名無し人の観察日記

　西松建設の裏金問題に関して、民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕されました。安倍政権時代の参院選勝利移行、これまで自民党相手に優勢を保っていた民主党ですが、初めてかなり強烈な逆風に晒されたと言えます。
　これで動揺しているのかどうかわかりませんが、民主党の首脳陣は逮捕のニュースにアホ極まりない反応を晒しています。

小沢代表秘書逮捕「政権が仕組んだ」…民主に陰謀説も
＞東京・千代田区の民主党本部には、夕方から報道陣が詰めかけ、党職員らが対応に追われた。逮捕の報が入る前の午後４時過ぎ、会議を終えて姿を現した山岡賢次・国会対策委員長は「（麻生）政権が選挙に勝つために仕組んだ陰謀」と怒りをあらわにし、「捜査は民主党と小沢代表を中傷する意図がある」と捜査批判を展開した。
（YOMIURI ONLINE：09年3月4日）

「分からない」「陰謀」＝秘書逮捕で民主に動揺－批判強める与党側
＞強制捜査前、党本部で記者団に対応した鳩山由起夫幹事長は、口調は柔らかいが厳しい表情。「代表からは『心配ない』との話だった。必要なら自分で話をされるだろう。陰謀があるという感じはある」と述べた。
（時事ドットコム：09年3月3日）

民主幹部「これは政府・自民党の陰謀だ！」
スカリー「モルダー、あなた疲れてるのよ」(by「X-FILE」)

　と言う会話でも聞こえてきそうな感じです。
　と言うか……鳩山氏と山岡氏アホだろ……いや、アホなのは知ってましたが、予想を超えるというか何と言うか、いきなり陰謀論を持ち出しますか。偽メール事件の教訓から何も学んでいないと見えます。自分たちが証拠能力の無い偽メールで踊ったからと言って、特捜部も何もなしに動くわけがないでしょうに……

　もともと西松建設の裏金問題には最初から小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」の名前が取りざたされていましたし、この団体は十億円を超える不動産を資産として所有すると言われていて、普段から黒い噂の絶えない所でした。
　小沢氏が今まで全くお金に関して後ろ暗い噂が立たず、清廉潔白な人物だったなら、今回の事件に多少は説得力ある陰謀論の匂いを嗅ぎ取る事くらいは出来るかもしれませんが、いつ起爆するかわからない爆弾がくっついていたのが、今爆発しただけの事。特に驚くべき事とは言えません。
　また、この時期の強制捜査・逮捕に関しては、一部の逮捕容疑が三月末で時効を迎えるため、立件に踏み切ったと特捜部は表明しています。と言うかですね、何でこの時期に、と悲鳴をあげてる人に聞いてみたいんですが……
　犯罪を取り締まるのに旬なんてあるんですか？

　さて、小沢氏本人も会見を開いて、釈明をしました。その内容がこれ。

【小沢代表会見詳報（１）】「（捜査は）不公正な国家権力、検察権力の行使」
＞　このような、この種の問題で今まで逮捕、強制捜査というようなやり方をした例はまったくなかったと思います。

＞まさに検察の強制捜査の、今回は、普通の従来からのやり方を超えた、異常な手法であったと思っております。

＞それから、衆院の総選挙が取りざたされている時期において、このような今までやられたことのなかったような異例の捜査が行われたことに関して、私は非常に政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だというふうな感じを持っております」

小沢代表「この強制捜査は不当な国家権力の行使だ！」
スカリー「モルダー、あなた（以下略）」

　素直に世間を騒がした事を謝っておけばいいのに、小沢代表は何を血迷っているのやら……自分まで陰謀論にハマってどうすんだよ。
　基本的には、自分にとって都合の悪い事件が起きたときに、陰謀論を持ち出すような奴の言う事は、問答無用で即時全面却下で良いと思ってますが、そうも行かないのは陰謀を企んだと言われた政府・与党の皆さん。さっそく反論を行っています。まずは森法務大臣。

「政治的意図、ありえない」　法相が「国策」批判に反論

＞森氏は「個別事件について所感を述べることは控えたい」としながらも、一般論と前置きして「検察当局は法と証拠に基づき、不偏不党かつ厳正公平を旨として、捜査対象がどなたであれ、刑事事件としてとりあげるべきものがあれば、適切に対処してきた」と答弁した。

　まぁ、森法相の言う事が妥当でしょう。今まで東京地検特捜部にとっつかまった政府・与党関係者がどれだけいるか考えれば、特捜部が「国策捜査」とやらをやりそうな組織かどうかくらい、一発でわかりそうなもんだと思いますが。

　その２、高村正彦議員、伊吹文明議員のコメント。

民主は政権担当能力ない　検察批判に自民各派

＞高村正彦前外相は「政治権力が検察を自由に動かすことができると考える人たちが政権を取ることは極めて危険だ」と強調。「容疑が真実であったと判明したときに小沢氏だけでなく『政治的陰謀』と言った幹部は、どう責任をとるのか」と民主党をけん制した。

＞伊吹氏は「民主党は指揮権を発動させたと言っている。こんなことが本当にできると思っている人が政権を取れば、何をやるのだろうか」と指摘。

　伊吹氏は「民主に政権能力はない」と言っていますが、「政権を与えてはいけない」と言うレベルだと思いますね。二人の危惧はもっともでしょう。国策捜査とやらが出来ると思っている人たちが政権を取ったら、躊躇なく司法権に介入するだろうと思います。
　
　今も民主党は三権分立を無視した省庁に百人の議員を送り込むと言う政策を掲げていますが、今回の小沢氏の問題に関する反応で、この政党が三権分立とか民主主義を尊重する政党とは思えない、と言う確信がますます強くなりました。