハハハハハハ> と笑ってしまった。 「時々、ハナちゃんを連れて散歩に出ると、あのアフガン犬が 鎖をはずしてハナに飛びかかって首に噛み付いたのです。 僕は棒を持ってアフガン犬を叩きまくって、追っ払ったのです」 僕の話を聞いたW弁護士は納得したようにうなずいていた。 「今日きこれで結構です。これからは起訴の手続きをしますので 今度、来た時には治療証明書を持って来て下さい」 「大丈夫ですか」 「危害を加えたのはXXXX人ですから」 と言われて、なんとなく安心感でW法律事務所を出た。 Last updated 2012.01.15 13:50:37
=勲章と乞食=13 ――――――――――――――――――――― 約一週間たってW弁護士から電話があった。 そして早速、指定された日時に僕はW法律事務所に行った。 受け付けの女性を正面から見た。事務員ではないと思った。 立派な秘書に違いない。顔は痩せ型で小さな口,うすい口紅が 上品だった。軽く微笑む姿は清純そのものだった。 白い歯が又美しい。 「先生がお待ちになっています。どうぞ」 と言って扉を開けてくれた手も白魚のような美しい手をしていた。 「やぁ、待ってました」 と言ってW弁護士はソファに座るよう勧められた。 この前、初めて、この部屋に来た時は、目に入らなかったが、 壁には、花の絵がかけてあった。分厚い盛り上がった絵、 見たことがある絵。確か林 武画伯の絵だ。数百万は するだろう。窓際には花が活けてあり、その下の小さな 家具の上に古い骨董の秤が置いてある。さすがは 弁護士だ。 直ぐに秘書がお茶を持って来た。 蓋の付いた茶碗を見ていると、 「あっ、そうだ,クリさんはコ-ヒが良いでしょう?」 と言って、W弁護士さんはテ-ブルの上置いてあるボタンを 押して、 「コ-ヒを二つ」 と言って切った。 コ-ヒがテ-ブルに置かれると、僕は砂糖を四杯も入れた。 W弁護士は僕の姿を見て、 「私はシュガ-なしで飲んでますよ。このコ-ヒは 僕の友人がブラジルでコ-ヒ園をやってましてね、念いった コ-ヒを送ってくれるんです」 「そうですか、砂糖を三倍も入れたら不味いですか」 「いや、いいんですよ。好みですから。そういえば、 ブラジル人はコ-ヒの中にシュガ-を顔を出すくらい 入れるそうですから・・」 僕は一口飲んだ。甘ったるいコ-ヒはうまい。 「ところで、あのフランス人を調べましたよ」 「どんな男なんです」 「彼の名前はXXXXXXと言ってですね、ポ-ランド系 のフランス人です。とても有名なシェ-フでしたよ」 「そうですか」 僕は腹の中で、<何か有名なんだ、あの馬鹿>と思った。 「彼は、リョンのポ-ルボキュ-ズのレストランで働いて いたそうです。リョンをご存知?」 「知りません」 「フランス第二の都市で、南仏よりの市ですよ。ポ-ル ボキュ-ズは世界的な有名なレストランで三ツ星の レストランですよ」 「三ツ星ってなんですか?」 「美味しさのランクですね」 「一番うまいレストランは、何星です?」 「まあ、五つ星が最高でしようね」 「誰が決めたんです?」 「ミシュランという自動車のタイヤを作っている会社の人が 決めたんでしょうね」 タイヤと食べ物では、まったくトンチンカンだと思った。 「そして彼はですね。パリのホテル、プラザアテネに移って ですね、トップのシェフとして働いていたそうです」 <トップのシェフか>あの男。 「プラザアテネホテルはパリでも最高で五つ星ですよ」 W弁護士の話を聞いていると、僕よりもあのフランス人の 味方しているように思った。 Last updated 2012.01.14 13:44:39
=勲章と乞食=12 ――――――――――――――――――――――――― 次の朝、10時過ぎに家ほ出た。二番町までは歩いて10分ぐらいで で着く。麹町四丁目の交差点を市谷方向に歩いて行けばいいのだ。 道路の掲示版に日本テレビ通りと書いてある。 日本テレビの直ぐ近くに8階建てのビルがXXビルだった。 時計を見ると、11時10分前。まだ少し時間がある。 ビルの前に立つと重いガラスの自動ドアが開く。中に入ると 人の姿がない。閑散としている。静か過ぎると思った。 ロビ-記載してある掲示版に会社名を見る。 一階が外国の生命保険会社。そして二階が七つの会社か 事務所が書いてある。そして、その中にW法律事務所があった。 エレベ-タ-で二階に出ると、そこは、又静かで、誰にも会わない。 右の角の扉にW法律事務所と書いてあり、右側の壁際に白い小さな デスクがあって、<上のボタンを押してください>と書いてある。 ボタンを押すと、女性の声がした。 「今日、11時に予約したものです」 と言うと、 「判りました」 と返事があると、ガチャンと音がして扉が開いた。 凄く厳重なシステムだ。 中に入ると、小さなカウンタ―があって、その中で清楚に女性が 座っていた。 「クリさんですね。ちょっとお待ちください」 と言って女性は横の扉から中に入って行った。 しばらくすると女性が、 「どうぞ」 と言って、同じ扉を開けて中に案内された。 広い部屋と思っていたが意外に小さな部屋だった。 大きな机にパソコンが二台、電話が二つ、そして黒皮の椅子の 後ろには、無数の法律書が並んでいる。 W弁護士は、意外に小柄で背は僕と同じくらいかな。 四角い顔に黒々とした髪も、綺麗に整っている。 僕みたいに乞食のような髪をしていない。 「どうぞ」 と言って、ソフアに座るよう手を差し伸べた。 「クリさんは漫画家なんでしょう、時々、面白い 漫画を拝見してすますよ」 と言ってくれた。僕の漫画が一般に通じるほど、活躍していない のだが・・・・。 美しい女性がお茶をテ-ブルに置いた。 テ-ブルの湯のみ茶碗に蓋がしてあった。ギョギヨギヨ!! 今まで、蓋のある茶碗でお茶を出されたことは一度もなかった。 なんとなく法律に手厳しい人であると思った。 ちらりと見た女性の後ろ姿。黒のストッキングに黒のヒ-ル、 紺のタイトスカ-トに白のブラウス。髪はショ-トカット。 なんと美しい後ろ姿。僕は本能的に一瞬にして女性の全体を 見てしまうのだ。 「ところで、今日はなんのことで相談を?」 「実は犬に噛まれたんです。その犬はアフガン犬で、いきなり 飛びかかって、この右腕を噛み疲れました」 僕は包帯を巻いた、腫れ上がった右腕を見せた。 「相手はフランス人で、僕に対して、罵倒したのです。 百姓!!乞食!!と言って、それも上手な日本語で・・・」 「それで訴えたいのですね」 「そうです。あのフランス人を僕は許しません」 「そのフラスンス人は近所の人?」 「そうです。半年前から、近所の一軒屋に越して来た見たいです」 「そのフランス人とは時々あっていました?」 「よく、大きな外国の犬を連れて散歩していました。 すれ違う時、あのフランス人は、口を曲げて、<チェッ>と と舌うちするんです」 「クリさんはフランス人が嫌いですか?」 「いや、嫌いではありませんよ。これでも、フランスに 留学したいと常に思っていましたし、それにフランス語 の学校、アテネ・フランセにも行っていましたから・・」 「判りました」 と言って書類を出した。それを見て、僕は住所と名前、 電話番号を書いた。 「フランス人の名前も知らないんですが・・」 「大丈夫です。直ぐに調べればわかります」 話は簡単だった。このW弁護士は、本当に手続きをしてくれる だろうか、ちと、心配だった。 「近日中に調べますから、おって電話をします。その時に、又 来て下さい」 と言ってW弁護士は席を立った。 僕も立ち上がって、部屋をでる時、大きな鏡に僕の姿が写った。 <ああ、まるで乞食顔だった> Last updated 2012.01.11 11:24:19
=勲章と乞食=11 ―――――――――――――――――――――― さて、弱ったな、弁護士に相談して不良外人の フランス人を起訴すると言っていたが、僕自身 今まで弁護士に相談するほどの悩みも事件も無かった。 弁護士って、なんとなく気難しい人が多いんではないかな。 弁護士は貧乏人には冷たく、金持ちには好意的で、 とことんお金を巻き上げる商売人なんだ、と思ってる。 貧乏人を助ける神様みたいな弁護士はいるのかな。 でも、警察には弁護士を通じて訴えますと言ってしまった。 困ったな、困ったな。 PR誌をやっているH嬢さんを思いでした。 いちかばちか電話をしてみた。 「Hさんお元気?1つ相談したいことがあるんですが・・」 「相談て?」 「Hさん、弁護士さんか知り合いがいませんか?」 「弁護士さん!」 「そうです」 「私には、居ないわね」 「そうですか、困ったな」 「何か困ったことが、あったの?」 「いや・・・・」 「奥様と離婚話とか、お金の問題とか・・」 H嬢は勘ぐっている。 「いや、そんな問題ではないんですよ」 H嬢はしばらく黙っていたが、 「あのね、私の友達に聞いて見るわよ。もし、判ったら 電話するわ」 と言って電話は切れた。 次の日、午前11時頃H嬢から電話があった。 「今日は、今大丈夫?」 「じゃ、言うわね。私の友達が弁護士さんを知っているって、 まだ、新米のほやほやの弁護士さんだけど、もし、良かったら 紹介するって。その弁護士さんでいい」 「いいです。お願いします」 「そう、じゃ、、又電話するわ」 弁護士さんで好き好みを今は言っていられない状態です。 一時も早く、僕はこの件を解決して欲しいのだ。 又H嬢から電話があった。 「今、大丈夫?」 「はい!!」 「じゃ、言うからメモしてね」 僕はすぐさま、眼の前のケント紙とペンを用意した。 「言うわね。千代田区二番町XX番地XXビルの 二階なの。W法律事務所よ。W弁護士先生よ。 メモした?」 「はい」 「先生は忙しい方みたいだから、お逢いする時間も 先生が決めちゃったから、それでいい」 「かまいませんよ」 「じゃ明日の午前11時だけと、大丈夫?」 「はい」 「では、時間を守って行ってください。」 H嬢は電話を切った。 PR誌の仕事をしているH嬢は、面倒くさいことを よく、やってくれたと思う。 少しホッとした気持ちで仕事椅子に座ったが、手の痺れで ペンさえ持てなかった。 Last updated 2012.01.09 14:43:29
=勲章と乞食=10 ―――――――――――――――――――――― 交番に駆けつけた僕の腕を見た警官。 血が流れている。 「こりゃ、酷い」 と言って、直ぐに常備していた薬箱を出して応急処置をしてくれた。 血だけの腕ら見ると、5ミリぐらいの穴が開いていた。 処置をしなが警官は、 「どうしたんですか」 「アフガン犬に噛まれたんです」 「何処の犬です?」 「この下のフランス人のアフガン犬に」 「あぁ、あそこのでっかい犬かな」 「そうなんです」 「犬は鎖につないでたかね」 「それが、鎖をはずしたんです」 「そりゃ酷い」 「あのフランス人、僕のことを、百姓とか乞食と言って、 まったく日本人を小馬鹿にしゃがって、ほんとに許さんよ」 僕が言った時、おまわりさんは僕の顔を見た。 多分も髪を伸ばした姿を見て、多分、乞食かなと思った目つきをした。 「訴える?」 「勿論、訴えます」 「じゃ、署に言って相談してください」 おまわりさんは電話をすると、直ぐにパトカ- が来た。 パトカ-に乗ると、喜んだ。これで二度目の乗車だった。 麹町警察署に着くと二階に通され、小さな部屋に案内された。 ハハン、これが、よくテレビに出てくる尋問室だ。部屋の 大きさは一畳半くらい。テレビに出てくる大きさではなかった。 椅子に座っていると背の高い痩せた刑事さんが入って来た。 「犬らに噛まれたんだって?」 「何処の犬に?」 「フランス人のアフガン犬に」 僕は噛まれた腕を見せて、 「もう、痛くてたまりません。それにしびれてきて、 これじゃ絵も描けませんよ」 「鎖をはずして、犬を急き立てんだね」 「そうです」 「これは立派な犯罪だよな」 「そうです」 「で、起訴するかね」 起訴といわれて、なんの意味がわからなかった。 「今は手がしびれて痛くてたまりません。ですから まず病院に行きたいんです」 起訴することは、すると裁判になるんだなと思った。 そんな面倒臭いことはいやだった。 「弁護士を通じて、訴えます」 と言ったが、僕は誰一人弁護士の友達もいないし、知り合いもない。 隣の尋問室には、あのフランス人と女の声が聞こえてきた。 あのフランス人は銀座のクラブで働いている美人の女と一緒だ。 夫婦なのか同棲している愛人なのかは判らない。 「起訴して勝った場合はどうなんです?」 「まあ、あのフランス人は国外追放だな」 そうか、それは可哀想にも思ったが、ざまを見ろと言って やりたいな。まったくの不良外人だもな。 「じゃ弁護士を通じて起訴して下さい」 と言われた。 そして警察のパトカ-で又、警察病院まで乗せてくれた。 これで三度目の乗車だった。 手がしびれている。これじゃ、永遠に漫画も描けなくなるだろうと 心配した。 警察病院の地下の治療室に案内されると、これはと思うほどの 美人医師が、 「犬に噛まれたのね」 腕を見れると、チョコチョコと薬を塗ると、 「さあ、お尻を出して」 「何で、お尻を出すんですか」 「馬鹿ね、犬に噛まれたんでしょう。だったら狂犬病の 注射をしなければダメなのよ」 ちょこっとズボンを下げて、美人医師に向けると。 「もっと、大きく出して」 と言われて出すと、瞬く間にジュックと注射が刺さった。 「半年経ったら、もう一度注射をしますから、来て下さい」 ポンと尻を叩かれた。 あの美人医師は怖いなと思った。そのまま警察病院を出たが、 「あれれ、治療費を払わなかったがいいのかな」 と考えながら家に戻った。 Last updated 2012.01.08 17:37:29
=勲章と乞食=9 ―――――――――――――――――――――― 家で描いたたくさんの下絵を紙袋に突っ込んで、両手で 持って歩いていると、 「クリちゃん、まるでお乞食さんね」 と後ろから声がかかった。アトリエの近くで働いて いる可愛いお嬢さん。 「乞食?」 「だって、乞食はいっぱい紙袋を持って歩いてるでしょう」 「そうかな」 「自分の格好を覗いてみたら・・・」 と言われて、 銀行の大きなガラス窓に写る自分の姿を見た時、 「なるほど、乞食スタイルだ!」 と思った。 でも、服装を改めて着替えようとは思わなかった。 次の日もそして又、次の日も同じ格好でアトリエに行った。 大きな屋敷の前を通っている時、先方から歳は40歳ぐらい の外人とすれ違った。 ギヨロリとした目つきの悪い顔をしている。鼻も長く、 頭の毛の茶褐色。 その時、外人は、僕の顔を見て、 「乞食、乞食!」 と言って、片手であっちへ行け!と掃った。 (なにを、この外人) と思った。 しつこく外人はこっちを向きながら、 「乞食!乞食!」 と叫んでいる。 僕は頭にきて、 「ヤンキ-アメコ-!!!ゴ-ホ-ム!!!!」 と叫んでやった。 この小さな静かな道で小さな日米戦争になった。 アメリカ人でも良い人と悪い人がいるが、今日のアメリカ人は 悪い人だったようだ。 僕は決して外人が嫌いではなかったが、外人の方で僕を嫌って いるみたい。 ある時、昼に自宅に戻った時、アフガン犬を連れている小太りの男と パッタリと会った。 この男はフランス人で東京でフランス料理店を開いている 男だった。 時々、道で合っていたが、僕を顔を見ると、しかめっ面をして 背けてしまうのだ。 ついにフランス人は、 「百姓!!乞食!!百姓!!乞食!!」 と大声で叫ぶと、犬に鎖をはずした。 アフガン犬は、とっさに飛び上がると、あっという間に僕 の右腕に噛み付いてしまった。 「いテテテテテテテ!」 日本に住んでいる外人はどうして、日本の汚い言葉を 最初に覚えてしまうのか、それがわからない。 僕自身、髪が長いのは不潔で汚らしいのは当然のこと。 風呂に入っても頭を洗わない。床屋に行かない。 髪は伸び放題なのだ。しらみをおけば、喜んで 生息するだろう。 頭をいじられるのが恐ろしいのはアイデアが逃げて しまうことです。 時は違うがパリに行ったある日、パリに留学していた デザイナ-の卵だった鳥居ユキさんに会った。友達と一緒に 鳥居ユキさんの部屋に入った時、壁一面にフランス語で 何か書いてあった。 「何よ、この落書きは」 と聞いて見ると、 「これはフランスで下種な言葉が書いてあるの」 と言った。 下種な言葉とは、 ポコチン、糞ッたれ、ダメXXコ、下痢女、腰抜け、 たったと帰りやがれ!。 AU FOU! 「どうして書いたの?」 と聞いたら、 「フランスの男友達が部屋に来て、変な気を起こさないためなの」 と言った。 「なるほど」 日本人も異国にいると、まず下種な言葉を覚えるみたいだ。 このAU FOU(うす馬鹿)はタイトルが面白いので 僕にアニメのタイトルに貰ったが・・・。 日本に住んでいる外人さんも、いち早く下種な日本語 を覚えてしまったのだろう。 それにしてもアフガン犬に噛まれた僕は、すぐさま 近くの交番に走って、犬に噛まれたことを訴えた。 Last updated 2012.01.05 17:10:27
=勲章と乞食=8 ―――――――――――――――――――――― その当時、イタリアのオリベッティの仕事をしていた。 広報部長のI氏とはとても気が合って、おこぼれの仕事を 貰っていた。時々、イタリアの服飾デザイナ-のクリッツァとモデル 二人を連れて自宅に来たこともあった。 それに、フランスの画家、ホロンを紹介してくれた。ホロンは一週間も 僕のアトリエに来て、遊び、一枚の絵を描いてくれたほどだった。 オリベッティの広報部長だったI氏は交際費がたらふく使える身分だった ようで、時々、晩飯に招待してくれた。それほどに可愛がってくれた 最高のスポンサ-だった。 そんなある日、電話があって、霞町のあるイタリアレストランから 電話があった。I氏の声だった。 「今さ、とてもシャレたレストランで食事をしてるんたけど、 こっちに来ない。それに美人の女性が二人なんだ」 時計を見ると一時過ぎていた。それに飯を食ったばかりだった。 でも、美人が二人、僕に会いたがっているとのこと。 僕に会いたい女性。飯よりも女好きな僕のこと、 「判りました、すぐにとんで行きます」 霞町は、この辺には知り合いのバ-もあったので小さな路地まで 僕は知っていた。 ル-マニア大使館の直ぐ近所だった。石段を上がって扉を開けると 広い部屋に可愛い椅子。まるでイタリアに行ったみたいだった。 部屋の中央にI氏がいた。そして手を上げてくれた。 「やぁ、来てくれたね。お乞食さん」 僕は乞食と呼ばれて、一瞬、赤面した。可愛がってくれたI 氏から乞食と呼ばれて目がくらんだ。 二人の女性も笑っている。 「飯は?」 「食べて来ました」 「そうか、じゃお茶でも」 I氏はコ-ヒを注文してくれた。 お乞食さんと言われて、みんなと同じ料理を食べる気もしなかった。 I氏から電話がかかって、直ぐ絵の具のついたボロ服を着たままの 格好で来てしまったからだ。 頭も髪がぼうぼうで櫛も通さなかった。 多分、鏡を見たら、完全な 乞食スタイルだったかも。 乞食スタイル。 「汚いでしょう」 と二人の女性に僕が言うと、 「あらら、とても画家らしくて素敵ですわ」 とても良いおせいじを言ってくれた。 乞食スタイルが画家のシンボルになのだろうか。 よく父が言っていた。 「絵描きになりたい!!。馬鹿コケ!!。河原乞食になりたいのか!!」 と。 その頃、父はよくお寺で寄生している日本画家と会っていたらしい。 そして、安物の日本画を買って来て、部屋に飾っていた。 寺々を渡り歩いている、みすぼらしい画家の姿を見てたのだ。 画家とは乞食に等しい。と父は思っていたのだ。 まあ、絵で飯を食える人物は何万人に一人かも知れない。 だから絵の世界に入ったら、まるで地獄の世界に飛び込んだ と同じなのだ。 「ダメだ!!」 父は僕の画材、画材と言っても水墨用の筆だったが、バラバラ にへし折って捨ててしまった。 だけど僕は画家になった。 それも貧乏画家に。 Last updated 2012.01.04 15:45:54 |一覧| |
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