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カテゴリ:恋愛
「エターナル・サンシャイン」 Eternal Sunshine of the Spotless Mind 2004年 アメリカ映画 監督 ミシェル・ゴンドリー 脚本 チャーリー・カウフマン 出演 ジム・キャリー ケイト・ウィンスレット キルスティン・ダンスト イライジャ・ウッド マーク・ラファロ CATVで放映していました。確か、ジム・キャリー主演の映画だよなあ、と思いながら、どんな映画かはよく知らず、とりあえず録画しておきました。 ジョエル(ジム・キャリー)は、その日目覚めがよくありませんでした。会社に向かうため車に乗ろうとすると、ドアに見覚えのない傷がついています。なんとなくむしゃくしゃする気持ちのため、駅で反対方向の電車に乗り、モントークの浜辺へ向かいます。 そこでジョエルは、クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)という髪が青い女性に出会い、なぜか魅かれ、そのまま夜まで一緒に過ごします。翌晩もデートし、朝まで一緒に過ごします。 バレンタイン目前のある日、ジョエルは、プレゼントを渡し、最近ケンカ別れした恋人のクレメンタインと仲直りしようと彼女の職場を訪れますが、彼女に無視されてしまいます。その夜、ジョエルは、クレメンタインが自分との記憶を全部消してしまったという不思議な手紙を受け取ります。 ショックを受けたジョエルは、自らもクレメンタインとの波乱に満ちた日々を忘れようと、記憶除去を専門とするラクーナ医院の門を叩きます。ハワード博士が開発したその施術法は、一晩寝ている間に、脳の中の特定の記憶だけを消去できるというものなのです。 技師のパトリック(イライジャ・ウッド)、スタン(マーク・ラファロ)、メアリー(キルスティン・ダンスト)は、ジョエルが自宅で寝ている間に機械を持ち込み施術に取り掛かります。 記憶を消していく間、無意識のジョエルは、クレメンタインと過ごした日々を逆回転で次々と体験していきます。 しかしやがて、ジョエルは忘れたくない素敵な時間の存在に気づき、施術を止めたいと思うようになり、抵抗を始めます。 意外や意外、なかなか面白かったです。 さえない顔をしたジム・キャリー演じるジョエルが、仕事をさぼって出かけた先で、出会った青い髪をしたエキセントリックな女クレメンタインと急激に仲良くなり、これは一風変わった女とまじめな男との恋愛物語が始まったのかな、ちょっとまずったかな?と思ってしまいました。(このブログを前から見ている人はご存知でしょうが、僕は恋愛映画はちょっと苦手です。) ところが、この後、唐突に場面が飛んで、泣きながら帰宅するジョエルとともに、非常に遅めのタイトル(なんとここまで21分です。)が入ったかと思うと、彼は薬を飲んで、8時半にもう寝始めます。 そして、バレンタインのプレゼントを持って、クレメンタインの職場(彼女変な格好をしていますが、本屋の店員です。)に行くと、彼女はジョエルが全く分からない様子で、それどころか、横にいる彼氏らしき人物(この男、顔が映らないけど、パトリックと呼ばれています。)にキスをしていたと、友人夫婦に説明しています。そして、その友人夫婦に「手紙は来ていたよ。」と渡された手紙には、「クレメンタインは、ジョエルの記憶を消去した。」と書いてあるのです。 ここへきて、「おっ、これはSFかな?タダの恋愛映画ではないな。」と、期待が高まります。 この後は、寝ているジョエルの頭になんか怪しい機械をかぶせて、枕元でその機械を操作しながら、楽しげにしているパトリックとスタンとメアリーの様子と、ジョエルがクレメンタインとの記憶を夢見ている(実は機械が消している)映像が並行して、たたみかけるように流れていきます。しかも、ジョエルが記憶を消されまいと抵抗し始めると、記憶の中のジョエルとクレメンタインは逃亡し始め、ジョエルの子どものころの記憶とかに入り込んでいくので、余計ゴチャゴチャしてきて、気を付けていないと、話の流れがよくわからなくなってきます。 しかし、これが何とも言えず面白いのです。場面は唐突にバタバタ変わるし、ジョエルとクレメンタインはとても仲良しで幸せそうです。(考えたら当たり前。) 一方、現実のスタンとメアリーも、寝ているジョエルの横でビールを飲んだり、マリファナを吸ったり、下着姿で踊ったり、パトリックは途中で抜け出して女(しかもこれが何とクレメンタイン、彼女の施術中に惚れてしまったらしい。)のところへ行ってしまうし、もう自由すぎます。 そして、この後、記憶の中でジョエルが逃亡したという混乱を制御するために、ハワード博士が現れる中で、意外な事実が明らかになり、物語はハッピーエンドに向かっていきます。(どんな意外な事実で、どんなハッピーエンドかはもちろん秘密にしておきます。) 実はそのキーパーソンは、キルスティン・ダンスト扮するメアリーなんですね。 最初、ラクーナ医院の受付事務として彼女は登場します。彼女が好きな僕としては、まったく知らなかったので非常にうれしかったのですが、大人気シリーズ「スパイダーマン」のヒロインとして、今やスターの彼女が、ただの脇役であるはずがないと思っていたので、なるほどと思いました。(ちなみに、彼女が下着姿で踊っているのを観れて、非常にうれしかったのは、言うまでもありません。) それから、この映画、主要な3人の演技が非常に素晴らしいのも、言っておかなければならないですね。 今や、アカデミー賞ノミネートの常連であるケイト・ウィンスレット(この映画でも主演女優賞にノミネートされています。受賞は逃していますが。)が、気分屋でわがままでエキセントリックですが、結構ジョエルに対しては一途な女を好演していること、子役時代からその確かな演技力には定評のあるキルスティン・ダンストが、結構軽い女だと思いきや、実は結構重い秘密を抱えていたという複雑な心情を巧みに表現していることは、まあ、当然のことなのですが、やっぱり驚くべきはジム・キャリーです。 この映画でのジム・キャリーは、いつものコメディ映画で見せる、マシンガントークは完全に封印し、落ち着いた感じのまじめな男が、風変わりな女を一途に愛する様子を、抑えた演技で静かに演じています。 ジョエルがクレメンタインという変わった女性に魅かれていき、いかに深く愛しているかが、手に取るように伝わってきて、感情移入して、記憶を消されまいと、夢の中で逃亡する2人をいつの間にか応援している自分を発見してしまいました。 以前、「ナンバー23」の記事を書いた時に、彼にシリアスな演技は似合わない的なことを書いたかと思いますが、今回は、このジョエルがジム・キャリーでよかったなあ、と思いました。 やっぱり、米アカデミー賞を受賞した脚本がいいんでしょうね。このチャーリー・カウフマンという脚本家、「マルコヴィッチの穴」を書いた人です。なるほど、何となく納得させられますね。 ということで、思いがけず面白い作品に出会って、うれしかったというお話でした。 今度は、この脚本家チャーリー・カウフマンが監督・脚本している「脳内ニューヨーク」という映画を観てみなければ、と思った次第です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.05.30 09:00:10
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