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この人の世が味気ない時には、余計に鬼・幽霊・妖精・魔法使いなどの幻想的領域に心引かれる人間が増えるらしい。
TVで[ダビンチコード][モナリザの秘密][○○殺人事件][ハリーポッターと謎のプリンス]...こういう本を読んだり、 毎日、二、三回は放映される血まみれ死体から始まるドラマを見せられるたびに、スッと心に不気味に浮かび上がるのは、10代の頃見たと確信している「人魂」「鬼火」のことだ。
その頃住んでいた○○町の我が家から約百メートルほど離れた道路沿いには、
沢山の寺が建ち並び「なんでこんな寂しいところに沢山の寺があるのか?」と不思議に思っていたのだが...古老から聞いた話で了解できた。
その頃の東京郊外の夜はギラギラと満天に星が輝き、天の川は南から北に流れ、六等星まで見渡せたものだった。
木・土・火星などは、じっと見つめる猫の瞳のように輝いている夜空... 人々はみんな早寝で深夜は人影一つ無い...遠くには傾いた心細げな柱に、裸電球の街灯がボンヤリと霞んで見えたりして... 家が豊かでなかったため夜間大学に通っていたある日のことだ。 授業の終わりが遅くなり電車も遅れ、帰宅を急ぐころは零時過ぎていたか?両側に畑が続き我が家の屋根が見え始めたとき... 【 連なる寺の屋根の上をフラフラと黄色・赤の入り交じった火の塊が上がっていった。それは漂うようにいつまでも消えないように思えたが...
「こんな時間に花火かよ」と立ち止まった瞬間...思わず体が竦んでしまった。 [こんな真冬の真夜中に寺の中で花火などやるものがいるわけはない...] そう思いついた瞬間、「人魂だ」と我を忘れて家に駆け込んだ。
〔今になって思えば、もっと冷静に出来事の顛末を見届けて置けばよかったのにと思えるが...〕 息を切らして飛び込んだ我が家は、家人はすべて寝静まっていたので、 しかたなく布団を被り猫を抱いてみたもののなかなか寝付かれなかったことを思い出す。
もしあれが「人魂」なら、歌舞伎芝居などで「鬼火」をアルコールでしめらせた布などを燃やして表現しているものとは大違い。
ヒュードロドロなんて芝居の青い火とは異質で、 打ち上げ花火の破裂する前の曳光を超スローモーションにしたような派手なものだったのだが... 《あれは、一体何だったのか?》
ふと想念は遠い昔の「ヒトダマ」に流れてしまっているのだ。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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