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2012.05.12
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カテゴリ:アニメ
紅の豚1

「紅の豚」 1992年 日本映画

監督 宮崎駿
声の出演 森山周一郎 加藤登紀子 桂三枝 上条恒彦 岡村明美

 宮崎アニメで、唯一大人向け、しかも僕らのようなおっさん向けに作られた、渋いアニメです。

 1930年頃のイタリア・アドリア海、元空軍パイロットのポルコ・ロッソ(本名マルコ・パゴット、森山周一郎)は、魔法で変えられた豚の姿で赤い飛行艇に乗り、空賊(空の海賊)相手の賞金稼ぎをしていました。
 この日も宿敵マンマユート団から、女学生の団体を救います。その夜、幼馴染のマダム・ジーナ(加藤登紀子)の経営するホテルアドリア―ナのバーで、アメリカ人の飛行艇乗りカーチスと出会い、彼の飛行技術の優秀さを察知するのです。
 数日後、飛行艇の整備のため、ポルコがミラノへ向かう途中、マンマユート団の雇ったカーチスの飛行艇に遭遇し、離脱しようとするが、飛行中エンジンが不調になり、撃墜されてしまいます。
 辛くも一命を取り留めたポルコは、大破した愛機とともに、なじみのミラノの工房、ピッコロ社へたどり着きます。人手不足のため、修理と再設計を担当するのは、ピッコロ(桂三枝)の孫娘、17歳のフィオ(岡村明美)と、女たちでした。
 フィオのたぐいまれなる才能のおかげで、見違えるように再生した愛機とともに、カーチスとの再戦に臨むポルコでした。

紅の豚2

 この物語を理解するためには、まず、時代背景をきちんと押さえる必要があるでしょう。
 大事なのはその舞台が、1930年頃という年代と、イタリアという国だということです。
 1930年というと、世界恐慌の翌年であり、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間であるということです。そして、イタリアは、第1次世界大戦では戦勝国ですが、元々があまり豊かな国ではない上に、世界恐慌のため、非常に不況にあえいでいるということ、そして、その不況の中、ムッソリーニのファシスト党が政権を取り、ナチスドイツと大日本帝国と同盟を結び、第2次世界大戦に向かって行っている時代だということです。
 ポルコは、脱走兵のようです。戦争で人を殺すことに嫌気がさし、脱走し、秘密警察から追われています。そして、ファシストの危険性を理解し、捕まればどうなるかわからないという、非常に危うい身の上なのです。
 だから、ポルコは自ら魔法にかかった豚の姿で、空賊を撃沈するが、決して人殺しはせず、無人島のアジトで隠遁生活をしているのです。(その割には真っ赤な飛行艇に乗り、結構有名人のようです。賞金稼ぎの謝礼はしっかり当局からもらっているし、アジトもマンマユート団にしっかり知られているし。)
 ポルコが豚の姿で、賞金稼ぎなどというヤクザな商売をしていること、ピッコロの工房に男手が足りないこと、空賊などという無法者がはびこっていること、実は愛し合っていながらしっかりと結び合えないポルコとジーナの関係(ジーナの夫は第1次大戦で亡くなっている、ポルコの同僚)、などはそういう理由からなのでしょう。
 秘密警察から逃げているポルコの描写もあり、近代史をきちんと理解していれば、彼らの言葉の端々から、こういったことは分かるはずです。
 ネット上で、「ポルコはどうして豚なの。」とか、「ポルコとジーナはどうしてさっさとくっつかないの。」とか、自分の無知さをさらけ出すような言葉は書かないでほしいものです。

 しかし、そんな時代背景がありながら、ハードな内容にならないところが、宮崎アニメのいいところでしょうか。
 「飛べない豚はただの豚だ。」という有名なセリフに代表されるかっこいいセリフの数々や、飛行艇の飛ぶ姿や背景の美しさ、敵役のマンマユート団やカーチスも実はいい人だという暖かさ、ポルコとジーナの不器用だが美しい関係、宮崎アニメ特有の遊び心満載でユーモアあふれるバタバタした戦いの場面、などなど、見どころを語ればきりがないし、ネット上にあふれているので、いまさら僕が語る必要はないでしょう。

紅の豚3

 ただひとつだけ僕が言いたいのは、以前「となりのトトロ」の記事でも書いたことですが、主要人物には、プロの声優を使ってほしい、ということです。
 「トトロ」のお父さん同様、ジーナ役の加藤登紀子さんのダイコンぶりに、がっかりしたということです。
 なぜ、声優はおろか、俳優の経験もほとんどない歌手を、その感情の動きが非常に重要な、中心人物の声に起用するのか、はっきり言ってわかりません。
 たしかに、彼女の声は非常に色っぽく、なおかつ劇中で歌う場面もあるジーナ役にぴったりなのかもしれませんが、声の演技ができなければだめでしょう。
 ピッコロ役の桂三枝さんや、マンマユート・ボス役の上条恒彦さんは、声優の経験はないと思われますが、片やお話のプロですし、片やベテラン俳優ということで、出番が少ないこともあり、無難にこなしています。
 しかし、ジーナはお話のまさに中心にいるヒロインですし、秘めたる思いを隠してけなげに頑張っている、大人の女性です。ちゃんと声の演技ができる人にやってもらいたかったです。
 もうひとりのヒロインのフィオは、ちゃんと声優さん(「ワンピース」のナミ役の人です。)を起用しているというのに、どうしてなのでしょう。
 もしかしたら、主題歌を歌う代わりに声優をやらせろ、と彼女の事務所のゴリ押しがあったのでしょうか。そんなことを勘ぐってしまいます。
 「トトロ」のお父さんはもちろんのこと、ジブリのほかの作品でも、俳優としての演技力は定評があったのですが、声だけやらせたら全然アカンかったという例が、少なからず見られます。何とかならんものですかね。

 というように、若干文句をつけたいところもございますが、大人のアニメとして、おじさんたちの気持ちをわしづかみにした、良質のアニメを紹介しました。
 アニメは子どものものという認識がまだまだ根深い、非常に保守的な、日本のTV・映画業界の中で、堂々と「大人のアニメ」を作れたのは、宮崎駿さんだからでしょうか。

 ちなみに、ジーナの賭けについては、エンディングの映像(最後にフィオがその後を語っている背景)の中に、答えがあります。(ネットで調べたら簡単にわかりました。簡単すぎて面白くないです。)





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Last updated  2012.05.12 07:19:22
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