テーマ:徒然日記(22701)
カテゴリ:短歌
友達に 戻りますかと 婉曲な そんな台詞で 我をフるのか
泣きわめき 半狂乱で 縋りつく そんな女に 我はなれない どうも。みなさん。 闇属性で短歌詠みの謎の女は…上記のような理由であまり冷静ではない。 よって、この場を仕切っている『おまえさん』ことオレ、妖狐がお相手をする。 本日、曇り。のち、晴れ。 謎の女は午前4時に目が覚めた。3日目ほぼ不眠だ。 不眠時にはアクシデントが起こる。 そんなジンクスが当たったのは皮肉だろうか。 昨日、奴から連絡が。 久方ぶりの逢瀬だと謎の女は思った。 夜型生活をしている奴は夕方に愛車で迎えに来た。 いつものパターンだ。 が、昨日は様子が違っていた。 元々無口な奴が更にしゃべらない。 カーステの音楽だけが妙に響く。 チャットモンチーが耳に残る。 二人の間にはいつもより長い沈黙が横たわった。 ドライブは定番だが特にどこに向かうということはない。 話題を探す謎の女に対し、ハンドルを握る奴は適当に街を流しているように見える。 そんな時間が1時間半ほど続いた頃だろうか。 奴が重い口を開いた。 「友達に戻りますか」 謎の女には何を言われたのか一瞬、判らなかった。 「待って。今、私軽くフラれてるの?」 沈黙。 「そこは言葉の彩と言うか…」 控えめに奴が言う。 ずるい、と謎の女は思った。 「そんなの別れようって言われた方がましだよ。理由を聞かせて」 再び沈黙。 「結婚とか重い…」 この台詞で謎の女の目から自然に涙が流れた。 自分の失敗を感じ取った。 前にも言われた台詞ではあった。 あの時からもう奴には恋を続ける意思が無くなっていたんだと思った。 「判った。じゃあ、この際だから別れるならちゃんと傷つけあっておこうよ」 しかし、そう言いながら謎の女は奴を責めるようなことはその後、言わなかった。 もう恋が駄目になったのなら綺麗に別れるのがいいと冷めた自分(つまりオレだが)がささやいた。 奴の車を降りる直前、奴に言った。 「私をフるんだから絶対に幸せにならなきゃ駄目だよ」 渾身の女のプライドだった。 そういう訳で、長すぎた春が終わった。 オレとしてはやっと別れたか、という気分だ。 そして、ようやく完璧にオレだけのものになった。 謎の女は失恋の短歌をザカザカと溜息日記(手書きの大学ノート)に綴っていたが、それの公開はどうなるか判らない。 では、本日はこれにて。 パイナップルリリー 花言葉、完全。完璧。 もう本気でオレだけのものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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