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カテゴリ:アクション
「007 オクトパシー」 007 Octopussy 1983年 イギリス映画 監督 ジョン・グレン 主演 ロジャー・ムーア さて、007を一気に観ようシリーズも最後です。昨年の年末から始めて約半年、全22作品すべて観て、すべて批評してきたこのシリーズ、やっと最後です。最後に残ったのは、シリーズ第13作、3代目ムーア・ボンドの6作目です。 中南米の某国、軍事基地に潜入したMI6の007ことジェームス・ボンド(ロジャー・ムーア)は、いったんは捕われるが、一瞬のスキをついて脱出し、特製小型ジェット機アクロスターを操縦し、敵のミサイルとの空中チェイスの末に、格納庫をすり抜け、ミサイルは格納庫で爆破しました。 一方、ベルリンではピエロの格好をした009が、イギリス大使館に倒れ込み、息をひき取ります。手からころげおちたのは、偽のファベルジュ・エッグです。本物はロンドンで競売にふされることになっていました。 Mに009の仕事を引きつぐよう命せられたボンドは、競売場でエッグをインドの王族カマル・カーンと競り合い、スキを見て本物を偽物とすり換えます。 そうとは知らずに、カマルは偽物を競り落して引きあげました。その頃、クレムリンでは、ゴーゴル将軍の宥和政策を、オーロフ将軍が批難し攻撃を主張していました。 ボンドはカマルの後を追って、インドのウダイプールに行き、現地情報部員ヴィジャイに出迎えられます。さっそくカジノでカマルと接触したボンドは、エッグを持っていることをひけらかし、カマルを挑発します。 カマルは、殺し屋ゴビンダに命じ、ボンドを追わせますが、ボンドは雑踏の中でみごとに撃退し、秘密のアジトで、Qから小型電波受信器などを受けとりました。 その夜、カマルの愛人マグダは ボンドに接近し、ベッドをともにします。マグダは小型電波発信器が仕込んであるとは知らず、偽のエッグを盗んで逃げ出します。 ところが、ボンドは後頭部を一撃されて失神、気づいた時には、山の頂上にある宮殿にとじ込められていました。その夜、ボンドは幽閉されていた部屋を抜け出し、やって来たソ連のヘリからオーロフが降り立つのを目撃します。エッグに仕込まれていた発信器からの声で、「クレムリンの宝石」「ベルリンのカールマルクスシュタット」といった言葉を聞き取り、ボンドは死体の袋に入って宮殿を脱出します。 ボンドの逃亡に気づいたカマルは、象に乗って、多くの部下とともに、追撃しますが、あやうく、ボンドは観光船に逃げ込み、事なきを得ました。 ボンドはマグダの肌に彫られていたタコの刺青から知った、オクトパシーという女を探ることにし、彼女の住む小島の宮殿に潜入します。彼女はカマルのパートナーで、オクトパシー・サーカスのオーナーなのです。 オクトパシーは、公金を横領し自殺した情報部員の娘でした。ボンドは彼女から情報をひきだそうと、ベッドヘ誘いますが、そこヘ、不気味な殺し屋たちが、襲撃してきました。死闘の末に、彼らの息の根を止め、小島を脱出したボンドは、ベルリンに向かいます。 カールマルクスシュタットではオクトパシー・サーカスが興行していました。カマル、オクトパシー、オーロフらは、クレムリンの宝石を偽物とすり換え、サーカスを隠れみのにして国境を越えようとしているのでした。 しかし、実はカマルとオーロフは次の興行地であるフェルトシュタットの米軍基地で核弾頭を爆破させようと、企んでいたのでした。 中南米の某国(軍服からある1つの国が連想されますが、あえてその国名は伏せられています。どうやら当時国名をはっきりさせると国際平和的に支障があったと思われますので、ここでも伏せておきましょう。)に敵軍服で変装し潜入したボンドが、鉄器を爆破しようとしたがつかまり、すきを見て逃げ出し、仲間の運転する車が引くワゴン(馬を運んでいるように偽装されています。)から、翼を折りたたんで収納してあった小型飛行機で飛び出し、敵ミサイル(追尾式)と追っかけっこしながら、当初爆破しようとしていた格納庫に飛び込み、敵が締めようとしていた扉から間一髪抜け出し、追尾していたミサイルで格納庫の爆破に成功するという、なかなか楽しいオープニングアクションで、前作地味だった雰囲気を一掃し、再び畳みかけるようなアクションを見せてくれるのかな、と期待させてくれました。 しかし、そこまででした。 通りに人がワンサカいる中(どうやらお祭りをやっているようです。007って結構お祭り好きだよね。お祭り男かよ!!いって~!わっしょい!!)、オートリクシャー(インドではこう言うそうです。タイではテュクテュクですね。)でのカーチェイス(?)はなかなか面白かったですが、せっかくカマルの屋敷から抜け出したのに、追手がワンサカいる中に飛び込んでいくし、トラには情けをかけられるし、だれも見てないのに意味もなくワニになってるし、サーカス移動中の列車の上での攻防戦は、ロジャー・ムーアがもう歳なことが如実に表れていて、なんか痛々しいですし、ピエロの顔が情けなかったし、最後の決戦では、アマゾネス軍団に頼り切って、後からゆっくり登場してくるし、なんか情けないアクションばかりが目につきます。 そして、何より疑問を感じてしまうのが、今回のボンドの任務です。 ピエロ姿の009(サイボーグではない)が、瀕死の状態で、偽のファベルジュ・エッグを手に、ベルリンのイギリス大使館に逃げ込んでくることから、今回の任務ははじまります。 009が命を懸けてまで、偽のファベルジュ・エッグを守ろうとした意味を探るのが今回の任務なのです。そこで、本物のファベルジュ・エッグが出品されるオークションにボンド自身が参加し、そのファベルジュ・エッグを、相場20~30万ポンドのところ、50万ポンド(現在のレートで約7500万円)で競り落とした、つまり何が何でも手に入れたかったカマル・カーンに目を付けるわけです。これって、正しいのですか?カマルは、ただ単にファベルジュ・エッグが気に入って、とにかく手に入れたかっただけ、という解釈も出来ますよね。 結果的に、彼はロシアのオーロフ将軍と手を組んで、とんでもない陰謀を画策していたので、結果的に正解だったわけですが、非常にカン頼みのみのボンドの捜査に疑問を持ってしまいました。 しかも、そのために、ファベルジュ・エッグの偽物をもうひとつ用意しています。オークション会場でボンドがすり替えたのが1つ、そのあとカジノでカマルに見せびらかし、発信器を仕込んでマグダにわざと盗ませたものが1つです。本物はオークション時にすり替えて以来ロンドンにずっと有るはずです。本物が30万ポンドもする物の精巧な偽物ですから、それを作るのも結構な金額がかかっているはずで、それを単なるボンドのカンで進める捜査に使っていいものか、と疑問を持ってしまいました。 その上、カマルはカジノでボンドが見せびらかしたファベルジュ・エッグ(偽)を手に入れるために、もう50万ポンドをかけ取られ、つまりカマルは都合100万ポンドをファベルジュ・エッグ(偽)のために使っているのにもかかわらず、本物を是が非でも手に入れようとはせず、この後、偽と分かって悔しがったカマルが破壊してしまってからは、ファベルジュ・エッグは、物語に全く関係なくなってしまいます。 いったい、009は何のために命を落としたのか分からなくなってしまいました。彼は何も語らず、息を引き取ってしまったので、標的はカマルで正しいのか、カマルがオーロフと企んでいる陰謀までわかっていたのか、実は全く分かっていないのです。 結果的に、核爆弾の爆発を阻止し、世界大戦の勃発を阻止したので、ボンドのカンは正しかったということになるのですが、それでよかったのかな、と疑問に感じてしまったわけです。まあ、そういったカンが鋭いから、00ナンバーをもらっているのだと言ってしまえばそれまでですが、それでいいのかなあ、と思ってしまいました。 ということで、ムーア・ボンドはやっぱりトンデモだなあ、と思った作品でした。 ところで、今回のメインボンドガール、オクトパシーですが、彼女の父親がタコが好きということから名づけられた本名だそうで(劇中で、彼女自身がそう言っています。)、それを聞いた時、僕は、いろいろな意味で苦労して育ってきたんだろうなあ、と思いました。世のお父さんお母さんは、子どもに名前を付けるときは、よく考えてくださいね。 以上、半年かかって007シリーズ全22作(最新23作目は、まだ公開されて間もないので、レンタルが100円ではないので、もうしばらくお待ちください。)のすべてを観ることができました。なかなか面白く、ストーリーがしっかりしているものから、トンデモさが目立ちコメディとしか思えないものまで、いろいろありましたが、全体的にいえることは、ボンドは女ったらしだ、ということですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.06.01 09:45:24
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