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カテゴリ:アクション
「007 ゴールデンアイ」 007 GoldenEye 1995年 イギリス映画 監督 マーティン・キャンベル 出演 ピアーズ・ブロスナン イザベラ・スコルプコ ショーン・ビーン ファムケ・ヤンセン ジュディ・デンチ 007を一気に観ようシリーズの第6弾です。 今回は、5代目ボンド・ピアーズ・ブロスナンの1作目となる、シリーズ第17作です。 ソ連の化学兵器工場に006ことアレック(ショーン・ビーン)と共に侵入したボンド(ピアーズ・ブロスナン)だったが、責任者のウルモフ大佐によりアレック捕まり、撃たれてしまいます。ボンドはやむなく彼を見捨て、秘密工場を爆破し、脱出するのでした。 9年後、ソ連崩壊後、ボンドはモナコでロシアの犯罪組織“ヤヌス”のメンバーであるゼニア(ファムケ・ヤンセン)をマークしていましたが、彼女と将軍になっていたウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプター・タイガーを、デモンストレーションを行っていたフリゲート艦上から奪取・逃走するのです。 その後ゼニアとウルモフは、ロシアの秘密宇宙基地に現れ、ソ連時代の秘密兵器“ゴールデンアイ”を起動させ、兵士と職員を皆殺しにします。女性コンピューター技術士のナターリア(イザベラ・スコルプコ)だけは、奇跡的に生き残り、燃え盛る基地から脱出します。 ボンドは“ゴールデンアイ”と“ヤヌス”の関係の手掛かりを求めて、サンクトペテルブルクへ行き、そこで9年前殺されたはずのアレックと再会して、意外な真実を知るのでした。 恒例のオープニングアクションですが、今回はソ連の秘密工場に006・アレックとともに忍び込み、破壊するという場面でした。アレックは敵の手に落ち、ボンドも命からがら脱出するのですが、その脱出の仕方が気になってしまいました。 ボンドが敵に追われながら外に出ると、敵のセスナ機が飛び立とうとしています。ボンドは動き出したセスナ機に乗り込み、パイロットから奪おうとするのですが、戦っているうちに2人とも外に落ちてしまいます。動いているセスナ機に何とか乗り込もうと、追ってきた敵のバイクを奪い追いかけますが、間に合わず、セスナ機もボンドも崖から落ちてしまいます。 さすがの007ジェームズ・ボンドもここでおしまいか、と思われますが、(でも、こんなところで終わってしまうわけがないことは、観ているみんなが分かっていることですが。)ここで何とボンドは、若干先に落ちたセスナ機に追い付いて乗り込み、何とか操縦かんを上げ、地面激突直前で機を立て直し、危機を脱します。 ぼくはここで、「うそ~~~~っ???!!!」と、思ってしまいました。 高校の「物理1」で学習することですが、物体はその質量(重さ)は関係なく、同じ速さで落下します。かつてガリレオ・ガリレイが、ピサの斜塔の上から、重さの違う2つの玉を落下させて実験したことは有名です。ただ、実際には、空気抵抗というものがありますので、物体の大きさ・表面積は関係します。 実際、この映像を見る限り、セスナ機が落ちるスピードと、その後ろから落ちていくボンド(実はスタントマン?)のスピードを比べると、若干ボンドの方が速いように見えます。これは、大きさがかなり違う(つまり空気抵抗が違う)ことと、飛び出した時のスピードが若干ボンドの方(バイクの方)が速いということだからでしょうが、でも、はっきり言って、追い着きそうには見えません。 しかし、その後カットが変わり、角度が変わると、明らかにボンドのスピードが増しており、セスナに追い着くことができるのです。 ボンドはどうして速くなったのでしょうか。空中ですから、どこかを蹴って加速することはできません。ロケットエンジンのようなものを持っていれば可能だと思いますが、もちろんそんなもの持っているわけありません。手足をバタバタさせてなんてギャグにしかなりません。(というか、そういうことをすると、かえって空気抵抗が増して遅くなるはずです。)姿勢を細くして空気抵抗を減らす努力もしていません。しかも、ボンドと一緒に落ちたはずのバイクは、早々と角度を変え、先に落ちていきます。ボンドが追い付けるのであれば、一緒にバイクがぶつかるはずです。非常に不思議な場面です。 ということで、冒頭でいきなりトンデモな場面を見せられてしまったおかげで、この後、突っ込みどころばかりが目について、ストーリーにのめりこめませんでした。 006ことアレックがショーン・ビーンということは、冒頭で死んでしまってはもったいないので、きっとあとから敵として再登場するはずだ(大当たり!!!)とか、でも、頭につきつけて撃っているところがしっかり映っているのに、どうやって生きていたの(この時からアレックとウルモアは仲間だったのかもしれないけど、空砲だったとか、種明かしは全くありません。)とか、ゼニアの赤いフェラーリとボンドのアストン・マーチンが競走していた時、ボンドの横に乗っていた美人精神分析医は何の意味があったのとか、ボンドは何をしたくてカジノに行ったの?(カジノについて車を降りてから、赤いフェラーリを見つけているので、ゼニアを追ってきたわけではないのは明らかです。)とか、ゼニアは秘密宇宙基地を襲ったとき、生き残りがいたことに気がついたのに、換気口の中を確かめなかったのはなぜ?とか、破壊された秘密宇宙基地の映像を見たボンドは、ひとつだけ動く影を見て、「生存者(ナターリアのことです。)に聞きましょう。」と言っておきながら、すぐ生存者を追わなかったのはなぜ?(おかげで、ナターリアは、“ヤヌス”に捕まってしまいます。)とか、あらすじを書いた部分までで、こんなに浮かんできてしまいました。もちろんこの後の部分でも、いろいろとあります。 しかし、いろいろと突っ込みどころがある中で、最大の疑問点は、この映画の題名にもなっている、“ゴールデンアイ”という兵器が今ひとつ不可解だということです。 Mは、「大気圏で核爆発を発生させるとその放射能の波が電子回路を破壊する」と、ヒロシマを例に出して説明していますが、全く意味不明です。 放射能が電子機器に影響を及ぼすというのは全く初耳ですし、実際、太平洋戦争時の広島や長崎には、電子機器はなかっただろうし、チェルノブイリや福島のコンピューターなどが影響を受けたというのは聞いたことがありません。 秘密宇宙基地を破壊している場面を見ていると、“ゴールデンアイ”から、何か、目に見えないものが出て、ピンポイントで秘密宇宙基地の場所だけが影響を受けているようで、大気圏(つまりかなり上空という意味だと思いますが。)で核爆発を起こすと、放射能は爆発地点を中心に、爆風と同じように、全方向に広がっていくはずですから、かなり広い範囲が影響を受けると思うんですが、ピンポイントに放射能をぶつけるということはできるはずがないのですが、全く意味不明です。 核爆発や放射能を持ちださずに、ピンポイントで電磁波をぶつけて電子機器を狂わせる、といった方がよっぽど現実性があると思うのですが、どうでしょうか。 これはお話を作っている人(それとも字幕を作っている人?)が、放射能や電磁波などについて、全く分かっていないということでしょうか。 ボンドが市街地を戦車で破壊して回る(しかも途中から銅像の馬を上に乗っけるというシュールさです。)という、前代未聞の大迫力の場面もありますし、新任のMを迫力たっぷりなハッタリをかまして、ベテラン演技派女優ジュディ・デンチが熱演していますし、殺人をして性的快感を得るという超ドSキャラを、「X-MEN」のジーンが、思いっきりブチ切れて怪演しています(あまりにもジーンとかけ離れているので全くわかりませんでした。)し、見どころはいろいろあるのですが、題名にもなっている肝心の秘密兵器“ゴールデンアイ”が非常に不可解なため、全く台無しになってしまっているという作品を、今回は紹介しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.02.16 00:43:44
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