|
カテゴリ:ドラマ
監督・脚本 M・ナイト・シャマラン 出演 ブライス・ダラス・ハワード ホアキン・フェニックス エイドリアン・ブロディ ウィリアム・ハート シガニー・ウィーバー 「シックス・センス」「サイン」の、M・ナイト・シャマラン監督のサスペンス(?)作品です。いや、恋愛映画かもしれません。一応、レンタルビデオ屋では、サスペンスのコーナーにありましたが。 中世ヨーロッパ風の深い森に囲まれた、10軒余りの小さな村の物語です。すべて自給自足で賄い、村人全員で食事するなど、全員が家族的に仲良く暮らしていました。村全体にかかわることは、この村の第一世代の十人ほどの評議会で決定されます。村人は、森に入ってはならないという厳しい掟に縛られていました。森には、怪物がいると言われています。その怪物が時々村にも現れ、その時は全員家に閉じこもり、怪物をやり過ごすしかできませんでした。 村の評議員のひとりであり、村長的立場にあるエドワード・ウォーカー(ウィリアム・ハート)の次女アイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)は、盲目だが、心優しい子で、知的障害があり、村人からバカにされているノア(エイドリアン・ブロディ)にも、やさしく接しています。 そんなアイヴィーが、同じく評議員のアリス・ハント(シガニー・ウィーバー)の息子、ルシアス(ホアキン・フェニックス)と恋仲になり、婚約します。 いつも優しくしてくれるアイヴィーが婚約したと聞いたノアは、ルシアスを刺して、大けがをさせてしまいます。抗生物質を投与しないと助からない重症です。 愛するルシアスを救うべく、村にはない薬を手に入れるため、怖い森を抜け、町へ行くことを決意するアイヴィーを、評議会は渋々認めます。 閉鎖された村、厳しい掟、そして森にすむと言われる怪物、これは何かあるな、シャマラン監督だからどんでん返しがあるな、と思っていましたが、何となく、怪物の正体は、予想がついてしまいました。 そう思っていると、何と途中で、怪物の正体については種明かしがあるのです。もちろん予想通りでしたが、あらためて、そこまでして掟を守るのはなぜ、という疑問が強くなってきます。 そして、最後に、とんでもないどんでん返しが待っていました。やられた、と思いました。ちっとも気がつきませんでした。よく考えたら、ありそうなオチでした。でも、ちっとも気がつきませんでした。最初から懐疑的な目で見ていれば気がついたかもしれません。 しかし、ルシアスを一途に思い、けなげにがんばるアイヴィーのかわいさに惑わされたのか、そんな結末は思いつきませんでした。終盤は、とにかくひとりでがんばるアイヴィーちゃんの独壇場で、この子が存在しなければ、この映画が成り立たない、それほどのがんばりでした。そのため、オチに気がつきませんでした。シャマラン監督の作戦にまんまとはまってしまいました。 ということで、怪物の正体を探るというミステリー部分は大したことありませんし、途中で分かってしまったことでサスペンスのドキドキ感はいまいちです。しかし、けなげにがんばるアイヴィーのおかげで、恋愛映画としては、いい線いっているのではないかと思いました。 最後のどんでん返しが明らかになると、この村の存在理由も明らかになります。それは、アメリカの暗部というべきことのせいでした。この村の第一世代(つまり評議員たち)は、その、アメリカの暗部から逃げてきて、この村を作ったのでした。それでいいのでしょうか。逃げるのではなく、もっと正面から立ち向かうべきではないでしょうか。そんなことが言いたいのかもしれません。 しかし、アイヴィーが森を抜け外部と接触し、掟は崩れましたが、その父親たち評議員は、まだ、この村を維持するつもりです。異論がある方もおられると思いますが、僕にはそう見えました。 アイヴィーは、盲目でした。外部と接触しましたが、それを見ていません。森の外がどうなっているのか、実は分かっていないのです。評議員たちは、これ幸いとこのまま、村での閉鎖的生活を続けることでしょう。というか、アイヴィーが盲目だからこそ、その出立を承認したのでしょう。彼女なら、外の世界を見ることはないから。 それでいいのでしょうか、ルシアスは最初から、いまの閉鎖的生活に疑問を持ち、何とか理由をつけて、町へ行きたがっていました。しかし、今回のアイヴィーのがんばりで、森を抜けて外へ行ってくることが、がんばれば可能であることが分かってしまいました。第一世代が健在なうちは、難しいかもしれませんが、でも、時間がたてばわかりません。この村の崩壊も時間の問題です。その時、外の世界を全く知らないルシアスたち第二世代以降の住人は、どうなるのでしょうか、それを考えると、第一世代が逃げてきた状況よりも怖い結果になるのではないでしょうか。彼らの未来は明るくありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.13 14:35:33
コメント(0) | コメントを書く |