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2013.01.16
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カテゴリ:ドラマ
ジョゼ1

「ジョゼと虎と魚たち」 2003年 日本映画

原作 田辺聖子
監督 犬童一心
出演 池脇千鶴 妻夫木聡 上野樹里

 前々から、いい映画だとは聞いていたのですが、なかなか手が出ず、興味を持っていながら見ていなかった作品です。この年末に地上波で放映していたので、録画しておきました。

 大学生の恒夫(妻夫木聡)は、バイト先の雀荘で、妙な噂を耳にします。それは、夜明けに乳母車を押して歩く奇妙な老婆の話でした。
 ある日の明け方、店の用事で出かけた恒夫は、乳母車を押す老婆に出合います。
 恒夫が恐る恐る乳母車を覗くと中には、年頃の女の子がいました。
 恒夫は興味をひかれ、2人についていきます。女の子は、自らをサガンの詩の登場人物になぞらえ、ジョゼ(本名はくみ子、池脇千鶴)と名乗る、足の不自由な子でした。

 恒夫は、適当にSEXさせてくれる女友達もおり、お嬢様然とした美人の彼女・香苗(上野樹里)もおり、バイトに精を出し、そろそろ就活でもするか、といった感じのごく普通の大学生です。
 ジョゼは、原因不明だが、生まれつき足が動かない子で、両親に疎まれたため施設で育ち、祖母に引き取られてからは、“コワレモノ”と言われ、世間の目に触れないように育てられてきており、楽しみといえば、祖母が時々拾ってきてくれる本を読む事と、人目の少ない夜明けに行く、乳母車に乗せられての散歩だけでした。
 そんな2人の恋愛物語です。

 いやあ、いい映画でした。恋愛ものは苦手なのですが、この映画は純粋にいいと思ってしまいました。
 以下、何がよかったか触れていきますが、過分にネタバレも含んでおりますので、結末を知りたくない人は読まないようにね。

ジョゼ2

 何がいいって、やっぱりまず脚本でしょう。
 文字通り箱入り娘で、半ば軟禁状態で育てられたため、人との接し方がわからず、口のきき方もわからない、ジョゼのぶっきらぼうなしゃべり方、世間知らずで、わがままで、実はさみしがり屋だけど、強がっている、そんな彼女のキャラクターを如実に表しています。
 しかも、全編を通して同じようにぶっきらぼうなのですが、恒夫とジョゼ、2人の関係が変化するにしたがって、微妙に変化していくところ絶妙です。
 最初は、警戒心から、言葉足らずな感じだったのが、親密になって来るにつれて、だんだん親しみが籠ってきて、男女の関係になってからは、わがままいっぱいだけど愛情が籠っており、別れを意識し始めてからは、なんとなく感慨深げになってきます。
 もちろん、それは池脇千鶴の演技力のなせる技かもしれませんが、脚本のうまさがそれを引き出しているのは否定できないでしょう。

 また、意味の深い、印象に残るセリフの数々があるということ。
 例えば、「お前は“コワレモノ”だから、その分をわきまえなきゃいけないんだ。」と言うおばあさんとか、「あんたのその武器が憎い」と言った香苗に対し、「だったら、その足切ればいいじゃないか。」と返すジョゼとか、「世界で一番Hなことしていいよ。」とか、「私はその暗い海の底にいたんよ。」とか。

 それから、原作の短編を1本の映画に作り上げるために、つけ足したところの見事さ。
 恒夫の彼女だった見るからにお嬢様な香苗の存在、ラストに2人を別れさせたところなど、テーマをより深くえぐり出しているような感じがします。

 次に、出演者の皆さんの巧みな演技。
 妻夫木は、初めは興味本位で、そして同情から純粋な恋愛へ発展し、結局は現実を考えて、その重みに耐えかねて身を引く、という、まさに現代の若者そのものを、全くの自然体で演じています。こういう自然な感じというのが実はすごく難しかったりするんですよね。
 上野樹里は、相談したいことがあると言いながらしっかりモーションを掛けてきて、大した覚悟もないのに格好だけで福祉を勉強したいという、いかにもで、その存在が鼻に付くお嬢様を好演しています。
 このときなんと17歳だそうで驚きですが、「スイングガールズ」でブレイクする前の年です。もちろん、「のだめ」の大ブレイクはもっと後になります。
 しかし、「のだめ」のイメージと、インタビューやバラエティで、時々見られる素の彼女の天然イメージからすると信じられないほどのお嬢様ぶりです。
 実はとってもきれいな子だったんですね。どうも僕の中では、「のだめ」のイメージが抜け切れません。大河は見ていないので。
 そして、なんといっても、ジョゼ役の池脇千鶴です。
 とにかく、いちいちのセリフ、仕草が、憎たらしいほどすごいです。
 煮物のレンコンを味見させた後の箸を、しばらくそのまま出したままにするところとか、唐突に手を握られ、思わず力を込めてしまうところとか、長らくの軟禁生活のため、仮面のように張り付いてしまった無表情なのに、微妙に目つきが違ったり、口の端で笑ったりとか、「帰れって言われて帰る奴は本当に帰れ!!。」と言いながら、背中をたたく仕草とか、もう、TVの前で、「惚れてまうやろー!!」と何度叫んでしまったことでしょうか。
 まだ、20歳そこそこのはずですが、自らブラウスとブラジャーを取るベッドシーンも含めて、なんとすごい子だろうと思ってしまいました。

ジョゼ3

 身障者と暮らすということ、対等な人間であろうとすること、そういうことを、どう考えたらいいのか、しっかりと考えさせられる作品でした。
 しかし、ラスト、ジョゼと別れた後で、「障害者に彼氏取られた」発言をした香苗と共に去っていく恒夫、というのはちょっといかがなものか、と思ってしまったのは、私だけではないはずです。そこまで恒夫の株を下げなくてもいいだろう、と思ってしまいました。
素晴らしい映画ですが、そこだけはいただけませんでした。





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Last updated  2013.01.16 06:45:44
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